今週のケータイ Watchの読み方 (2012年7月27日)


ソフトバンクが900MHz帯でサービス開始


 

 ソフトバンクモバイルが“プラチナバンド”としてアピールしている900MHz帯でのサービスが7月25日より開始された。それまでの周波数帯とサービス内容に違いがあるわけではないが、エリアや通信速度など電波に関する基本的な部分で改善が期待されている。

 ソフトバンクは、携帯電話事業に参入して以来、800MHz帯など携帯電話に最も向いているとされる周波数帯を切望してきただけに、孫社長が言うところの「悲願」のサービスインとなる。テレビCMなどでも“プラチナバンド”としてエリアなどが充実する旨を訴えている。900MHz帯を含めエリアの拡充情報を随時確認できるWebページも提供しており、実際に拡充されていくペースやエリアは、ユーザー側でも確認できるようになっている。また、9月末までにカバーする予定のエリアは地図上でも確認できる。

 端末は「PANTONE 4 105SH」が免許取得後すぐに900MHz帯対応モデルとして3月9日に発売されているほか、2012年夏モデルとして発表されたソフトバンクの端末から、順次900MHz帯に対応する。同社は免許取得前から900MHz帯対応の準備を進めていたことを明らかにしており、こうした素早い展開につながっているようだ。

 もっとも、ソフトバンクの900MHz帯のサービス開始で最もユニークな点は、「iPhone 4」「iPhone 4S」「iPad 2」がソフトウェアアップデート無しに900MHz帯に対応したことだろう。「iPhone 4」などは2010年6月発売で、日本国内の周波数施策、さらにソフトバンクが獲得することを想定して予め対応していたとは考えにくい。つまり、ソフトバンクの動向とは関係なく900MHz帯にも対応していた、ということになるのだが、現在のソフトバンクの中心はiPhoneユーザーであり、非常に多くのユーザーをそのまま新しい周波数帯にも対応させられる、という意味でも、同社にとって900MHz帯の獲得が非常に重要だったことが窺える。

 


ソフトバンク、「プラチナバンド」のエリア拡大状況を公開

 


 

LTE対応のMVNOサービスが加速


 

 エキサイトが7月26日に発表した「BB.exciteモバイルLTE」は、月額787円で回線を維持でき、必要に応じて通信容量を追加購入できるデータ通信サービス。端末の提供は無く、SIMカードだけを提供するタイプで、最大3枚のSIMカードで同じプランを共有できる。

 こうしたサービスは、インターネットイニシアティブ(IIJ)が「IIJmio 高速モバイル/Dサービス」として2012年2月から提供しているほか、MVNO各社が拡充を進めている。

 共通した特徴は、あまり利用しない月の利用料を抑えられる料金設定で、利用したい時に100MBあたり525円といったように、チケットを購入する形で追加できる点。この間はLTEなど高速な通信速度にも対応する。また、タブレットやノートパソコンなど複数の端末を使いこなすユーザーが増えていることから、1つの契約内容を複数のSIMカードでシェアできる、というのもトレンドだ。

 MVNOの老舗である日本通信も追従の動きを見せており、かねてから検討していると表明していたサービスを「Turbo Charge」として7月24日に発表している。こちらは、追加購入した通信容量を任意の時間だけ使えるなど、柔軟な利用にさらに踏み込んでいる。

 日本通信によれば、月額980円とした通称「イオンSIM」以降、こうしたSIMカードのみの製品を購入するユーザー層がかなり広がっているという。SIMカード単体の製品ともなると、これまでは先進的なユーザーが利用するイメージだったが、機種変更で余った端末に装着して家族に渡すといった利用が増えているという。また、前述の複数のSIMカードを利用できるサービスも、家族での利用に向いている。時間が進むに連れて、スマートフォンの買い替え需要は増えるだけに、こうした表には出てこない“使い終わった端末”を再利用するためのサービスや製品は、今後も拡大しそうだ。

 


エキサイト、月額787円からのLTE対応データ通信サービス


日本通信、データSIMを“スイッチオン”で高速化できるサービス

 

(太田 亮三)

2012/7/27 19:36