月額2980円、学生向けデータ通信端末「タダスマ」発表


 オーシャナイズは、月額2980円、大学生や専門学校生などを対象としたデータ通信専用端末「タダスマ」の受付を開始した。端末は5月に郵送される。イー・モバイル(イー・アクセス)のMVNOとなり、端末はHuawei製の「Pocket WiFi S」となる。

サービス概要

 「タダスマ」は、月額料金が最大2980円で、端末代金や事務手数料が0円とうたう学生向けデータ通信専用端末。月額料金は回線数が増えていくことで値下げされる予定で、5万回線で月額2800円、10万回線で月額2700円、20万回線で月額2600円といった具合になる。オーシャナイズでは、1年目に5万回線、2年目に20万回線を見込んでいるという。

 通信サービスとしては、イー・モバイル網を利用したMVNO型のサービスとなる。通信速度は下り最大7.2Mbps、上り最大5.8Mbpsで、月間データ通信量が5GBを超えた場合、通信速度は最大で128kbpsに制限される。

 イー・モバイルの「Pocket WiFi S」と同様にWi-Fiテザリング機能も利用できる。YouTubeやニコニコ動画(ニコニコ生放送除く)、Ustreamなどの動画サービスが利用できるが、P2Pやオンラインゲーム、VPNなどには対応しない。ローミングエリアではローミング通信料が別途必要。

 データ通信専用となるため通話はできないが、Skypeアプリがプリセットされており、アプリを利用したVoIPが可能。ユーザーがダウンロードすれば、そのほかの音声通話アプリも利用できる。

 なお、契約は3年契約となる。サービス開始12カ月以内に解約した場合に2万円、24カ月以内は1万5000円、36カ月以内は1万円のぞれぞれ契約解除料がかかる。3年以降は1年契約となり、契約更新月以外に解約すると以降は1万円かかる。

0円押しの「タダスマ」

広告表示

 毎月のデータ通信料2980円以外は0円ということをアピールする「タダスマ」。価格を抑え、通信料金を抑えるために、長期契約という形をとっているほか、広告収益を還元している点も特徴といえる。

 「タダスマ」では、端末の画面ロックを解除した場合とメールアプリ起動時に、5秒間程度画面全体に広告が表示される。この広告収益を基本料金の値下げに充当させることで、低廉な利用料を実現しているという。表示された広告をタッチすることで、サイトにアクセスしたり、そこからソーシャルサービスへ投稿するといった導線が用意され、学生を利用したをバイラルマーケティングへとつなげていく。

 契約時には氏名や住所、年齢、性別といった基本情報のほか、学生向けサービスとなるため大学名や学部、学生証(画像データ)が求められる。また、運転免許の有無や喫煙、飲酒、生活情報(一人暮らし/同居)、ファッションへの興味関心、資格取得、語学留学といった、いわゆる属性データも提供し、よりターゲットをしぼった広告が表示される。卒業以降も利用可能で、その場合も社会人向け広告が表示されるという。

 さらに、オーシャナイズのエントリーシート作成・共有サービス「Carrer Rec」への導線も用意されており、質問に回答していく形でエントリーシートが作成できる。ユーザーには企業からのスカウトメールが届くなど、こちらも収益として見込まれる。

 このほか、「タダスマ」提携ショップや施設で画面を提示すると学割料金で利用できるサービスや、アルバイト情報やアパレルブランドの展示会情報なども配信する。利用者である学生を軸とした、さまざまなプロモーション策などでも収益を上げていくものとみられる。



端末の主な仕様

 「Pocket WiFi S」(S41HW)は、Huawei製のAndroid端末。Android 2.3を搭載し、イー・モバイル版とハードウェアは同じもの。ソフトウェアは、広告表示の部分など一部カスタマイズされているが、イー・モバイルのプリセットアプリなどはセットされた状態となる。

 ディスプレイは、3.2インチ、480×320ドットのTFT液晶を搭載する。CPUはクアルコム製のMSM7227で、クロック周波数は600MHz。本体メモリは、ROM512MB、RAM256MBとなる。約320万画素のCMOSカメラ搭載。

 大きさは約58.5×110×11.2mmで、重さは104g。3種類の背面カバーが同梱される。



プレゼンテーション

 オーシャナイズは、大学内で無料コピーサービス「タダコピ」を展開する企業だ。コピーの片面に学生に特化した広告を掲載することで、無料を実現しており、現在140大学で採用されているという。

 社長の菅澤聡氏は、プレゼンテーションの中で学生のスマートフォン所有率を約6割、9割以上の学生が就職にスマートフォンが役立ったとするアンケートを紹介。スマートフォンの購入意向は7割を超えているが、購入しない学生の4割以上がお金がないことを理由にスマートフォンを利用していないと説明した。

 オーシャナイズでは、大学生協などで活発にプロモーションをかけていく方針。生協ではこれまでも携帯電話は販売されていたが、積極的な販促は乏しいという。菅原氏は発表会終了後に本誌の質問に応じ、「1台目のユーザーも狙いたいが、現実的には2台目の端末になるだろう。我々としては、“データ通信だけで大丈夫じゃない?”という部分をアピールしていきたい」などと話していた。


 

(津田 啓夢)

2012/4/12 15:36