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「スマホ内の個人情報をどう扱うか」、SPSCがポータルサイト

「スマホ内の個人情報をどう扱うか」、SPSCがポータルサイト

 スマートフォンにおけるプライバシー情報の取り扱いに関して、通信業界やゲーム業界、広告業界など22の業界団体が参画する、スマートフォンの利用者情報等に関する連絡協議会(SPSC、Smartphone Privacy and Security Council)は20日、活動内容の報告、関連資料をまとめて掲載するポータルサイトを開設した。

 SPSCでは、手本となるプライバシーポリシーや業界共通のガイドラインに関して、複数の業界の橋渡しをして情報交換を進め、ガイドライン策定の支援を行ってきた。また、表示エリアが限られるスマートフォンアプリにおいて、プライバシーポリシーをどう表示すれば効果的なのか、あるいは推奨事例や問題事例、海外の動向などについても情報交換などを進めてきた。

 今回開設されたポータルサイトでは、これまで行ってきた会合での資料、各業界でのガイドラインが掲載され、アプリ開発事業者など、スマートフォン関連事業者の参考になるような情報を提供していく。

ユーザーに分かりやすい環境作り目指す

 SPSCは、スマートフォンにおけるプライバシー情報の取り扱いについて、さまざまな業界でのガイドラインの策定を促進することなどを目指して、今年10月に設立された。

議長を務める慶應大の新保准教授

 急激に普及が進むスマートフォンは、フィーチャーフォンより、アプリで扱える情報の範囲が格段に増えている。アドレス帳、アプリの利用履歴、位置情報などを活用して、よりユーザーの好みにあわせたコンテンツの提供が可能になる一方で、そうした情報がどのように活用され、どこまで転用されるのか、ユーザーにとってはわかりづらいケースもある。今年8月には、スマートフォンでのプライバシー情報の取り扱い方について、一定の方針を示す「スマートフォン プライバシー イニシアティブ」が総務省から示された。そして、法的規制ではなく、民間事業者自身による取り組みを促進させるため、SPSCが設立され、これまでに3回の会合が催された。

 そこでは、他業界の参考になるようなプライバシーポリシーへの取り組みなどが紹介されたとのことだが、記者会見では詳細は明らかにされず、今後、ポータルサイトで開示される見込み。熱心に取り組む業界もあれば、どう取り組んで良いか迷っている業界もあるとのことで、SCPCの議長を務める慶應義塾大学総合政策学部の新保史生准教授は、「(これまでは異なる業界と)横方向で情報共有できていなかった。業種が違うと新鮮な部分がある。情報通信、情報サービス、マーケティング、広告など業界を超えた協議会で、隣接する業界以外についても新たな取り組みが分かる。これはSCPCの意義だと思う」と語る。

 SCPCを通じて、各業界が得たノウハウはそれぞれのプライバシーポリシーの運用へ徐々に反映されると見られるが、SCPCでは具体的なスケジュールは明示していない。一方、参加団体に対してアンケート調査を行ったところ、同じプライバシーの扱い方を示す文書であっても、表現で用いる言葉が統一されていないこと、あるいはグローバルな基準との整合性、テーマごとの連絡会の設置など、多くの要望が寄せられたとのことで、こうした課題の解決にも取り組んでいく。

関口 聖