「Firefox for Android」刷新、高速化を実現しFlashにも対応


 Mozillaは、アプリの高速化やFlash対応などを盛り込んだAndroid向けのブラウザアプリ「Firefox for Android」を公開した。利用料は無料で、Google Playからダウンロードできる。

 ブラウザアプリ「Firefox for Android」がリニューアルし、Androidに最適化されて装いも新たに登場した。これまでAndroid版で提供されてきたアドオン機能やパソコンとの同期機能、HTML5のフルサポートなどは踏襲しつつ、ユーザーから要望のあった起動やスクロール、Webアプリなどの高速化を実現。親指利用を想定したユーザーインターフェイスに刷新するとともに、Flash対応も果たした。今回は、Androidスマートフォン向けに提供され、次かもしくはその次のバージョンではタブレット端末にも対応を拡大していく計画だ。

 2011年3月に登場した「Firefox for Android」は、HTML5のフル対応やセキュリティアップデート機能などがユーザーの評価を得る一方で、起動時間の短縮やFlash対応を求める要望があったという。Firefoxは先行するパソコン版と同様の環境を1つのエンジンで提供するという理想のために、パソコン版と同じGeckoエンジンがモバイル版でも採用され、描画エンジンが読み込まれるまでに時間がかかった。



 Mozillaでは今回、Androidへの最適化を図るため、片手で使いやすいようユーザーインターフェイスを見直し、AndroidネイティブのJavaでゼロから書き直すことを決断した。

 これまでFirefoxでは、起動からコンテンツが表示されるまでの工程に、シングルスレットと呼ばれる方式が採用されており、この方式は1車線道路のように何か1つの工程に時間がかかると先には進めなくなってしまう。最新版「Firefox for Android」では、道路の車線を増やし、複数の処理を並行して行えるようになるマルチスレッド化を実現した。具体的には、フロントエンドのユーザーインターフェイスや要素の描画を別のスレッドに分離することで、応答速度を向上させている。



 Android最速ブラウザをうたっており、Mozillaでは同一環境で試験した結果、従来よりも2~3倍高速化したと発表。HTML5のテストでは、OperaやChoromeといったほかのブラウザアプリよりもよりも2倍近く、標準ブラウザよりも3倍以上高速化したという。さらに、スクロールのパフォーマンスも標準ブラウザの1.5倍高速とする。

 ユーザーインターフェイスの面では、画面右上に操作系の機能を集中し、右手親指での操作をしやすいように再設計された。ただし、左手利用者のための反転機能などは用意されていない。

 プライバシー関連機能としては、従来同様、トラッキング拒否 (Do-not-track) 機能やパスワードの暗号化保存機能などが用意される。Do-not-trackは、広告などへの活用のためにユーザーのWeb利用状況を追うトラッキング機能に対して、ユーザー側で拒否の意思を示せるというもの。Mozillaが提案して米FTC(Federal Trade Commission、連邦取引委員会)などが後押ししており、米国の広告業界では対応が開始されているという。日本では、政府から指針などは示されていない。

 Mozilla Japanの代表理事である瀧田佐登子氏は、「日本でもスマートフォン市場がかなりのスピードで確立しており、ユーザーが多様化し、サービス環境がすごいスピードで変わってきている。Firefoxは今まさに生まれ変わろうとしている」などと話している。



 

(津田 啓夢)

2012/6/26 23:32