携帯解約料条項の差止請求、京都地裁はドコモ白でKDDIは黒?


 携帯電話の解約料条項は無効――携帯3社を相手取り、2年未満での携帯解約料の差し止めを求めた裁判において、7月19日、京都地方裁判所でKDDIとの訴訟の判決が下った。

 2007年6月、消費者団体訴訟制度を盛り込んだ改正消費者契約法が施行され、適格消費者団体が消費者を代表して集団訴訟を起こせる制度が始まった。適格消費者団体である京都消費者契約ネットワーク(KCCN)は、2010年6月にNTTドコモとKDDIを、2011年1月にソフトバンクを相手取って、解約時に発生する違約金の条項差し止めを求める訴えを起こした。裁判所はいずれも京都地裁。

携帯電話の解約料条項、KCCNの主張

 携帯各社が提供している2年契約を条件に基本料金を通常の半額で提供するオプションサービス「ひとりでも割」「ファミ割」「誰でも割」や、料金プラン「ホワイトプラン」において、2年未満で解約した場合、違約金9975円が発生する。KCCNでは、


  • MNP制度の障害となっており、自由に携帯会社を選択する消費者の自由を不当に阻害する。
  • 消費者が短期間で解約した場合の損失は9975円よりかなり少ない金額。
  • 2年経過後も更新月しか無料で解約できず消費契約法違反。
  • 携帯会社が収益として予定する価格はそもそも基本料の半額で、長期間の囲い込みが目的で不当。

といった主張を展開し、携帯各社の解約料条項の差し止めを求めている。

 また、解約条項については、国民生活センターや消費生活センターに相当数のクレームが寄せられているとしており、KCCN側が2010年4月10日に行った電話相談受付でも相談件数が59件、2台の電話が鳴りっぱなしだったとしている。裁判はKCCNと、京都や滋賀の弁護士会に所属する弁護士、京都司法書士会の司法書士有志で結成された携帯電話解約料弁護団によるもの。

 なお、ドコモに対する訴訟は2012年3月に第1審の判決が下され、京都地裁は原告の訴えを退け、請求をいずれも棄却する判断を下した。これにKCCN側は控訴している。

KDDI側は控訴

 7月19日13時半、京都地裁においてKDDIとの裁判の判決が下った。判決で裁判官は、auの「誰でも割」の契約解除料の一部が、消費者契約法に抵触するとの判断を下した。

 判決結果について、携帯電話解約料弁護団への電話取材を試みたが、すでに受付時間外、現時点でコメントは得られていない。KDDIでは、「判決内容を慎重に精査して控訴する考え」とコメントしている。

 19日の判決によって、ほぼ同様の訴えに対し、ドコモ側の裁判では請求棄却、KDDI側の裁判では原告の訴えを一部認める形となった。それでは判断に違いが出たのはなぜか? この疑問にKDDI広報担当者は「何が認められ、何がいけないのか。内容を確認中。弁護士とともに内容を精査しているところ。現時点で判決内容についてはコメントしようがない」としている。

 

(津田 啓夢)

2012/7/19 20:16