ドコモとディズニー、スマホ普及に向けて幅広い層に


CMに登場する堀北真希に加え、ミッキーマウスとミニーマウスも
ディズニーのミルスタイン氏(左)とドコモの永田氏(右)

 2月1日、NTTドコモとウォルト・ディズニー・ジャパンは、新たなスマートフォンブランド「Disney Mobile on docomo」を発表し、報道関係者向け説明会を開催した。NTTドコモ執行役員でマーケティング部長の永田清人氏、ウォルト・ディズニー・ジャパンでインタラクティブ・メディア・グループ モバイル ゼネラルマネージャーのデービッド・ミルスタイン氏が登壇し、サービスの概要などを説明した。

 これまでディズニーブランドの携帯電話サービスとして、ウォルト・ディズニー・ジャパンがMVNO(仮想移動体通信事業者)となって、ソフトバンクモバイルのネットワークを利用する「ディズニー・モバイル」が提供されている。今後も同サービスは継続して提供されるが、異なるサービスとして、新たに「Disney Mobile on docomo」が提供されることになった。ただ今回は、ウォルト・ディズニー・ジャパンは通信事業者ではなく、ドコモとパートナーシップを結び、端末・サービスを提供する。

 会見後の囲み取材では、“ソフトバンク版”との違いなどについて、永田氏やミルスタイン氏がコメントした。

 このほか会見ではテレビCMに登場する堀北真希が挨拶。実はディズニーファンという堀北は「どんな年代も女性も欲しくなる、スタイリッシュでかわいいケータイ。このサービスで素敵な魔法にかかってほしい」と朗らかに語っていた。さらに会場にはミッキーマウス、ミニーマウスも登場していた。

ディズニーファンという堀北別れ際にはミニーとハグ

ユーザー重視でサービスを提供するディズニー

 「Disney Mobile on docomo」のサービス概要は、ミルスタイン氏から紹介された。メインターゲットを「女性」としつつ、「ディズニーとして初めて、お母さんにもコンテンツを用意している」と説明し、若年層の女性だけではなく、幼い子供を抱える家庭にも楽しめるサービスであるとする。

 MVNOでないことについては、「各社にはそれぞれ事情があるが、そこにあわせて取り組んでいる。ディズニーとしてはもともと、幅広くコンテンツを楽しんでもらえる形を目指している。MVNOだろうが、提携だろうが、お客さまのことを第一に考えて、両社で話をまとめた」と述べた。アプリについてはキャリアの垣根を超えて提供するものの、専用コンテンツを提供するとしたほか、ドコモでは東京ディズニーリゾートの特典がオリジナル要素とした。

ミルスタイン氏

 囲み取材で、ミルスタイン氏はドコモと協業した最も大きな理由として「幅広いユーザー層にコンテンツを提供できる」ことを挙げる。ソフトバンクモバイル網利用のディズニー・モバイルは若い女性に向けた端末、コンテンツを揃え、順調に伸びてきたが、国内最大手キャリアであるドコモともコンテンツ配信などで協力してきたことから、更なるユーザー層の拡大を図るため、ドコモとの協業は自然な流れとした。順調というMVNOのディズニー・モバイルでも今後、端末提供は継続するとのこと。

 日本市場について、同氏は「大人がディズニーのコンテンツを楽しむ点が米国と大きな違いではないか。携帯・スマホコンテンツで20代~30代の女性向けに展開してきたが、デコメや着せ替えコンテンツといったあたりは、日本ならではの状況」と語った。

 こうなるとauとの関係が気になるところだが、ソフトバンクやドコモと進めるような形での協業をauと行うかどうか、という問いには「今のところ予定はない」とシンプルな回答にとどめた。
 東京ディズニーリゾートでの特典は近日案内する、としたミルスタイン氏は、「これまでケース提供などの施策もやってきたが、ユーザーは日々使うため、冷静に端末やサービスの品質を検討する」と述べ、リアルの施設でのサービス拡充もさることながら、何よりも携帯電話サービスとしての品質向上が重要との考えを示した。

 なお、ディズニーストアで販売する予定はないとのこと。ディズニーモバイルのストアもあるが、そこで販売するかどうかは今後の検討課題のようだ。

目標は2年で100万台、「ソフトバンクには勝ちたい」

永田氏

 壇上に立った永田氏は、昨年来、ドコモで通信障害が続いていることを陳謝し、プレゼンをスタート。ディズニーとの長年の協力関係に触れた同氏は「新しいユーザーに価値を提供するため、このブランドを立ち上げることになった」と説明。ディズニー側には、ブランド力があり、エンターテイメントの資産を多く抱え、熱心なファンに恵まれていると評価し、ドコモ側のサービス体制などと融合させ、「愛されるブランドに育てたい」と語った。

 囲み取材で永田氏は「1機種だけのコラボというより、長期での協業という位置付け。2年間で100万台を超えたい」とした。今回の機種だけで100万台突破を目指すのではなく、今後も継続して端末を提供する方針であることを明らかにするとともに、夏商戦は時期が近いため、新機種登場の可能性は低く、次は冬モデルに新機種が登場することを明らかにした。一定の規模を見据えたブランド展開になる背景には、スマートフォンの急激な普及が挙げられる。「Disney Mobile on docomo」では、20代の女性というこれまでのディズニーにとって中心的なユーザー層に加えて、子供を持つ幅広い年齢のユーザーをターゲットにしているほか、永田氏は「これまでのターゲット層であった若年女性を子に持つ年配の方、あるいはディズニー好きな女性にアピールする男性なども獲得できる」とする。

 幅広い層を意識したスマートフォンということになるが、永田氏は「これからスマートフォン4000万台、といった時代に向かっていくには、こういった(幅広い)層がものすごく大きくなる(重要性が増す)と我々は信じている。今回の取り組みは、そうした層に向けた中心的で、大きな存在になってくれればいいと思っている」と強い期待感を見せた。

 料金については従来のプランを契約する形となるが、LTE方式のXi(クロッシィ)対応機種は今回紹介されていない。Xi向けプランでドコモユーザー間の通話定額オプションが用意されているところだが、この点について永田氏は、「今の時点でXiはまだハイエンド。今回はスリムな機種だが、1年後くらいには(Xi対応機種を)トライするかどうか、今後の検討だろう」と語り、冬モデルでXi対応機種の投入を示唆した。

 ディズニーとのコラボは、長期的な取り組みとする永田氏は、そのディズニーがソフトバンクモバイルとともに提供する「ディズニー・モバイル」との差別化を問われると、限定コンテンツの提供を挙げつつ、「我々の価値を認めていただいて、ディズニーにコラボしてもらったと考えている。最終的にユーザーが決めることだが、我々としては当然(ソフトバンクに)勝ちたいと思っている」と意気込んだ。また、MVNOではないことから、今回の端末はあくまでドコモの端末であるとの認識を示し、通信ネットワークだけ提供するのではなく、ディズニーと協力して提供する点は「こちらとしては、(MVNOではなく、協業の形が)当たり前だと思う」と述べた。

 またディズニーに限らず、各社間でXperiaやGALAXYなど、メーカーが掲げるブランドに基づく端末が登場していることを指摘されると、サービス面での取り組みが差別化要素になるとしたほか、障害が起きたネットワークについても他社よりも秀でているとアピールできるよう今後努力し、全国に展開するドコモショップでのサポート体制などでも他社との競争に打ち勝つとした。




(関口 聖)

2012/2/1 18:58