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KDDI株主総会、純増数競争から踏み出しゲームチェンジへ


KDDIの田中氏

 KDDIは、2012年6月20日午前10時から、東京・品川の品川プリンスホテルにおいて、第28期定時株主総会を開いた。会場には271人の株主が参加した。

 監査役による監査報告に続き、約15分間のビデオにより2011年度の事業報告が行われ、さらに、議長を務めた同社代表取締役社長の田中孝司氏が、口頭でこれを補足した。田中社長は冒頭に、「昨年度は、通信障害によるご迷惑をおかけしたことをお詫びする。私を本部長として、再発防止に向けて各種総点検を行い、対策を実施してきた。さらなる信頼性向上を目指す」と語った。

auモメンタムの完全回復、今年度は「ゲームチェンジ」

 また、田中氏は「私は、昨年のこの場で事業基盤の立て直しと新たな時代への準備に取り組むとした。『出る(いずる)を制し、入るを最大化する』という言葉を掲げ、それに向けて取り組んだ結果、第28期は、auモメンタム(勢い)が完全回復した。スマートフォンは、第27期には6機種だったものが、第28期には24機種を投入した」と述べた。

 さらに、「昨年10月にはiPhone 4Sを発売して、スマートフォンのラインアップを拡充した。これにより、スマートフォンシフトが確実に進み、販売台数は1年間で約5倍の563万台となり、当初目標を大幅に上回った」と話し、「解約率、MNP純増、純増シェア、データARPUという4つのKPI(重点経営指標)が劇的に改善し、KDDIが取り組んでいるマルチネットワーク、マルチデバイス、マルチユースによる3M戦略は、順調な立ち上がりになった。固定通信事業でも2期連続で増収増益になっている」などとした。

 第29期(2012年度)については、「3M戦略の本格化の年」と位置づける一方、「ゲームチェンジ」という言葉を用いながら、従来のモバイル中心の回線獲得モデルから、モバイルと固定を融合し、ID単位のARPU拡大およびID登録数の拡大による、新たなビジネスモデルへの変革を打ち出す姿勢を示し、「純増数競争から一歩踏み出した領域で事業展開を図る」と語った。

 田中社長は、「3M戦略によるゲームチェンジと、競争優位性を確保するとともに、売り上げ最大化、コスト最小化を図り、新しい時代における事業成長を実現する」などとした。

2012年度のスマホ販売目標は800万台

 さらに、3M戦略のマルチデバイスでは、スマートフォンやデジタル機器の品揃え拡大を進める考えを強調。2012年度のスマートフォンの販売台数は、全体の約7割を占める約800万台を計画。タブレット端末などの品揃えも拡大するという。

 また、マルチユースでは、先頃、映画見放題のビデオパスを開始したことなどに触れながら、クラウドとau IDで利用できる環境によってサービスを提供する考えを示した。マルチネットワークについては、3月末で10万スポットとなったau Wi-Fi SPOTや、35万台を配布したWi-Fi HOME SPOTなどの取り組みを紹介。「データオフロード化をすすめることで、多様なネットワークを継ぎ目なく高速、快適に提供し、ネットワークの安定性も図る」と語った。

 サービス拡充については、2012年春をステップ1として、auスマートバリューおよびauスマートパスを展開。また、2012年夏にはステップ2として、ビデオパスおよびうたパスを提供、対応デバイスの拡大。さらに、2012年秋冬以降には、ステップ3として4G LTEの開始、Smart TV BOXを提供することを示した。

LTEは計画前倒し、年度末には実人口カバー率96%

 4G LTEについては、当初計画の2012年12月から前倒しで展開することに言及し、「年度末には実人口カバー率を約96%に高め、下り最大75Mbpsのサービスとして、高品質のLTEを一気に全国展開する」と語った。

 一方、パーソナル、バリュー、ビジネス、グローバルの4つに事業セグメントに再編することに言及。パーソナルではauスマートバリュー適用のau回線数および世帯数の拡大、バリューではauスマートパス会員数の増加、ビジネスでは3M戦略による法人市場でのゲームチェンジ、グローバルでは新たな成長に向けた事業基盤の整備に取り組むとした。

スマートフォンの品質、バックボーン回線への懸念

 書面による質問に対する一括回答は、両角寛文代表取締役執行役副社長が行い、高い自己資本比率に関して、株主数の減少など、6件の質問に回答した。午前10時55分頃から会場に参加した株主からの質問を受けた。

 「スマートフォンの品質にばらつきがある。どのような基準で市場に投入しているのか」という質問については、石川雄三取締役執行役員専務が回答した。同氏は「品質については、ご迷惑をおかけしている部分がある。基準の詳細は語れないが、出荷前にチェックをしている。出荷後に発覚した故障などについては、後日、アップデートによって改修を図っている。品質は重要な課題だと判断している。電池持ちについても強化して、お客様のもとに届けたい」と述べたほか、田中社長は、「この分野は技術進歩が激しく、日々改善が進んでいる分野である。Wi-Fiを使っていると電池持ちが悪くなるという点での改善にも取り組んでいる」などとした。

 今後のゲームチェンジ戦略によって、ビデオ配信などが拡大する。これにより、バックボーン回線での問題発生を懸念する声もある。こうした質問について、嶋谷吉治取締役執行役員専務が回答。「昨年度のネットワーク障害はハードウェアの障害であり、トラフィックの増加によるものでない。設備容量とトラフィックを監視しており、それに併せてバックボーンを強化している。大丈夫である」と断言し、田中社長も、「ネットワークは当社の事業の根幹をなすものである。パラメータを共有し、リアルタイムでモニターしている」などと補足した。

ソーラー基地局は100局に拡大

 さらに、太陽光を活用した基地局の運用が他社に比べて遅れているのではないかという指摘について、前述の嶋谷氏は「太陽光発電と蓄電池、深夜電力を最適に組み合わせたトライブリッド基地局を全国11カ所に設置しており、これまでの運用で約20%の省エネ化が図れている。今年から来年にかけて、これを100局にまで増やしていく計画である。トライブリッド基地局の拡大はまだ公表していなかったために、この分野で遅れているように感じるだろうが、近日中に発表したい」と回答した。

スマホで問い合わせ内容が高度化、auショップの対応

 auショップにおける対応に関しては、「スマートフォンは専門性が必要になり、短期間の教育だけでは対応できないのではないかという懸念があるかもしれない。実際、スマートフォンの登場以降、問い合わせの内容が高度化し、多岐に渡っていることを感じている。当社では、スマートフォンに関する教育に力を入れており、コールセンターも専門スタッフが対応できるようにしているが、さらに的確な対応が進められるようにしたい」と石川取締役執行役員専務が語ったほか、田中社長は、「auショップの対応については、私自ら進捗をチェックしていく」と話した。

 なお、第1号議案の剰余金の処分の件、第2号議案の定款一部変更の件、第3号議案の取締役12名選任の件、第4号議案の監査役4名選任の件、第5号議案の監査役の報酬額改定の件についてはすべて可決され、午前11時49分に終了した。

 




(大河原 克行)

2012/6/20 13:03