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日本通信がドコモを提訴、接続料算定で


 日本通信は、NTTドコモを東京地方裁判所に提訴したと発表した。両社のネットワークを相互接続する際にかかる接続料の算定について、ドコモが合意に違反した、としている。

 日本通信によれば、両社では2008年6月、総務大臣の裁定を受けて、接続料の算定方式に関して合意。しかし、日本通信では、2010年度および2011年度の算定式について、ドコモが一方的に変更したとして、算定式の合意を確認する訴訟を起こした。

 訴訟では、契約通りの算定式により算出された接続料を支払うべき地位にあることを確認すること、また合意通りの接続料を定めた接続約款を総務省に届け出ること、さらに過去の年度での過払い分の返還を求めている。

 一方、ドコモでは「当社の接続料は、『第二種指定電気通信設備制度の運用に関するガイドライン』に従い、算定している。2011年度に適用するパケット接続料は、前年度から35%減少したが、現在の算定式では実績コストすら回収できていないのも事実で、今後見直しが求められるもの。こうした内容について、度重なる説明をしてきたが、理解を得られず、誠に遺憾です」とコメントしている。

日本通信側「合意に基づく算定式をないがしろにはできない」

 日本通信では19日夕方、都内で報道関係者向け説明会を開催。代表取締役社長の三田聖二氏、代表取締役専務の福田尚久氏、上席執行役員の片山美紀氏から説明が行われた。

 日本通信側の主張は、ドコモに対して「接続料が高い」や「値下げを」と求めているのではなく、「この計算式で算出しよう、と合意したにも関わらず、協議もせずに計算式を変更した。合意した計算式にして」というものだ。両社の間では、相互接続(ドコモの設備と日本通信の設備を接続)が開始されて以来、2008年度と2009年度は、当初合意した計算式に基づく接続料となっていた。しかし2010年度の接続料(2011年度になってから算出、適用される)になると、接続料の算定式において、ドコモ側が新たな項目を追加。日本通信側はいったん支払いを拒否したものの、ドコモ側が「支払わなければ相互接続を切断する」としたため、支払いに応じて、まずは協議することにした。

 福田氏によれば、2011年夏ごろには、総務省へ相談したが、基本的には民間企業同士の交渉ということで、総務省としては法的に行動できる立場にはなく、両社に対して協議するよう促した。そこで日本通信とドコモの間では、担当者レベル、あるいは役員レベルで定期的に協議が行われた。ここでドコモからは「いったん支払ったのだから、新しい算定式を日本通信も認めたのではないか」「総務省が示したガイドラインに基づいて算定している」「従来の算定式では原価割れ」といった指摘、説明がなされた。これに対して日本通信は、「いったん支払ったのは、『支払わなければ切断する』と言われたから」「ガイドラインに従うといっても、そのガイドラインに接続料の算定式のことは書かれていない」「原価割れというが、これまで使ってきた算定式は、ざっくりと計算するもので、原価を必ず上回る」などと反論。協議は合意に至らず、2012年を迎えることになった。
訴訟の趣旨 過去4年間の流れ
合意した算定式と異なる式、と判明した後の経緯 2011年度の接続料

 通常、携帯電話業界の接続料は、1月〜3月頃には各社から発表される。実際、NTTドコモも音声通話の接続料については、今年1月25日に発表し、総務大臣へ届け出た。そのため、2010年度の状況が変化しないまま、2011年度の接続料も懸念する状況となった。法的に、総務省はこの争いに関与できる立場にないが、それでも間に立って調整を行い、両社に対して「まずは合意していた、かつての算定式に戻し、その上で協議したいなら、もう一度協議してはどうか」と提案があり、日本通信側はその提案に応じる考えだった、という。

 しかしドコモ側からのアクションはなく、3月下旬になって算定式がどうなるか、日本通信がドコモへ確認したところ、算定式は元に戻っていなかった。

 「接続料そのものは値下げされたとはいえ、算定式自体は、ドコモ側が新たに示したものは、従来の算定式より、新たな項目が追加されており、高く算出される形だった。算定式の変更が一方的に行われれば、次は、値上げに繋がる算定式にされる。それを認めるわけにはいかない」

 福田氏は、そう語り、従来の算定式よりも8000万円ほど多く支払っているものの、金額の多寡が問題ではなく、接続料を導き出す算定式の変更が協議なしで行われていることが問題、と指摘する。また2008年に合意した際には、「接続料の算定には、営業費などは含まないよね、と算定式から除くものを列挙していった」と語る同氏は、ドコモが新たな項目を算定式に追加したことについて「いったん除いた項目を再び追加する、というのであればわかる」として、ドコモ側が新たな項目とするような原価は、従来の算定式に含まれているはず、とした。

 質疑応答で、MVNO側の要求が過剰で、MNO(この場合はドコモ)の扱いがむしろ差別的になるのではないか、と問われると、三田氏は「相互接続は携帯電話事業者にとって義務だが、それはネットワーク容量に余裕がある、という前提に基づく。いわばMVNOは空席しか使えない」と述べ、MNO側の容量を逼迫させることにはならないと説明する。

 算定式そのものは開示されていないが、ドコモと相互接続する事業者全てに適用されるもの。ただし、日本通信では「ドコモからは、そうした事業者は日本通信だけ、と聞いている」とする。算定式に当てはめる原価は、ドコモ側の言い値で、検証する術はない、と会見後の囲み取材で語った福田氏は「値上げ目的ならば、式に代入する値を大きくすればいいが、そうしないということは、それ以外が目的なのではないか」と、ドコモ側が算定式をコントロールできる立場を求めているのでは、と推測した。

 通信サービスを安定的に提供するため、ドコモ以外の通信事業者と相互接続するかどうか質問されると、三田氏は「LTEのサービスレベルが各社同じようになれば検討できるだろうが、現状はサービスエリア、通信方式といった要素からドコモが一番良い相手」とした。

(関口 聖)

2012/4/19 18:21