ドコモ基地局に災害時の省電力機能、2013年3月から燃料電池も


 NTTドコモは、同社の携帯電話基地局における長時間の停電への対策を発表した。既に遠隔操作での省電力機能が導入され、2012年3月からは燃料電池が導入される。

 これまでも携帯電話の基地局には、予備的な電源が用意されており、災害などで停電が発生しても、しばらくは稼働できるようになっている。しかし、停電が長時間におよぶとバッテリーが尽きて、基地局が停止することもある。こうした状況に対しては、バッテリーのほか、スタッフを派遣して自家発電装置を設置することもある。2011年3月の東日本大震災で広いエリアに影響が出たこともあり、ドコモでは、基地局の稼働用電力の対策に取り組んでいた。

 今回発表された対策の1つは、遠隔制御での省電力機能となる。これは、今年4月~7月にかけて、全国にある基地局のうち、Xiはほぼ全て、FOMAは7割程度で導入された。遠隔での制御で、基地局全体あるいは個別に電源をON/OFFできる。これまで、同様の省電力制御は、停電発生後、スタッフが現地に駆けつけて手動で設定していたが、遠隔操作に対応。7月の九州豪雨、9月の台風17号でも運用されたとのことで、その際は、2時間程度、稼働時間を長くできたという。2時間はわずかな時間に思えるが、同社では「その間にスタッフが現地に到着して対応できる」としているほか、複数の基地局に対して短時間に省電力化を適用できることもメリットの1つに挙げられる。

 さらに同社では、2012年3月から関東甲信越の一部基地局で、基地局用の燃料電池を導入する。基地局を24時間、稼働するために必要な鉛蓄電池を比較すると、重さは約1/14、容積が約1/2と、大幅に軽量化および小型化される。またメタノール水溶液(濃度60%未満)を燃料として、40時間以上、基地局を稼働できる。この濃度60%というメタノール水溶液は、消防法上、危険物に該当しないもので、今後はバイオ燃料の導入も検討する。2013年度以降は、関東甲信越以外の基地局で導入していく。なお、現時点では、燃料電池を導入する基地局数は明らかにされていないが、バッテリーの入れ替えが予定されている基地局での導入などが想定されている。




(関口 聖)

2012/10/25 16:36