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ドコモ株主総会、山田氏がiPhone導入の可能性に言及


 NTTドコモは、2012年6月19日午前10時から、東京・紀尾井町のホテルニューオータニ東京で、第21回定時株主総会を開いた。会場には12時時点で3256人の株主が来場した。

 議長を務めた山田隆持社長による開会宣言のあと、約15分間に渡るビデオで第21期の事業報告を行った。

事業報告

 事業報告では、スマートフォンの普及拡大やXiサービスを展開したこと、「中期ビジョン2015〜スマートライフの実現に向けて〜」を策定したことなどに加え、東日本大震災の影響によって、6720局のサービス停止を余儀なくされたものの、早期にサービスエリアの復旧を実現し、9月末に本格復旧を完了したこと、さらに、2011年6月以降、spモードシステムやパケット交換機などの通信設備の不具合に起因した通信障害が発生。これに対して、山田社長を本部長とするネットワーク基盤高度化対策本部を設置し、2012年3月末までに通信設備の総点検を完了したことなどを示した。

 そのほか、2012年3月31日でmovaサービスを終了したこと、Xiサービスの契約者数が222万契約、FOMAサービスが5791万契約に達し、合計で6000万契約を突破したこと、スマートフォンの販売数が前年比3.5倍の882万台になったことなどについても触れた。

 2012年度の重点取り組みについては、山田社長が直接説明。「中期ビジョン2015〜スマートライフの実現に向けて〜」への取り組みのほか、「東日本大震災で得た教訓を踏まえた新たな災害対策」、「一連の通信障害における再発防止に向けたさらなる対策」などの取り組みについて説明。途中に、「NOTTV」や「しゃべってコンシェル」、「通訳電話サービス」、「メール翻訳コンシェル」に関しては、ビデオを通じてそれらの機能を紹介した。

 「しゃべってコンシェルは、2012年3月に無料で提供を開始して以来、8000万アクセスを記録。通訳電話サービスでは10カ国語に対応し、現在1万人で試験サービスを行っている。今年秋に商用サービスを開始する」などとした。

中期ビジョン

 「中期ビジョン2015〜スマートライフの実現に向けて〜」では、「お客様満足度向上に向けた取り組み」、「モバイルのサービス進化に向けた取り組み」、「産業・サービスの融合による新たな価値創造の取り組み」、「ドコモクラウドによる加速」の4点をあげ、ひとり一人の暮らしやビジネスが、より安心、安全、便利、効率的になることで、充実したスマートライフを実現できるなどとした。

 2015年度には、スマートフォンの契約数で4000万契約、Xiサービスでは3000万契約を目指し、パケット通信収入では2011年度比約1.5倍を目指すとした。

災害対策

 「東日本大震災で得た教訓を踏まえた新たな災害対策」では、首都直下型地震を想定し、首都圏に集中している重要設備を分散。九州にはスマートフォンのパケット通信プラットフォームのバックアップセンター、関西には顧客情報管理システムのバックアップセンターを構築した。

 グリーン基地局への取り組み、災害対策マニュアルの見直しに基づいた災害対策への取り組みなどを行うほか、「一連の通信障害における再発防止に向けたさらなる対策」では、「通信障害については、お客様、株主のみなさまに、ご心配と、多大なご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げる」とし、今後、通信障害が再発しないような取り組みを行い、増加する制御信号への対応など、今後のスマートフォントラフィックに対するネットワーク基盤の強化に取り組んでいく姿勢を示した。

2012年度のスマートフォン出荷目標は1300万台

 山田社長は、「2012年度には、スマートフォンでは1300万台の出荷を目指す。夏モデルでは使い勝手を高めた17機種のスマートフォンを用意。そのなかには、いよいよ、らくらくスマートフォンが登場し、シニアの方にも安心して使っていただけるようになる。Xiサービスについては、2012年度に人口カバー率を70%にまで伸ばしたい。2年連続の増収増益を目指す」と語った。

山田氏「iPhoneの導入は難しい」

 午前10時40分過ぎから、株主の質問を受け付けた。株主からはiPhoneの取り扱いについて質問が飛び、これに対して山田社長が回答した。

 山田社長は、「結論からいうと、現状の環境、戦略ではiPhoneの導入は難しい」とコメント。「iPhoneは、垂直統合モデルであり、サービスはアップルがコントロールしている。だがドコモのお客様の要望は、おサイフケータイが欲しい、あるいはワンセグが欲しいといったものであり、iPhoneではこれができない。ドコモでは、当社が作った言葉である『ネットワーククラウド』戦略を推進しており、この仕組みだからこそ、端末によらずに、さまざまなサービスが利用できる。しゃべってコンシェルは、アップルのSiriと同等のサービスであるが、Siriでは、利用できる端末がiPhoneに限られている。オープンOSであるAndroidでは、自由にサービスを作り込めるが、アップルではそれが許してもらえない。また、iPhoneの取り扱いを開始すると、スマートフォンの半分以上を売って欲しいといわれる可能性があり、これでは1300万台のスマートフォンの販売目標のうち、半分以上をiPhoneにしなくてはならない。当社の戦略のなかでは難しいことであり、その点を理解してほしい。iPhoneは競争相手であり、なんとしてでも凌駕する、ということでがんばっていきたい」とした。

 また、「アップルが駄目であるのに対して、ソニーのPlayStation Vitaはいいのか」という点については、「Vitaでは、何台売らなくてはならないという制約がない。その点では、アップル側で環境が変わったら、iPhoneを導入したい」などとした。

 また、「iPhoneユーザーがこぞって移行するような魅力的なサービスが登場するのか」、「フィーチャーフォンユーザーは捨てられてしまうのではない」といった質問には、辻村清行代表取締役副社長が回答。「新たな料金、サービスを考えている。スマートフォンの料金が高いという声もあり、料金の多様化をどう図れるのかということを考えていく。また、音声通話、メールだけでいいというフィーチャーフォンの利用者が、現在でも4000万人いる。2012年度には500万台のフィーチャーフォンを販売する計画であり、満足していただけるようなフィーチャーフォンの新たな機種を投入していく」とした。

操作の統一性

 一方、機種ごとの操作性の違いなどに関して、「機種の操作の統一性をなるべく図りたいが、それぞれのメーカーの独自性とのバランスをどう取るかを苦慮している。今後の開発に反映させたい」としたほか、「今後、遠隔監視機能が搭載されないのか」という質問に対しては、「こうした機能を使えるスマートフォン上のアプリケーションが出てくるだろう。また、カメラに携帯電話のモジュールがついて行くものも出て行くことになるだろう。開発の貴重な意見として生かしていきたい」(辻村副社長)とした。

 マイクロSIMとミニSIMが混在しており、機種を交換する際にも手数料を取られているという現状に関する質問では、「端末が小さくなっているので、SIM自身も小型化していく必要がある。今後は、マイクロSIMに統一していきたい」(辻村副社長)と語った。 

 また、「充電をしなくていいような災害時に特化したような端末を開発してほしい」という質問には、小森光修取締役常務執行役員が回答。「すでに太陽光パネルを搭載した端末を発売しているほか、10分や20分での超高速充電が可能な技術も研究している。充電環境がない場合にも自然エネルギーで充電できるような開発も行っている。重要な研究開発分野だと捉えている」とした。

障害

 「spモードのアプリケーションで、バージョンアップすると、メール履歴が消えてしまうということがあった」という質問に対しては、「ドコモとして推奨できるものとして、dマーケットがあり、このなかに安心して使ってもらえるものを用意しているのでそれを活用してほしい。アプリケーションは、日々改善に取り組んでいる」と辻村副社長が回答。「スマートフォンの料金が高い。KDDIのような固定網と一体化したサービスが提供ができないか」という点については、加藤薫取締役常務執行役員が回答し、「論理的には、固定電話と含めて料金設定をしたいと考えるが、電気事業通信法で規制を受けており、それができない。Xiサービスを進めており、2台目以降にタブレットやルーターを使っていただくための魅力的な料金体系を用意している」とした。

 また、昨年度の通信トラブルについては、「合計5回連続での故障があり、ご迷惑をおかけした。お詫び申し上げる」と、山田社長が繰り返して謝罪。「再び過ちを起こさないように最大限努力している。これまでに対策本部も、17回召集した。今後も設備投資を行い、お客様に迷惑をかけないようにしたい」と語った。

純増数について

 純増数が他社に比べて増加していないことについては、田中隆取締役常務執行役員が回答。「4月、5月は純増数は3位であるが、新規販売数量は、前年実績を上回っている。6月末から新たな端末が出てくる。また、ドコモならではのサービスもある。これをフックにして純増数でも負けないようにしたい」としたほか、山田社長は、「スマートフォンは2011年度に882万台を出荷し、当初計画を上回っており、決して売り負けてはいない。2012年度もスマートフォンは、昨日までに210万台の販売を超えている。前年度の倍以上である。ナンバーポータビリティでも、ポートインが増えているという現状にある。ドコモショップや営業部門の現場は非常に元気である」などとした。

 「女性の視点、グローバル展開という点で、女性や外国人の役員登用が必要なのではないか。場合によっては、Googleから役員派遣をお願いできないか」という質問に対しては、吉澤和弘取締役執行役員が回答。「現時点では取締役は男性のみだが、監査役や執行役員に女性がいる。将来が嘱望されている女性社員もいる。将来的には女性役員の選任をはかることをお願いすることもあるだろう。外国籍の役員についても同様である。海外ではアドバザリーボードを設置しており、有識者から経営に対する意見を得ており、グローバル化に向けて対応している」と語った。

 長期利用者への優遇措置についての質問には、田中隆取締役常務執行役員が回答。「競争が激しいなかで、新規契約者を獲得していくために、新規やナンバーポータビリティへの対策を優遇している。だが、ドコモは、サービスを開始して20年を経過している。10年を超えたお客様には、実質5000円の端末割引クーポンを用意。まもなく1万円の端末料金の割引設定を行う。また、長期利用者にはポイント付与率を高く設定している。そのほか、プレミアクラブではカレンダーを無料で配布するといったことも行っている。今後も、長期利用者の方々が増えていくなかで、優遇措置を考えていきたい」とした。

 また、「小学1年生が所有している携帯電話のGPS表示が200〜300メートルずれている。学校にいるはずの子供が別の場所にいると表示される」という質問については、「GPSは状況によって異なる。なかには基地局から場所を特定する例もある。ただし、200〜300メートルの誤差は範囲が大きい。相談してほしい」(辻村副社長)などとした。

テレビCM

 また、ソフトバンクのテレビCMがユニークであり、「犬に勝てるCMは作れないのか」という質問には、山田社長が「当社のテレビCMに出演していただいている渡辺謙さんも、犬には勝ちたいといっている」とコメントし、鈴木正俊代表取締役副社長が「ご指摘のように、面白さではなかなか勝てない。ドコモは、わかりやすく、正直に伝えていくことに取り組んでおり、伝わるということでは、半分、あるいは3分の2以上の人たちに伝わっており、目的を達している。インパクトという点では、課題として絶えず努力をしたい」と説明したほか、カンヌ広告祭での受賞、フジサンケイ広告大賞で最優秀賞受賞などの実績も紹介した。

 さらに、株価が低迷していることについては、「スマートフォンへの展開強化、新たなサービス創造企業への進化について、まだ投資家の方々にご理解をしていただいていないのが理由ではないか。ドコモが掲げる成長路線を実行していきたい」(山田氏社長)とした。

新社長の加藤氏

 なお、第1号議案の剰余金の処分の件、第2号議案の取締役13名選任の件、第3号議案の監査役1名選任の件は、いずれも可決され、12時6分に株主総会は終了した。
 すべての議案が可決された後、新社長に就任する加藤薫氏が、株主に対して挨拶を行った。

 「スマートフォンをはじめとする携帯電話の機能強化や、グローバル競争が激化するなかで、市場は大きく変化している。ドコモでは、中期ビジョンを掲げており、私は、スピード&チャレンジの精神で、全力を尽くしていきたい。私自身は、30年間に渡って、モバイルビジネスに関わってきた。いま、ドコモが求められているのは「使命」と「夢」の会社になること。人と人を結ぶ、通信、コミュニケーションといった社会的インフラを提供することが使命である。通信障害への対策は最重要課題としていきたい。一方、手のひらのなかにあるスマートフォンによって、明日の生活が、より便利で、より充実したものにしていけるということが『夢』である。そのなかで、新たな成長と、顧客満足度向上に取り組みたい」などとした。

 また、山田社長は、「4年間に渡る在任期間中、競争が激化するなかで、社長職に対して、全力を尽くしてきた。最重点課題として取り組んできたお客様満足度向上では、全国460カ所の拠点をまわり、現場と一緒になって改善に取り組み、外部機関の調査では、2年連続で顧客満足度ナンバーワンを獲得した。しゃべってコンシェルなどの高度なサービスも新たに提供できた。また、東日本大震災を復旧させ、新たな災害対策も完了した。この間のご支援に心から御礼を申し上げる」と、退任の挨拶を行った。

 

(大河原 克行)

2012/6/19 15:29