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ドコモのスマホにNFC、決済や「かざしてリンク」提供へ


 NTTドコモは、10日に発表した冬モデルのうち5機種(タブレット含む)で、近距離無線通信規格の「NFC」に対応する。おサイフケータイ機能は、これまでのFeliCaに加えてNFCに対応することにより、5機種のうち2機種ではNFCによる決済サービスも2013年上半期から利用できるようになる。あわせてドコモでは、NFCサービスの提供に関してMasterCardと提携することで合意した。

 今回、ドコモの冬モデルのうち、「ARROWS V F-04E」「Xperia AX SO-01E」「ARROWS Kiss F-03E」「AQUOS PHONE ZETA SH-02E」「ARROWS Tab F-05E」の5機種で、FeliCaに加えてNFCに対応した。さらにこれらのうち「Xperia AX SO-01E」「AQUOS PHONE ZETA SH-02E」の2機種では、NFCによる決済サービスが利用できる。

 NFCは、リーダーライターやICタグにかざして利用する“非接触型”の近距離無線通信技術。これまで日本やアジアで利用されてきたFeliCa、欧米で利用されるMIFARE(TypeA)などと互換性のある規格となる。機能としては、NFC対応カードやICタグのデータを読み書きする「リーダーライター」モード、周辺機器と繋がる「P2P」モード、そして決済などに利用できる「カードエミュレーション」モードが用意されている。NFC対応機器であっても、3つの機能全てを満たすとは限らず、たとえばNFC対応スピーカーといった周辺機器は、P2Pモードでスマートフォンと繋がり、音楽をBluetooth経由で再生する、といった使い方になる。

 NFC対応機器などには、アルファベットの「N」をモチーフにしたロゴマークが添えられる。ただし、今回発表されたドコモのスマートフォンにそのマークはない。これまでのおサイフケータイのロゴマークは継続して配置されており、そのマークの部分をかざせば通信できるとのこと。

 

NFCの決済対応機器、海外でiD利用可能に

 ドコモでは11日、クレジットカードブランド大手のMasterCardと、モバイル向け決済サービスでの業務提携で合意。これにより、MasterCardは、非接触型の決済手段「MasterCard PayPass」の技術をドコモに提供する。

11日の会見に登場した、MasterCardのアジア太平洋・中東・アフリカ担当プレジデントのヴィッキー・ビンドラ氏 “おサイフケータイが海外へ”と紹介

 ドコモのクレジットブランド「iD」を利用するユーザーは、NFC対応のドコモのスマートフォンを使って、日本だけではなく、世界41カ国、約50万カ所におよぶコンビニエンスストア、ファストフード、スーパーマーケット、ドラッグストアなどで、かざして支払う、という決済手段が利用できるようになる。サービス開始時期は2013年度上半期になる見込み。担当者によれば、仕組みとしてはほぼPayPassそのものとのことで、PayPassのTypeA/B対応サービスは2013年4月〜5月にスタートする。NFC対応機種を持つ「iD」ユーザーは特に事前の申し込みなどをせずに、渡航先で「PayPass」のリーダーライターが設置してある店舗で、「iD」による決済が可能になる。

 どの国に対応店舗がどの程度存在するか、現時点では明らかにされていない。サービス開始時には詳細が案内される見込み。

 またドコモは9日、韓国KTと、韓国内で利用できる電子マネー「Cashbee」をドコモのスマートフォンで利用できるよう検討すると発表していたが、今回、2013年度上半期から、ドコモのNFC対応スマートフォンで「Cashbee」が利用できるようになることが明らかにされた。利用できるのは、ロッテグループの店舗のほか、地下鉄など韓国内約5.2万カ所(2012年9月時点)になる。

PayPassのリーダーライター Cashbeeのリーダーライター

 こうしたサービスは、いずれも基本的に、ドコモユーザーが海外旅行時、現地での決済手段として新たに利用できるようになるもの。既に国内ではFeliCa対応のリーダーライターが普及していることから、今後数年は、「日本国内はFeliCa、海外ではNFC」といった使い分けになると見られる。

 またNFC対応の決済サービスを利用するには、サービス開始頃に提供される、新たな種類のSIMカードが必要になる。このSIMカードにType A/Bのセキュアエレメント(セキュアなメモリ領域)が組み込まれており、もし2台のNFC決済対応機種を所有している場合、一方の機種からもう一方へ、SIMカードを差し替えるだけで、決済アプリごとを移行できる。万が一、SIMカードが盗まれるとNFC対応決済サービスのアプリごと盗まれることになる。

 

NFC決済サービス、提供の仕組み

 これまで、おサイフケータイのFeliCaチップの領域は、決済サービスなどは、フェリカネットワークス(ソニー子会社、ドコモやJR東日本が出資)が審査、運営する形となっていた。一方、NFC対応機種で、非接触ICのTypeA/Bのセキュアエレメントを用いるアプリを提供するには、フェリカネットワークスと同じような役割を果たす事業者の審査を受ける必要がある。

 こうした審査を行う事業者は、NFC業界では、TSM(Trusted Service Manager)と呼ばれているが、今回、国内のNFCサービスでは、昨年12月に設立された協議会での検討の結果、各キャリアがTSMの役割を担うことになった。そのためドコモのユーザー向けにサービスを提供するにはドコモの審査を受ける形になる。実際の手続きでは、各キャリア向けの申請書は同等の内容に統一するなど、手続きの軽減化が図られる見込み。

 

周辺機器と繋がる「かざしてリンク」

 携帯電話をかざすことで、決済サービスやポイントカード、乗車券などが利用できるサービスの総称として、これまで「おサイフケータイ」が用いられてきた。ドコモでは今回、NFC対応スマートフォンの導入にあわせて、周辺機器と繋がる利用スタイルを「かざしてリンク」と名付け、1つのブランドとして展開する。

名古屋の東山動物園では、おサイフケータイやNFC対応機種をかざして、動物の情報を得る、という取り組みも NFC対応のICタグ。これは1枚100円程度とのこと

 主な対応機器・サービスは、「アインお薬手帳」(アインファーマシーズ)、「ピットタッチ・ミニSx/ピットタッチ・ナノ」(ビー・ユー・ジー)、「てまぱなびアプリ」(トヨタマップマスター)、「ワイヤレススピーカー/ワイヤレスステレオヘッドセット」(ソニー)、「TAPLINK」(大日本印刷)、「Cylsee」(サイバーエージェント/凸版印刷)となる。

ドコモのアプリをNFC対応スマホで使えば、ICタグにURL情報を書き込む、といったことも可能 左が「かざしてリンク」のロゴ。他社での利用も働きかける
NFC対応スピーカーとヘッドホン スピーカーの底面にはNFCによるペアリングをオフにするスイッチも

 こうした製品・サービスは、周辺機器、あるいはICタグを使ったスマートポスター、クーポンなどになる。これまでのおサイフケータイでは、店頭に設置されているリーダーライターの多くがPOSレジそばに設置されている。しかし、NFC対応スマートフォンが広がれば、NFC対応のICタグをテーブルに貼って、店舗会員へ登録するよう誘導したり、クーポンを発行したりするなど、店舗とユーザーの接点を増やせる効果が期待できる。また、同時に発表されたNFC対応の決済サービスは、主に国外での利用を想定したものとなる一方、「かざしてリンク」は国内で活用できる機能ということになる。

 周辺機器については、これまでBluetooth対応製品が登場しているスピーカーやキーボード、マウスなどのほか、プリンタなどのWi-Fi機器などで採用されれば、より便利に利用できるようになる。スピーカーなどでは、NFCでの通信が、Bluetoothの機器接続機能である“ペアリング”を代替しているが、これまでのペアリングでは機器同士の接続が煩雑だったが、NFCであればかざすだけで繋がるようになる。

 NFCはあくまでペアリング部分を担い、データ転送は、Bluetooth、Wi-Fiなどさまざまな通信手段を利用できる。機器とスマートフォンの接続には専用アプリが必要になると見られ、ソニーのNFC対応スピーカーも専用アプリを用いる形となっている。

 




(関口 聖)

2012/10/11 12:20