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ドコモ加藤社長、「新生活のパートナーに」〜iPhoneなどにも言及

 NTTドコモは22日、都内で2013年春モデル発表会を開催した。発表会では、同社代表取締役社長の加藤薫氏から端末紹介や新たなサービスコンセプトなどが語られた。

「Kindle Fireと狙いは同じ」

 春モデルに加えて、今回の発表で特徴的だったのは「ドコモ スマートホーム」だ。これは、宅内でのサービス利用促進を目指す物で、総合サービス企業への展開を目指すドコモにとって、デジタルコンテンツ分野を強化する施策の1つだ。

スマートホームは2つの路線
今回はdtabとdstickを用意

 その「ドコモ スマートホーム」を実現するために提供されるタブレット端末「dtab」は、キャンペーン価格ながら9975円という安価な値付け、Wi-Fiのみに対応と、ドコモにとってこれまでにない異色の商品だ。こうしたWi-Fiタブレットがドコモから提供されるのは初めてのことで、その意外性には、会見後半にCMキャラクターとして登場した渡辺謙がアドリブで加藤氏に対して「(dtabは)お手頃な価格。Wi-Fi専用で、ドコモは大丈夫ですか?」と尋ねたほど。

 この質問にドコモ加藤氏は「dマーケットをどんどん使っていただくのが第一」と回答しており、dマーケットで提供される映像配信サービス、電子書籍配信サービス、楽曲配信サービスの利用を促進し、ひいてはユーザーがドコモから離れにくくする環境作りを目指す、というのが「dtab」提供の背景にある考えであり、「ドコモ スマートホーム」の狙いだ。

dtabの特徴
dマーケットの利用を促進するホーム画面

 ただ、ドコモが目指すデジタルコンテンツ分野の拡充はどの程度の見込みがあるものなのか。いわば“キャリア独自サービス”となる部分だが、ドコモによれば、dマーケットの利用数は、映像配信サービスの「dビデオ」(月額525円)が320万契約、アニメ専門サービスの「dアニメストア」(月額420円)が22万契約、音楽PV配信の「dヒッツ」(月額315円)が33万契約、楽曲ダウンロードが570万件、電子書籍ダウンロードが2200万件とのこと。こうした領域の売上高を、ドコモでは2015年度には1000億円にする計画だ。

dtabの利用シーン
dtabはキャンペーン価格で9975円。dビデオ(月額525円)を6カ月契約する必要がある

 1000億円の売上を達成するための取り組みとして、今春、提供されるのが、「dtab」、そしてテレビに装着する「dstick」だ。「dstick」はソフトバンクから発売予定の「SmartTV」をキャッチアップする商品で、競合他社の取り組みに習う形だが、これもまた宅内でのドコモのコンテンツの利用促進を図るものだ。

dstickの特徴
dstickの利用シーン

 質疑応答で加藤氏は「dtabはWi-Fi専用だが、ドコモのコンテンツ/通販サービス『dマーケット』を家庭内で利用するには、より大画面が良いだろうということでdtabを用意した。キャンペーン価格は1万円を切り、Amazonが提供するタブレット『Kindle Fire』と狙いは同じ」とコメント。総合サービス企業を目指すドコモとして、モバイル領域だけではなくコンシューマーの生活シーンの隅々まで浸透するための施策の一環と位置付ける。

 だからこそ、ファーウェイ製の「dtab」は、本来の価格は2万5000円〜6000円程度だが、キャンペーン価格として9975円という戦略的な値付けが行われた。なお、国内メーカーのタブレットを、将来的な「dtab」として採用する可能性はあるものの、現時点で決まった予定はないとのこと。

 一方で、ドコモユーザー限定、という形にメリットを見出しにくいユーザー層も存在する。この点について、「既に手元にある端末で利用できるほうが便利ではないか。ドコモのサービスが優位な点はどこか」と質疑で問われた加藤氏は「dtabは独自のホーム画面で、dマーケットを利用しやすい形にしている。ドコモがWi-Fi専用機を出す上で、そういう画面を家庭にお届けする。優位性というか、ドコモが意志を持って(そういったユーザーインターフェイスの端末を提供し)お届けするということ。中身はこれからどんどん高度化、多様化させていく」と回答。dtabの意義を強調しつつ、具体的な優位な部分は今後明らかにする、と含みを持たせるに留まった。

 また、プレゼンテーションでは、冒頭に「生活を彩るパートナーでありたい」、ラインナップを紹介する際に「最高のパートナーに進化したスマートフォンを紹介する」、そしてプレゼンテーションの締めくくりに「新しい生活のパートナーに選んでほしい」と“パートナー”を繰り返し、ユーザーの嗜好にあわせていく姿勢をアピールしていた。

固定網とのセットは「難しい」

 「ドコモ スマートホーム」は、Wi-Fiありきの取り組みだが、ドコモ自身はモバイルサービスを提供する事業者で、ドコモだけでサービスの提供が完結しない。固定通信事業者との連携を想像してしまうが、NTTグループの力を結集したサービスの提供は難しいようだ。

 KDDIやソフトバンクなど、競合他社は固定通信も手がけ、特にauが2012年春から提供してきた「auスマートバリュー」は、スマートフォンと固定網のセットで割引するという内容で人気を博している。

 加藤氏は「固定回線そのものとの連携ではなく、今回はひかりTVということで、NTTぷららと協力する形だが、その辺から始めていくのだろうと思っている。こうなると、相乗効果で有線系のブロードバンドサービスの必要性が高まるといいなと思っている」としつつも、料金的な施策は「いろいろ案があって考えているが、ドコモの立ち位置からすると難しいところがある。どうやったらいいのか、引き続き検討していきたい」とした。

エリア展開

ファーウェイ製端末は下り最大112.5Mbps対応

 今回、ドコモのスマートフォンは、下り最大100Mbpsに対応した。この下り最大100Mbps(LTEのカテゴリー4対応機種は下り最大112.5Mbps)を実現するのは、1.5GHz帯で15MHz幅×2という電波を使える場所に限られ、たとえば東名阪、福岡、札幌では2014年初頭まで利用できない。その一方で、既に新潟や金沢、那覇、高知など各地から順に展開しており、現時点で15都市、2013年3月時点では22都市、2013年6月には50都市以上で、下り最大100Mbpsのサービスがスタートする予定だ。

100Mbps/112.5Mbps対応都市は拡充
下り最大75Mbpsの基地局は6月にも1万局へ

 また、多くの屋外エリアで、下り最大37.5Mbps(5MHz幅×2)となっているが、全国の県庁所在地において周波数を増やして下り最大75Mbpsにする計画も進められている。冬モデル発表の段階では、75Mbps対応基地局(2012年12月時点では500局)は、2013年3月には4000局となる計画とされていたが、今回、さらにその先のスケジュールも示され、2013年6月には1万局に達するという。

  • 2012年12月時点
宮城県 仙台市の一部
福島県 郡山市の一部
新潟県 新潟市の一部
石川県 金沢市・小松市の一部
富山県 富山市の一部
福井県 福井市の一部
香川県 高松市・綾川町の一部
愛媛県 松山市・松前町の一部
高知県 高知市の一部
徳島県 徳島市・藍住町の一部
沖縄県 那覇市の一部
  • 2013年3月末時点
北海道 札幌市の一部
岩手県 盛岡市の一部
福井県 敦賀市の一部
岡山県 岡山市・倉敷市の一部
広島県 広島市・福山市の一部
  • 2013年6月末時点
北海道 旭川市、釧路市、江別市、千歳市、帯広市、苫小牧市、函館市、北見市の一部
青森県 青森市の一部
秋田県 秋田市の一部
山形県 山形市の一部
福島県 福島市の一部
新潟市 新発田市、長岡市の一部
長野県 長野市、松本市、上田市の一部
富山県 高岡市の一部
広島県 尾道市の一部
山口県 周南市、防府市の一部
鳥取県 鳥取市、米子市の一部
島根県 松江市の一部
高知県 南国市の一部
沖縄県 浦添市、沖縄市、糸満市、うるま市、南城市、名護市、豊見城市の一部

Tizenも検討

 iモード端末は年に1回で、先の冬モデルに用意されていたことから、今回の春モデルはAndroid搭載の機種ばかりとなった。しかし、キャリアとして、1つのプラットフォームへ依存することは、リスクを伴う。

 加藤氏は「端末とネットワークとサービスと、総合的に展開して、ユーザーに価値を提供していく中で、Androidの良さはあるがグーグルのコントロールがある。それ以外のものも頭の中にある。一部報道であった“Tizen”を検討しているのは事実だが、いつ出てくるか、今は見えない状況」と述べた。

 また「Windows Phone 8は、少し日本での導入が遅れそうという話がある。一義的にはメーカーと(プラットフォームの)ベンダーの話だが、できるだけバリエーションは念頭に起きながら考えていきたい」と述べた。

イチオシは「Xperia Z」、端末供給はぬかりなく

Xperia Zを手にする加藤氏

 プレゼンテーションで春モデルを機種ごとに紹介する場面で、最も注力して説明が費やされたのは「Xperia Z」で、加藤氏も「イチオシ」とするほど。「スマートフォンはこの2年ほどでずいぶん進化してきた。iPhoneという存在があって、各メーカーが追いつけ追い越せと、各社ごとのアイデンティティを持ちながら進化してきている。夏モデルではGALAXYだったと思うし、冬モデルではIGZO液晶のAQUOS PHONE ZETAがあった。それが春モデルではXperia Zだった」と、最も進化感のある機種をピックアップし、わかりやすく伝える意図があるとした。

 一方、春モデルの提供がMNPへどういった影響を与えるか、加藤氏は「冬モデルもXperia NXとAQUOS PHONE ZETAが人気だったが、今回もフルHDのラインナップが揃って、端末同士のテイストも世界観も競い合って、競争力が上がってきている。iPhoneには一日の長があり、また違った人気がある。どう対抗できるかは課題だが、十分戦えると思っている」と説明する。

 昨夏には、チップセットの調達不足などから端末の在庫不足を呼び、冬モデルの一部も在庫が足りない状況があったのではないかと指摘されると、「春モデルではそうしたことがないよう、メーカーと協力してきちんと供給できる体制にしている」とした。

春モデルは高精細、下り最大100Mbps対応、高速処理
冬モデルとあわせてラインナップ
高精細なディスプレイに
大容量バッテリー、NFC、NOTTV搭載機種も増えた

iPhoneについて

 一部インタビューで「iPhoneの販売ノルマ」について触れたとされる加藤氏だが、「前任の山田(前社長)のときから申し上げている通り、iPhoneは魅力的な端末だが、ドコモにはドコモの戦略がある。ドコモのスマートフォン販売数の2割〜3割程度というノルマであるならば、iPhoneを販売することはあり得る。これは、(山田前社長時代から)ずっと申し上げていること」と、ドコモとしての方針は変化していないとした。

 iPhoneをまつわる噂、一部報道についても質問が投げかけられ、「本当かどうかよくわからないところもあるが、廉価版そのものはアップルが否定したという報道がある。株価にも影響が出たと言う事実がある。モバイルは変化の激しい業界で、ごく短期で何かを判断するのは危険かもしれないが、そういう情報は尊重していきたい」と述べた。

「docomo ID」を活用する基盤

 冬モデルにあわせてスタートしたソーシャルゲームプラットフォーム「dゲーム」は、他キャリアのユーザーも利用できる。こうした形で、ドコモのサービスを広げていく可能性について、加藤氏は「ユーザーから好評を得るサービスであれば、他キャリアにも提供したい。その際はdocomo IDが必要になる。そういう基盤を今、構築している」と語った。

たくさんの機能がありながら薄い、とXperia Zを紹介した堀北真希
フルHDスマホを見た渡辺謙は「ここ数年(CMキャラで)スマホをやっているが成長に驚かされる」とコメント

(関口 聖)