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NVIDIAが「Tegra 3」の説明会、新iPadのCPUにも言及


スティーブン・ザン氏
Tegra 3

 NVIDIA Japanは、同社のプロセッサ「Tegra 3」シリーズの説明会を開催した。

 「Tegra 3」は、CPUやGPUなど、スマートフォンやタブレット端末の主に通信部分以外の処理を担当するマルチコアSOC(System on a Chip)。CPUのコアは、「CorTex A9」というARM製のアーキテクチャを採用する。4つのコアを使ったクアッドコアCPUだが、これに加えて、負荷の軽い処理だけを担当する省電力設計のコア「コンパニオン・コア」が実装されており、合計すると5つのコアがある。

 NVIDIAでは、「Tegra 3」をパソコンクラスのCPUであるとし、モバイル用途ということもあり、必要な時に最大のパフォーマンスを発揮する一方で、低負荷の処理しか発生しない場合には消費電力を抑えられるとアピールしている。製品としては2011年11月に発表され、2月にスペインで開催された展示会「Mobile World Congress 2012」では、各メーカーのTegra 3採用モデルが並んだ。

 NVIDIA Japanのテクニカルマーケティングエンジニアのスティーブン・ザン(Steven Zhang)氏は、Tegraシリーズ全体で2011年までに、34種類のタブレット端末、67種類のスマートフォンに採用されていると話した。NVIDIAは、モバイル向けのモデムチップを展開する英Iceraを買収しており、Tegra 2とIceraモデムを採用したZTE製スマートフォン「Mimosa X」なども発表されている。なお、Tegra 3スマートフォンは5社から、タブレット端末は6社から発表されている。

 ザン氏は、「クアッドコアは必要か?」とよく聞かれると語り、デュアルコアCPUの登場以降も、ユーザーの期待値は高まっていると話した。また、高性能はハードウェアの登場によって、それを活かしたこれまでよりも高度なソフトウェアが登場し、やがてそれが当たり前になると説明し、パソコン市場のこうしたスパイラルがモバイルにも起こっているとする。



消費電力

 今回の説明会では、「Tegra 3」に搭載された省電力化技術についても詳細な説明があった。「Tegra 3」のGPUには、液晶ディスプレイのバックライドの輝度を下げる「PRISM Display Technology」が用意されている。モバイル機器でもっとも電力消費が大きいバックライトの輝度を下げ、それを補完するように「PRISM Display Technology」で画像自体の色を濃く表示させるというものだ。60fpsの映像に対してピクセル単位で処理が可能という。仕組上、バックライトのない有機ELディスプレイでは、利用できない。NVIDIAでは、「PRISM Display Technology」によって、最大で40%の省電力を実現するとしている。

 また、ディスプレイをタッチした際の応答速度を向上させる技術として「DirectTouch技術」も採用されている。画面タッチの機構に搭載されるコントローラーを省き、処理を「Tegra 3」の低消費電力用の第5のコア「コンパニオン・コア」が肩代わりすることで省電力に貢献するという。

 このほか、クアッドコアの高速処理に伴う発熱については、負荷の高い処理では瞬間的に高い熱を発するが、その分処理が早く終わり、各コアは負荷に応じて非同期で動作を停止するため、平均すれば「Tegra 2」並になるとした。

エコシステム

 NVIDIAでは、長いパソコン市場での経験からエコシステムの重要性を説いている。ザン氏は説明会の中で、さまざまなハードウェアとの互換性が必要としたほか、GPUについては「高速になっただけでは、ユーザーにとってなんのメリットもない。マルチコアをフル活用したアプリケーションが必要」と話し、自前のゲームポータル「TegraZone」を提供する意図を説明した。

 ザン氏は、「パソコン業界でたくさんのパートナーとやってきた強みをモバイルでも活かす。モバイルでもさまざまなハードウェアとの互換性を追求していきたい。クアッドコアは他社でもできる。エコシステムは充実させる。コンテンツ開発を一緒に手がかけるのはNVIDIAの強みだ」などと話した。

新型iPad

 このほか、新型「iPad」の発表の中で、iPadに新たに搭載されたCPU「A5X」が「Tegra 3」の4倍の性能と語られた件について、NVIDIA側に投げかけてみた。

 ザン氏は、「事実は事実」とした上で、「ただし、とあるベンチマークのみの話。ほかのベンチマークでは我々が速いこともある」と話した。さらに、「NVIDIAは最終的なユーザーの感じ方(エクスペリエンス)に注力していきたい。iPadとAndroidの両方提供されているアプリでは、Tegra 3の方がきれいに見える。ユーザーの目に届くところで勝負したい」などと語った。



 




(津田 啓夢)

2012/3/29 15:53