7インチタブレット「eden TAB」25日発売、3G版は4月に


eden TAB

 キングソフトの子会社であるMobile In Style(モバイルインスタイル)は、7インチのAndroidタブレット「eden TAB(エデンタブ)」Wi-Fi版を2月25日に発売する。同社直販サイトでの価格は2万9800円。購入後、端末を使用しても一定条件を満たし購入から14日以内であれば無料へ返品できるサービスも提供する。

 「eden TAB」は、Android 2.3を搭載する、7インチタッチパネルディスプレイのタブレット端末。Android 4.0へのバージョンアップが予定されている。中国キングソフトの会長が設立したという端末メーカー、Xiaomi(シャオミ、小米科技有限公司)とともに開発した。なお、今回の発表にあわせ、Mobile In StyleではXiaomiと資本・業務提携を締結しており、キングソフトとXiaomiの合弁会社となった。

 昨年12月に「eden TAB」そのものは発表されているが、発表時に重さ348gとされていた点については、軽量化が図られ、330gで発売されることになった。7インチ、800×1280ドットのディスプレイ、800万画素カメラ(サブカメラは200万画素)、サムスン製1.2GHzデュアルコアプロセッサ「S5PC210」、16GBの内蔵メモリ、1GBのRAMを搭載する。デュアルマイク・スピーカー、microSDカードスロット、HDMIミニ端子、GPS、加速度センサー、Bluetooth 2.1+EDRなどを備え、バッテリーは3850mAhで連続待機時間は1080時間。連続音楽再生で85時間、連続動画再生で20時間となる。大きさは199×118.8×10.4mm、重さは約330g。ボディカラーはホワイト、ブラック、ピンクが用意される。

 オリジナルのホームアプリがプリセットされ、Android 2.3ながら、Android 3.XやAndroid 4.0を意識したユーザーインターフェイスにしている。GmailアプリなどAndroidの基本アプリのほか、ニッセンやDHCといった協力企業のアプリ、キングソフトのセキュリティアプリやオフィスアプリなどがプリセットされる。

 「eden TAB」は、Androidの互換性テストをクリアしておらず、Androidマーケットのアイコンはメニュー一覧で表示されない。キングソフトと同じ人物が社長を勤めるグループ会社のACCESSPORT(アクセスポート)が用意したオリジナルマーケット「Tapnowマーケット」が利用できる。このTapnowマーケットには、ランキングやカテゴリーごとの一覧などが用意あれ、Androidマーケットで配信されている一部アプリもここからダウンロードできる。ただ、ブラウザでAndroidマーケット(パソコン版)にアクセスし、各アプリのインストールボタンを押すと、インテントで「eden TAB」内のAndroidマーケットを呼び出してアプリをインストールできるという。

 3G(W-CDMA)対応版が4月にリリースされる予定でSIMロックフリーとなる。Mobile In Styleでは、キャリアと交渉中としているほか、MVNOとの提携により端末代金を0円にして回線契約とセットで販売する計画を進めている。また家電量販店でも「eden TAB」が販売される予定だが、プリセットアプリの変更や価格などを調整したモデルとして発売される。

 このほか、返品サービスも用意される。こちらは購入後、14日以内であれば無料で返品できるもの。ただし、直販サイト以外で購入した場合や端末の表・裏面に貼られた保護シールが派がされた場合、プリセット以外のアプリがインストールされた形跡がある場合などでは返品できない。こうした条件を満たしているか確認した上で、返品を受け付け、ユーザーに代金を返す。

デザインに注力、レベニューシェアで収益化図る

キングソフトの沈社長
Mobile In Styleの下(しも)浩子社長

 Mobile In Styleとキングソフトは17日、都内で報道関係者向け説明会を開催した。キングソフト代表取締役社長の沈 海寅(しん かいいん)氏は、「キングソフトは、日本市場において無料セキュリティソフト、4980円のオフィスソフトと安価さを売りにした展開を行ってきた。そのビジネスモデルでも今後事業を継続できると思ったところで、無料ハードウェアの可能性を考えた」と語る。

 そこでキングソフトでは、端末の製造にかかるコストだけを端末価格とし、端末そのもので利益を得ず、他のサービスから収益化を図ることにした。そのため、「eden TAB」の2万9800円という価格は原価だけで、利益は含まれていないという。

 スマートフォンは、iPhoneをはじめ、国内外のメーカーが熾烈な競争を繰り広げるマーケットだが、その一方でタブレットはiPadや一部のAndroidタブレットだけが受け入れられている状況で、スマートフォンよりもタブレットのほうが挑戦できる市場と判断し、「eden TAB」を投入することにした。

 「eden TAB」を製造したXiaomiは、2010年3月に設立された企業で、これまでの約2年間で3億米ドルの増資を達成。Googleやマイクロソフトなどに在籍した人材が入社し、中国で「M1」というスマートフォンを発売している。M1は、Androidベースの独自OSを採用したモデルで、1999元(約2万5000円)で発売された。中国でのスマートフォンは日本円で5万~6万円程度が相場とのことで、他社よりも安価な「M1」は、直販サイトで100万台を売ったという。

 このXiaomiとの協業で、端末製造に目処が立ったものの、安価なだけでは売れる見通しが立たない。日本国内でタブレットを販売するために、必要な要素は何か検討した結果、デザインやハードウェアスペックを追求することにした、と語る沈氏は、すっきりとした背面に仕上げたデザイン、GALAXY Tab Plusなどに使われているCPU、アップルにも供給するというメーカーによるリチウムポリマーバッテリーなどを採用したと紹介。それぞれのパーツメーカーは各業界でトップ3に入る大手で信頼性は高く、Mobile In Styleでも端末の耐久テストをスマートフォンと同等の水準で実施したとして、品質面でも妥協していない、とアピールした。発表会後のタッチ&トライでも、3D描画のカーレースゲームを試す記者もおり、滑らかにプレイできる様子が示された。

 ハードウェアを低価格にして、サービスの利用を促進し、その部分で収益化を図るとされているが、具体的なビジネスモデルの例としてレベニューシェアや、検索サービスの広告収益が紹介された。アフィリエイトサービスのASPを利用し、プリセットのDHC、ニッセンのアプリ、あるいは同端末のブラウザでショッピングすると、どのユーザーが購入したかまではわからないが、「eden TAB」でアクセス・購入したことが判明し、通販事業者の収益の数%がMobile In Style側に入る。またプリセットのブラウザの検索サービスの初期設定はヤフーが指定されており、そのリスティング広告も収益になる。さらに「eden TAB」のOEMでの提供、あるいは教育ビジネスや旅行代理店などでの導入も想定し、それぞれの利用シーンにあわせたアプリ、サービスを「eden TAB」にプリセットする。このほか、今後は電子書籍などの販売を予定し、その部分も収益に繋がるという。なお、ユーザーの住所や性別、氏名など個人情報は収集していない。

 沈氏は、まず5万台の販売を目指し、できれば10万台の販売を達成したいとコメント。会見後、あらためて尋ねたところ、5万台の販売で黒字化する見込みと語っていた。その動向次第で、「eden TAB」に続く機種の開発・販売を進めるという。




(関口 聖)

2012/2/17 16:05