ドコモならではの付加価値を目指す「ドコモクラウド」


 NTTドコモは、同社のネットワークを活用するクラウドサービスについて、新たに「ドコモクラウド」というブランド名で展開する。既存の「しゃべってコンシェル」などのサービスのほか、新サービスを順次提供する。

 ドコモでは、同社の通信ネットワークを活用するクラウドを「ネットワーククラウド」と呼び、同社ならではの付加価値の提供を目指している。今回、そうしたサービスを「ドコモクラウド」として提供することになった。対象サービスは、音声認識のエージェントサービス「しゃべってコンシェル」のほか、コンテンツ配信の「dマーケット」で、6月からは新サービス「メール翻訳コンシェル」、8月からはストレージサービス「フォトコレクション」、「dマーケット」のマルチデバイス対応が予定されている。

しゃべってコンシェルの新機能

 ユーザーが話した言葉を認識し、キーワードで検索などを行う「しゃべってコンシェル」では、6月にも機能拡充が予定され、新たに生活密着情報、雑学など幅広い質問に対し、「クラウドで推定した回答」を出すようになる。

 たとえば「世界で有名な観光スポットといえばどこ?」と問いかけると、現在は検索サイト「観光スポット」などと検索した場合の結果が表示されるが、機能拡充後は、「カイロ」、その他の候補として「イスタンブル」などと表示される。

 利用料は無料。Android 2.2以上の機種で利用できる。仕組みとして、NTTサイバースペースの技術をもとに、ドコモが開発したシステムが用いられている。ユーザーが話した言葉を分析する技術は、従来の「しゃべってコンシェル」で導入されていた技術。今回は、分析の結果として、推定した回答を導き出すようになっている。回答の推定方法・ロジックは明らかにされていない。

まず質問を認識その後回答を示す

メール翻訳コンシェル

翻訳画面。右上の翻訳先言語を変更すると、その都度、クラウドで翻訳しなおす

 6月1日からは「メール翻訳コンシェル」が提供される。外国語ユーザーとのメールのやり取りで、日本語ではなく、いったん専用アプリで外国語に翻訳して送信したり、外国語で届いたメールの文面を日本語に翻訳する、というサービス。翻訳する文章は、Androidの「インテント」という仕組みを活用し、spモードメールアプリやその他のアプリと、専用アプリの間でやり取りする。

 対応言語は、送信時が日本語から英語・中国語・韓国語で、受信時はそれら3言語から日本語へ翻訳する。利用料は無料。専用アプリが必要となる。翻訳そのものは、クラウドサーバーで行われ、圏外では利用できない。現時点ではWi-Fi接続中も利用できない。国際ローミング中は利用可能とのこと。今後は対応言語の拡大などが実施される見込み。

フォトコレクション

パソコンからも利用可能

 8月から提供予定の「フォトコレクション」は写真や動画を最大5GBまで無料で保存するストレージサービス。写真の自動アップロードやマルチデバイスでの同期なども可能。

 写真は1ファイルあたり最大30MB(スマートフォンやタブレットからは10MB)、動画は最大100MB(スマートフォンやタブレットからは30MB)となる。利用料は無料だが、別途、spモード契約が必要となる。保存可能期間に制限はない。5GBを超えると保存できない。

 「フォトコレクション」では、顔認識で、その場面に写っている人ごとに分類したり、場所や日付などで分類したりできる。ドコモのデジタルフォトフレーム「お便りフォトパネル」との連携で、たとえば子供の写真を1週間で3枚、自動的に送信する、といった設定も可能という。

 フォトコレクションの提供開始にあわせ、「Evernote」「Eye-Fi」「ハイカム」という3つのサービスとの連携が可能になり、それらのクラウドサービスから「フォトコレクション」へアップロードできるようになる。なお、「ハイカム」は近日、日本語版が登場する米国の動画サービス。たとえば1分程度の動画を5本アップロードすると、自動的に90秒程度のダイジェスト映像を生成してくれるという。

フォトコレクションのアプリクラウドボタンを押すと、オンラインの写真一覧。他のデバイスで同期すると、まずサムネイルだけダウンロードする
フォルダ別に分類人物別に分類。手動で顔と人名を紐付けると、その後は自動的に分類する

dマーケットのマルチデバイス対応

今回はパネル展示だけだった

 8月からは、dマーケットの「VIDEOストア」「MUSICストア」「BOOKストア」「アニメストア」について、その利用やコンテンツの購入を複数のスマートフォンやタブレットで共有できるようになる。

 16日の発表会において、囲み取材に応えたドコモの山田隆持社長は、スマートフォンやタブレット以外の機器での利用について、「パソコンでも利用できるようになる」とコメント、将来的に対応機種を拡充する方針を明らかにした。ただし、ドコモの通信に対応しない、Wi-Fiだけに対応したタブレットなどの扱いを含め、詳細は未定となっている。

 利用時には、各ストアで「docomo ID」とパスワードでログインする必要がある。ただし、端末内にコンテンツをダウンロードする楽曲、電子書籍などの利用手順など、詳細は現在検討中とのこと。なお「アニメストア」は今回発表された新サービスで、別記事で紹介する。




(関口 聖)

2012/5/16 12:10