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ソフトバンク宮川氏がLTEに言及、iPhone 5の販売数がLTEを加速


 ソフトバンクモバイルは、9月14日発表した同社のLTEサービス「SoftBank 4G LTE」について、2012年度3月末までに対応するサービス予定エリアを公開した。また、「SoftBank 4G LTE」など同社の通信ネットワークについて、ソフトバンクモバイルの取締役専務執行役員CTOの宮川潤一氏からコメントが得られたので、合わせて紹介する。

 展開予定のエリアについては、ソフトバンクが公開しているサービスエリアマップで確認できる。3G網やULTRA SPEEDなどに加え、新たに「SoftBank 4G LTE」が追加された。9月21日のサービス開始後、9月後半か10月初めには、毎月の基地局開設状況といった進捗状況も開示する方針だ。

通信が逼迫する都内

 ソフトバンクでは、同社が運用する2GHz帯において、20MHz幅×2(上下)の周波数帯域を利用してサービスを提供している。宮川氏は2GHz帯の現在の状況について、「山手線の中は正直言ってパンパンの状態、そろそろ限界の状態にある」と語る。ソフトバンクでは、そのため、900MHzのプラチナバンドに利用者を早期にも移していきたい考えだ。

 同氏の話によると、プラチナバンドについては毎月2000局のペースで設置しており、FDD-LTE(SoftBank 4G LTE)も2000局を軽く超えているほか、「SoftBank 4G」の名称で提供するAXGPも2000局近く、毎月工事しているという。

 宮川氏は「結構なボリューム感でやっている。しかし、一番大変なのは山手線の中でも品川から新宿までのライン。この場所でもう1波(5MHz幅×2)を確保することに相当手こずっている」と語り、「それもようやく9月17日週に1波の停波が決まった」と話す。

 つまり、2GHz帯の20MHz幅×2のうち5MHz幅×2の3Gを停波させることで、空いた5MHz幅×2をLTEに転用し、LTEサービスが展開できるというわけだ。ソフトバンクモバイルでは、9月末までに山手線の品川から新宿までの付近で、LTEのサービスを開始する計画だ。

都内で75Mbpsは難しい、チャンスがあれば……



 LTEサービスは確保できた周波数の帯域幅の分だけ、高速化が可能だ。5MHz幅×2では理論値で下り最大37.5Mbpsとなるが、2波(10MHz幅×2)を確保できれば理論値は下り最大75Mbpsとなる。

 ソフトバンクではまず、2012年度内に全国で1波を確保し、2GHz帯で年度内に人口カバー率91〜92%を目指す。2013年度以降、2波を確保できるエリアを拡げていく。電波が逼迫状況にある東京での2波確保は難しいが、千葉や埼玉、群馬といった東京周辺の県は2波が確保できるため、下り最大75Mbpsを実現するという。

 宮川氏は、「残念ながら本当は一番確保したい都内では1波運用に当面なると思う。都内ではプラチナバンド(900MHz帯)にユーザーをたくさん収容するようパラメーターを切り替えて運用を初めている。10月あたりから都内では急激に900MHzに収容していく」と話した。

 ソフトバンクでは、東京とそれ以外の地域で接続のパラメーターを変更しており、都内は積極的に900MHz帯に収容する方法がとられる。900MHz帯を多くのユーザーが使うほど、その分だけ2GHz帯の逼迫状況は緩和される。つまり、LTEサービスで2波目を確保し、下り最大75Mbpsが実現しやすくなるというわけだ。宮川氏は、「チャンスがあれば早めにLTEに切り替えようと思っている」と話した。

 さらに同氏は、2GHz帯において4波(20MHz×2)をフル活用している山手線の内側エリアの逼迫状況を説明し、「5波目の900MHz帯の導入で、2GHz帯の1波が空けられるかどうか、というやりくりをしている。地方では、900MHz帯にあまり収容しすぎるとこれまで作ったインフラが不安定になるので、少し収容数を落とし、段階的に様子を見ながらやっている。いきなり900MHzに負荷をかけると、もし落ちてしまった場合に厳しい。5%、10%、15%と徐々に収容率を上げている。しかし、東京だけはいきなり20%からやっている。そうでもしないと(2GHzの)1波を空けるチャンスがなくなってしまう」と話した。

 しかし、山手線の品川駅から新宿駅間において、100局程度が見通しがついていない状況だという。「ただでさえパンクしているような局。順調にいけば1波を停波してLTEを吹けるが、冷や冷やしつつやっている。秋葉原や上野、池袋の上あたりまでは1波を停波し、LTEを吹いている基地局もある」と述べた。

2014年のプラチナバンドLTEに光

 2013年の一年間、LTEで2波を確保する計画が運用できれば、2014年度には900MHz帯で10MHz×2がLTE用としてソフトバンクは新たに利用できるようになる。「そうなれば、カバー率99.9%までLTEがやれる」(宮川氏)という。「プラチナバンドは3万局と開示したが、実はもうちょっとアグレッシブにやっている。ドコモさんのエリアを越えるぐらいにしようと考えている。そこに全部LTEをのせる」と話し、プラチナバンドを全てLTE化することで、周波数を有効利用していこうという考えを示した。

 そもそも、ソフトバンクやドコモが採用するW-CDMA方式の延長線上にLTE方式はある。ソフトバンクでは、プラチナバンドのエリア化に際して、すぐに切り替えられるよう、LTEに対応したハード(基地局)を最初から採用しているという。

ネットワークの完成は2年後

 各社ともに、もっとも電波が逼迫した状況にあり、かつ新たな基地局敷設が難しいのが山手線内のエリアといわれる。多くの利用者が無線通信を使い、たえず電車で多くのユーザーが移動し、基地局を次々と渡り歩く。電車が来て瞬間的にトラフィックが増加したかと思えば、電車が通り過ぎるとトラフィックが下がる。山手線だけでも常時数分間隔で上下線の往来があり、ほかのJRや私鉄、地下鉄なども運行している。

 宮川氏は、ソフトバンクのネットワークについて、「うちの会社(ソフトバンク)がちょっと胸張ってやっとできたと話せるのは、2年後ぐらいだと思う。その頃には一通りやりたかったネットワークが完成するだろう」と話した。

 また、「併行して、AXGPを上手に作り込んでいく。僕の想いとしてはこれが一番の勝負手。都内ではスループットは30Mbpsぐらい出ている。スペック競争ではなく、スループットでユーザーに体感してもらえるものにしようと思っている。願わくば、iPhoneがTDD対応(AXGPはTDD-LTE)してくれればいいが、世界の市場でTDDで頑張っているのは我々ぐらい、なかなかYesとは言ってくれない。いろいろな意味で長く説得を続けようと思う」と話した。

テザリングや通信制限について

 さらに同氏は「営業からはテザリングを早くやれやれと言われているが、もう少し落ちつくまでは(難しい)と思っている。上位4%のユーザーが50%ぐらいのネットワークを占有している現在、テザリングをやるともっと極端に偏ってしまう。今、その選択をするよりは、まだまだスマートフォンにしていないユーザーが多いので、スマートフォン化を加速したいと思っている。そうしたユーザーが青天井の料金でスマートフォンの料金にびっくりしてしまうような時代にするよりはいいと思う。いつまで社内にこの声が届き続けるかはわからないが、今のところは理解してもらっている」と語った。

 9月14日、ソフトバンク版の「iPhone 5」について、予約が開始され、同時にLTEサービス「SoftBank 4G LTE」も発表された。「SoftBank 4G LTE」は月間のパケット通信料が7GBを超えると、通信速度が128kbpsに制限される料金サービスとなっている。しかし、「iPhone 5」についてはこの制限は適用されない。

 この件について宮川氏は「iPhoneユーザーをたくさん抱えた我々だからこそ、今のお客に制限をつけて乗り換えられるのが正直怖い。今まで通りの方がベターかなと思っている」と話した。

 さらに、7GBの容量制限をした上でのテザリングの導入については「それはありだと思う。受け入れられるかどうか。使う人から料金をいただいて、使わない人は今まで通りというのが本当は一番正しいと思う。ドコモさんはよく考えられたのだろう。ただ、正直言えば7GBは結構大きな幅で、米国のように1GB刻みにしていただければやりやすいんじゃないかと思う」と続けた。

売れなかったiPhone、使い方を伝えつつ市場を創出

 また、「iPhoneを販売した当初、我々の想定よりもユーザーが飛びつかないなと思った。それが本音だった。インターネットばかりやってきた連中がソフトバンクの上にはいるが、もう少し我々は行けると思っていたものの、思ったよりユーザーは反応しなかった。その中でギブアップせずに使い方を教えつつ展開し、売れるようになるまで2年ぐらいかかった感覚がある」とする。

 さらに、宮川氏は「それでもスマートフォンの比率は50%に達していない」と話し、「電話とかメールが主体でスマートフォンはもっといろいろできるのに、そこまでたどりついていない人がいる。その人たちに、スマートフォンになったら急に料金が上がるというイメージは持って欲しくない。サジ加減が難しいところ」とする。

 続けて同氏は、「とはいえ、キャペックス(減価償却対象の支出)を考えると、この設備投資は昔の携帯電話よりもはるかに怖い。どこかで理解いただきたい。ユーザーが1000円でも余分に払っていただければ、今の設備投資でも十分おつりがくるが、1000円のARPUを上げるのも非常に難しい。電話の場合従量課金でも抵抗は少ないが、データ通信の従量課金が本当に受け入れられるか、まだ未知数。ソフトバンクは前を走る2社を追いかけている立場で、そこに最初に手を入れるのはおこがましいような気がする」と語った。

データ通信しながら通話可能

 このほか宮川氏は、「本当に周波数がなく綱渡りをやっている。まだシステムを倒さずに動かしていることぐらいは、ほめて欲しいがそれもない(笑)」と語ったほか、「iPhone 5」について、LTEであってもデータ通信を行いながら通話が可能であることなどを語った。「LTEと3GのCSフォールバック(LTEネットワーク上の音声通話を3Gに切り替える機能)はずっと作っており、動作確認はしている。iPhone 4Sでできていることは、LTEになっても基本的には同じようにできる」とした。

 また、LTEのエリアに穴があればあるほど、アンテナが電波を探すために電池の保ちが悪くなる可能性があることなどを説明した。

 さらに、宮川氏は「2GHz帯で長く3Gをやってきたので経験は我々の方があり、LTE化しやすい。また、どちらが空いているかといえばauの方が空いているだろう。エリアについてはこれは後から追いかけていくことになる。追いつく自信はある」などとした。

 900MHz帯に対応する「iPhone 5」については、「iPhone 5がたくさん売れれば、2GHz帯でLTEを展開しやすくなる」などと話していた。

 




(津田 啓夢)

2012/9/14 23:01