今週のケータイ Watchの読み方 (2012年10月12日)


ソフトバンク、ドコモが新製品発表会


 

 10月9日にソフトバンクモバイルが冬・春モデルを、11日にはNTTドコモが冬モデルの新商品発表会を開催した。

 ソフトバンクは主力のiPhone 5を9月21日に発売しているが、10月9日はAndroidスマートフォンを中心としたラインナップを披露した。発表会では、900MHzの“プラチナバンド”や、今回のラインナップでスマートフォンでも対応端末が増えた、WCPのAXGPネットワークを利用する「SoftBank 4G」をアピール。自社が構築するLTEネットワーク「SoftBank 4G LTE」についてはiPhone 5向けのネットワークと位置づけた上で、KDDIのLTEと比較し優位性を強調した。

 地上デジタル放送のフルセグ受信対応で防水というデジタルフォトフレームも発表されたが、変わり種は「SMART TV」だ。テレビのHDMI端子にスティック型の端末を装着し、無線LAN経由でさまざまなコンテンツがテレビで利用できるようにするというもの。最近では、Androidをスティック型端末に搭載し、「スマートTV化」を謳う実験的な製品は秋葉原などで販売されているが、ソフトバンクの製品は「TSUTAYA」などのコンテンツの利用と組み合わせ、スピーディに製品化してきたという印象だ。エイベックスとの「UULA」などの取り組みも、スマートフォン時代のコンテンツ利用を占う意味で、注目が集まる。

 NTTドコモはすでに秋モデルとしていくつかの新モデルを発表しているが、「冬モデル」として新たに新商品を披露。他キャリアと比べてもラインナップ数は多いが、発売時期などから「春モデル」が別途控えていると見られる。

 ラインナップは新商品のスマートフォン全機種がXiに対応し、通信速度も100Mbps対応を謳う。9月中旬のiPhone 5発表後にソフトバンク、KDDIが次々とLTEサービスを発表し、LTE方式そのものに注目が集まった影響からか、発表会で見られた「Xi」のロゴの脇には「docomo LTE」というロゴも追加されていた。

 そのLTEで先行する同社は、プレゼンテーションでLTEの基地局数にも触れたが、従来通り人口カバー率などで一日の長をアピールした。端末はいくつかの端末に絞り込んで紹介されたが、シャープのIGZO液晶搭載モデルやワンピースコラボモデルなど、バリエーションの豊かさが特徴。

 サービス面では、NFCの決済に対応する端末を用意すること、さらに海外ではマスターカードと提携して、海外でもNFCの決済を利用できるようにする施策を発表。電子決済サービスの国際展開に道筋を付けた。「ドコモメール」(spモードメール)や「ドコモ電話帳」のクラウド化など、「ドコモクラウド」も本格化する印象。こうしたクラウドへの取り組みは個人が複数の端末を使う時代を見据えたものとも考えられ、販売戦略を含め、大きな布石になると考えられる。

 登壇した加藤社長は、社長就任後初めての新商品発表会でのプレゼンテーション。最初はやや緊張した語り口だったが、当初の予定よりアドリブが多かったとのことで、終盤には身振り手振りを加えて、自信を持って語っている様子が現場では伝わってきた。

 


ソフトバンク、2012年冬・春モデルを発表

ドコモ、2012年冬モデルを発表

 


 

ソフトバンク、米Sprintへ出資で協議中

 

 NTTドコモの新商品発表会が開催された10月11日、ソフトバンクが米国3位の通信キャリア、Sprint Nextelを買収するとの報道が流れた。ソフトバンクは当初「憶測に基づくもの」とコメントしていたが、翌12日には「協議中なのは事実」と出資協議を認めた。

 米国のキャリアはVerizon Wireless、AT&Tが2大キャリアとして存在し、米SprintはiPhoneの販売を開始したものの、厳しい経営環境にあるとされる。多額の負債も前向きな要素ではない。4位のT-Mobile USAは5位のMetoroPCSと合併を発表するなど、米Sprintを取り巻く環境は急速に厳しくなっており、ソフトバンクの出資は、Sprintにとっては救いの手という見方もある。

 仮に米Sprintへの出資(買収)が決まっても、日本のソフトバンクユーザーにとっての影響は、未知数な部分が多い。インフラ投資の効率化やコスト削減がまず予想され、端末調達のスケールを拡大できるというメリットも期待できる。一方、ソフトバンクが買収したボーダフォンがそうであったように、端末やサービスの、実際の展開において「グローバル」を押し付けても失敗する。米国で人気のサービスや端末が必ずしも日本で流行るとは限らないのは、モバイルが極めて個人的でローカルな、コミュニケーションという“文化”に根ざしているからにほかならない。仮に出資が決定すると、そうした二国間の舵取りにも注目が集まる。

 


ソフトバンクと米Sprint、出資に向けた協議

 


 

ニューモデルの発表・新情報


ソフトバンク、AXGP対応ルーター「102HW」を19日発売

ASUS、タブレット端末をAndroid 4.1へアップデート

 




(太田 亮三)

2012/10/12 21:10