話題のアプリ「LINE」が繋がらない、原因は携帯会社と案内


「LINE」アプリ内のお知らせページに掲載されている

 コミュニケーションアプリ「LINE」が繋がらない。――アプリ提供元のNHN Japanは、3月1日、「LINE」アプリにおい、一部で接続できない事象が発生していることを案内している。

 説明によると、「LINE」アプリを3G接続で利用しようとすると、「サーバーまたはインターネットに接続できない」といった趣旨のエラーが表示されるという。NHN側の説明では、調査した結果、これは各携帯電話会社が提供しているフィルタリングサービスにおいて、アクセス制限を受けているためで、アクセス制限の詳細な理由を確認した上で、関係各社と協議調整中としている。なお、Wi-Fi接続については問題は発生しておらず、ユーザーに対して、Wi-Fi環境で利用するか、フィルタリングサービスの見直しを検討するよう求めている。

 NHNでは、この事象が発生するのは当初iPhone版のアプリのみで、ソフトバンク版のみ影響があるとしていたが、ユーザーからはAndroid端末についても接続できないとの報告があり、iPhoneとAndroidともに事象が発生していることとしている。ただし、影響の規模や対象機種、具体的なサービスへの影響については調査中としている。このほか、ユーザーからの問い合わせ件数などについては公開していない。

au、ソフトバンクの見解

 国内のiPhoneは、ソフトバンクとauから発売されており、当初、対象とされたiPhoneについて2社に取材を行っており、ドコモからはコメントを得ていない。携帯電話事業者のフィルタリングサービスが原因とされた2社のうち、KDDIは「auのiPhoneについては規制はかかっておらず利用できる状態にある」とコメントした。

 影響が出ているとされるソフトバンクでは、「フィルタリングにおいて、ソフトバンク側が特定のURLなどを排除するようなことはない」と話し、「LINE」の通信への影響については、ソフトバンク側で「LINE」を通信できないようにするなどの処置を否定している。

フィルタリングの影響か

 フィルタリングについてソフトバンクでは、許可したものだけを受け入れるホワイトリスト方式と、受け入れ拒否データベースを使うブラックリスト方式を採用している。ソフトバンクでは、ブラックリストの拒否データベースの内容が「LINE」に影響を与える可能性も考えられるとの見方を示したものの、ソフトバンクがデータベースの内容について関与していないとする。

 データベースは、ネットスターの拒否リストが採用されており、拒否リスト内のURLでもモバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)の認定を受けたものについては、表示できるとしている。このほかソフトバンクでは、考えられる要因として、Safariブラウザの機能制限やアップル側のアプリ設定などを挙げている。

ネットスターの見解

 なお、ブラックリストのデータベースを提供するネットスターでは、「LINEのアプリがどういった構造かわからない」として、直接の要因になるかは明言を避けている。ネットスターでは、「LINE」をコミュニケーションやメッセンジャーのカテゴリに分類しているという。

 ソフトバンクとKDDIは、双方ともにネットスターのフィルタリングデータベースを使っている。ただし、その内容は異なり、ソフトバンクが採用する「ネットスターフィルタリングカテゴリ for Kids」というソリューションでは、「LINE」は大人向けのサイトにカテゴリされ、Safariなどでの制限対象になり得るという。仮にフィルタリングによる影響がある場合、「LINE」のスマートフォンアプリだけでなく、フィーチャーフォン向けサービスにも影響がある可能性も考えられる。

 反対に、KDDIやNTTドコモが採用するカテゴリリスト「ネットスターフィルタリングカテゴリ」では、「LINE」はメッセンジャーにカテゴリされる。2社についてはアクセス制限はないという。

 「LINE」アプリ紹介ページでは、世界200カ国、1900万ダウンロードを突破したと、その人気ぶりをアピールしている。公式ブログによると、全ユーザーの4割が国内ユーザーという。テレビCMなどでも積極的にプロモーションをかけており、「国内No.1 無料通話・無料メールアプリ」と案内されている。

 NHN Japanでは、原因を究明するとともに、携帯各社に対して「LINE」のフィルタリング状況を見直すよう求めていく方針。同社は早期の解決を図るとしている。

 

(津田 啓夢)

2012/3/2 20:29