【NFC & Smart WORLD】

NFC活用のソリューションが一堂に展示


 3月6日~9日にかけて、東京ビッグサイトではNFCやICカード関連の展示を行うイベント「第1回 NFC & Smart WORLD」が開催されている。また、併催の「第28回 リテールテック JAPAN」の、一部のモバイル関連の展示もレポートする。


フェリカネットワークス

 フェリカネットワークスのブースでは、「Mobile FeliCa & NFC」と題したコーナーが設けられ、NFCを利用できるようにする「おサイフケータイ」の未来図が展示されている。FeliCaだけでなくNFCにも対応したチップセットの開発が案内されているほか、NFC対応のサービスプラットフォームの提供も2012年をめどに提供される見込み。ブースではNFCのType A/Bを利用したCard Emulation(CE)、Peer to Peer(P2P)、Reader/Writer(RW)機能などが紹介されている。


 

ソニー

 ソニーのブースでは、「FeliCa Plug」として提供されている「NFC Dynamic Tag」を搭載する製品などが紹介されている。これらのチップを搭載するヘルスケア製品とAndroidスマートフォンとの連携を実現するソフトウェアが「NFCヘルスケアライブラリー」として提供されている。


 写真左上の3種類のチップが「NFC Dynamic Tag」

 

 また、エレコムが開発中の「NFC対応キーボード」も「NFC Dynamic Tag」を搭載する製品として紹介されており、開発中のサンプル機が展示されていた。2012年の夏に発売される予定。発表時から外観は大幅に変更されており、ラバー系素材が主体となっていたほか、2カ所が曲がり、三つ折りに曲げられるようになっていた。動作デモも行っており、Bluetoothキーボードと変わらない感覚で利用できた。ただ、NFC通信エリアが中心にあり、キーボード部分は左右に分断されているため、操作は慣れが必要だろう。

 NFCを利用するメリットは、ペアリングの煩わしさが解消される点と、大幅な省電力化が見込める点。将来的には、キーボード側に電池を搭載せず、NFC経由で提供される電力で駆動させることも技術的には可能という。


 

DNP

 大日本印刷(DNP)のブースでは、サーバー管理型電子マネーシステムのプロトタイプを新たな製品として紹介。「Peer to Peer」などを含め、NFC関連の最新技術が紹介されている。加えて、セキュアチップをmicroSDカードに内蔵させた「TinySmart」や、Edyを搭載した「Edy腕時計」やEdyを活用したキャンペーン用アイテムなども紹介されている。


 「TinySmart」
Edyに対応した腕時計など

 

インフィニオン

 インフィニオン テクノロジーズのブースでは、開発中のNFCチップや、microSD型NFCチップが紹介されている。開発中のNFCチップは、ソニーセミコンダクタが開発している製品に搭載されるもの。セキュリティチップには、デュアルCPUで演算結果を相互確認し、全工程が暗号化されるというインフィニオンのSLE78シリーズを採用し、セキュリティ処理のほとんどをハードウェアで行う。これに、ソニー側が開発するモデムなどを組み合わせ、NFC対応製品として2013年後半の製品化を目指す。

 同社ではまた、NFCタグ専用IC「my-d NFC」や、安価ながらもロック機能などを備えた「my-d move NFC」などを用意。スマートフォンなどにおけるBluetoothやWi-Fiの設定の簡略化に利用できるほか、スマートポスターなどと呼ばれる販促アイテムに利用できる様子が紹介されている。

 インフィニオンではまた、NFCを搭載したmicroSDカードも、オーストリア マイクロシステムズとの協業で開発中。アンテナはmicroSDカードのサイズに制限されるため、通常であれば微弱な磁界しか発生させられないが、オーストリア マイクロシステムズのブースターチップを組み合わせることでこれを改善。microSDカードを端末の中に装着しても、問題なく通信できるようになっている。この仕組はSIMカードにも適用できる。7月にはmicroSDに搭載できるチップのサンプル出荷が開始される見込み。


インフィニオンのブースソニーと開発中のNFC対応製品。スマートフォンへの搭載を見込む
microSDカードやSIMカードに搭載するNFCチップ開発中のmicroSD型NFC。右の基板上のチップなどはすべて左のmicroSD上に実装できる形になる予定。ただし、インフィニオンがこのmicroSDカードを製造するわけではなく、提供するのはチップ部分
端末に装着した状態で問題なく利用できた。リーダーライターから小指1本分ぐらい浮かせても認識できていたNFCタグ向けのチップ

 

「リテールテック JAPAN」

 「リテールテック JAPAN」」のシャープのブースでは、参考展示として、業務用で10インチ液晶を搭載したタブレット型端末「RW-T110」が紹介されている。すでに発表済みの7インチ版「RW-T107」と同様、NFCに対応しているほか、3メガのカメラを搭載するのも共通。

 シャープのブースではまた、3月6日にオープンした「ソフトバンク銀座」に納入されたという、「AR応用マルチディスプレイ」も紹介している。挟額縁デザインのディスプレイを複数組み合わせたデジタルサイネージシステムで、別途設けられたセンサーがディスプレイの前にいる人の動きを感知し、表示を切り替えられるのが特徴になっている。


業務用のAndroidタブレット参考展示となっていた10インチの「RW-T110」
左下にNFCの場所を示すマークこちらはすでに提供されている7インチの「RW-T107」
「ソフトバンク銀座」店に納入されたという「AR応用マルチディスプレイ」。写真ではわかりにくいが、上部にセンサーがある

 

 モトローラ・ソリューションズのブースでは、モトローラ製の端末を使い、各社が提供する法人向けサービスが紹介されている。Windows Mobile搭載のスマートフォン「ES400」は大容量バッテリーやフルキーボードを備えているのが特徴。

 また、3月6日に販売が開始されたという、法人向けのAndroidタブレット「ET1」も紹介されている。端末は耐衝撃性能を備え、バッテリーパックのホットスワップに対応。360度で角度を変えられるハンドストラップが背面に装着されており、持ちやすくなっている。


モトローラ・ソリューションズの業務用端末「ES400」
法人向けのAndroidタブレット「ET1」「ET1」はAndroid 2.3を搭載
背面にはハンドストラップ。少々重めの端末だが、しっかりと保持できる角度は360度で変えられる

 




(太田 亮三)

2012/3/6 20:39