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子供のスマホ率が1年で2.6倍に、スマホに依存する心理とは

 デジタルアーツは、スマートフォンを含む携帯電話を持つ全国の小中高校生、その保護者を対象にした利用実態調査を発表した。東京成徳大学 応用心理学部の田村節子教授が監修したもの。10日、同社は都内で記者説明会を開催し、調査内容を詳しく紹介した。

 後半には、田村教授から子供のスマートフォン利用に関する心理状況、そしてコラムニストでインターネットユーザー協会代表理事の小寺信良氏からスマートフォンの利用トレンドの解説が行われた。

女子高生のスマホ率は65%

 今回の調査は、11月9日〜10日にかけて、小中高校生の男女618名、その保護者層618名、計1236名を対象に、インターネット上で実施された。

 今回の調査で明らかになったのは、子供がスマートフォンを持つ割合が急増したこと、フィルタリングの利用率が高校生になると減少すること、女子高生はネットで知り合った人と実際に会うことを望む割合が5割を超えていることなど。

調査のポイント

 まず、所有率については、10歳〜18歳におけるスマートフォン所有率は37.4%となった。1年前に行った同様の調査では、スマートフォン所有率が14.4%で、倍以上の増加を記録した。特に高校生では60%を超える所有率で、女子高生は65%もの所有率に達した。一方、保護者のスマートフォン所有率は、「この1年で1%の増加だった」(デジタルアーツ経営企画室の吉田明子氏)とのことで、子供のほうがスマートフォンに親しみ、知識を蓄えつつも、親がその動きについていっていない状況が透けて見える。

 また、フィルタリングサービスの利用率は、スマートフォンの場合、33.8%(スマートフォン非所有者で39.3%)に留まる。特に高校生は、自由にWebブラウジングできないことから利用率が下がっているという。

メール、電話の2強に「LINE」

 現実の友人とコミュニケーションする手段としては、メールが78.2%、電話が55.5%と、高い利用率となる一方、「LINE」が22.5%、「Twitter」が12.9%となっている。LINEやTwitterの利用率が低いように見えるが、これは小中高校生をあわせた利用率で、高校生に限ると、他の年齢層によりも利用率はぐっと上がる。特に女子高生では、LINEの利用率が54.4%となり、メールの81.6%、電話の50.5%と比べ、既に電話の利用率を超えている。

 こうした利用状況に対して小寺氏は、「キャリアの新製品がスマートフォンばかりで、子供のスマートフォン利用率が増加するのは年初から予想されていた。そしてLINEが伸びてきている。かつて女子高生の間では通話定額のため、ウィルコムを2台目として持つ流れがあったが、通話もでき、スタンプでやり取りもできるLINEに変わりつつあるようだ」と指摘する。

リアルな友人とのコミュニケーション手段

 ちなみに、LINEについては、iOS版で電話番号認証かFacebook認証という形でログインする仕組みになった際、アプリのレビュー欄に「電話番号がないiPod touchでは利用できないじゃないか、という指摘が数多く寄せられた。子供ではiPod touchが利用されている」(小寺氏)という。

 ネットでの知り合う経緯として、高校生はTwitterで知り合う割合が高い。男子高校生では56%、女子高生では54.3%という割合で、中学生の17%前後と比べて3倍も多い。男子高校生は、次いでLINE(40%、女子は16%)となっている。さらにネットで知り合った人とは、ほぼ毎日(20%)、あるいは週に数回(27.8%)と高い頻度で連絡を取る子供も一定数存在する。会ったことがない相手について、住所や生い立ち、職業(会社名/学校名)などの情報を把握しているかどうか、という点では、高校生のほうが相手の情報を得ている事例が多く、女子高生は他の学齢と比べて、特に相手のことをよく知っている傾向が示された。

思春期「スマホに依存しやすい」

左から田村教授、小寺氏、工藤氏

 子供の携帯電話の利用スタイルは、日本国内では議論やさまざまな取り組みが続いているものの、たとえばフィルタリングサービスの利用率は、先述した通り、あまり高くはない。

 子供がスマートフォンを手にすることで、コミュニケーションツールとして利用されることが今回の調査で浮き彫りにされる中、同調査では、家族とのコミュニケーションの密度はさほど変化がないものの、友人とのやり取りが密になる傾向も見えている。

 こうした状況になる背景として、田村教授は、特に思春期を通じた成長の中で、人は自己肯定感を求め、自尊心を満たすという欲求に駆られると説明する。「今の子供は忙しい。大人もまた忙しい。そうすると隙間時間を利用しやすいスマートフォンでネットの世界にアクセスして、他の人と繋がる可能性が高まる。すると実際に出会う可能性も高まる」と語る。

 青少年の時期には、多くの人が、その人なりの悩みを抱える。そうした悩みの相談先として「ネットのほうが本音を言える。匿名性が保たれ、悩みそのものはさらけ出すことになるが、誰の悩みかわからないままにできる」と田村教授は解説し、子供にとって心地の良い場所になるとする。自分の気持ちを分かって欲しい。でも周囲には話しづらい――その結果、スマートフォンを通じてネットへの依存度が高まりかねない。

 実際に悩みに対して、ネットを通じて適切なアドバイスが行われ、悩みの解決に繋がることもあるが、リアルで出会って性的暴力に遭遇するなど犯罪に巻き込まれる可能性もある。高校生のほうが積極的にスマートフォンを活用する姿が今回の調査では示されているが、小中学生については保護者が代理回答しているとのことで、田村氏は「ネットで知り合った人と実際に会っている小中学生は少なからず存在する」とも語る。また、出会いには繋がらずとも、実際に顔を会わせたことがない相手に対してメールなどでやり取りしているうちに恋愛感情を持つケースも少なくないという。

 友人から届いたメールにすぐ返信しなければいけない、というスタイルも、依然として残っているとのことで、田村氏は適度な距離感でスマートフォンやネットと付き合えるよう、子供や保護者、教師への教育をより一層行うことなどを提言する。

 同様に小寺氏もまた、「スマートデバイスの1台1台にデジタルアーツのフィルタ製品を導入するのは金銭的に厳しい。ルーターに設定できればいいかもしれないが、高校生と小学生の子供がいる家庭など、子供の年齢が離れていると一律設定は難しい。またルーターでの設定を行える人は少ない。たとえば子供の年齢を登録すると、その家庭向けに設定されたルーターのレンタルサービスはどうか」などと提言していた。

(関口 聖)