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KDDI、auスマートバリュー好調で通期見通しを上方修正

KDDIの田中氏

 KDDIは、2012年度第3四半期(2012年4月〜12月)の連結決算を発表した。

 営業収益が前年同期比2.5%増の2兆7105億円、営業利益は3.0%増の3955億円、経常利益は8.0%増の3939億円、当期純利益は7.3%減の1802億円となった。

 KDDI代表取締役社長の田中孝司氏は、「第3四半期までの累計営業収益としては過去最高を記録。また、第3四半期単独の営業利益は前年同期比40%増の大幅増益として四半期としては過去最高の1643億円を計上。第1四半期からの累計でも増益に転換した。さらに、業績において大きなポーションを占めるモバイル通信料収入が第3四半期単独で増収に転換。固定電話を含めて通信料収入全体では、第1四半期からの累計で増収になった。周波数再編コストの解消も貢献している」と話した。

 さらに田中氏は、「3M戦略がモバイル、FTTHの競争力強化を促進し、2012年度通期見通しでは、営業利益の当初計画である5000億円を確実に上回る見通しとなった。パーソナルセグメントの通信料収入が増収に転換したことで、来期本格的な利益拡大フェーズに入っていくことができる」などとした。

 KDDIでは、2012年度の通期連結業績見通しを上方修正。連結営業収益は、期初計画に比べて500億円増の3兆6300億円、連結営業利益は50億円増の5050億円とした。当期純利益については、旧800MHz帯設備を含む固定資産の減損損失などが予想を上回ったことで、150億円減の2350億円と下方修正した。

 田中社長は、「営業利益の5050億円は最低限クリアする目標にしている」とした。

スマートバリューの契約上ブレ

 また、auスマートバリューによる契約目標も、au契約数で50万件増加の360万件、固定回線契約では45万増加の200万件としたほか、au純増数は32万件増加の242万件に計画を上方修正。パーソナル分野における端末販売台数も60万件増の1100万件とし、そのうちスマートフォンの販売計画は、45万件増の800万件とした。

 2012年度第3四半期累計業績の好調ぶりは、auスマートバリューの成果が見逃せない。

 田中社長は、「2012年1月に発表した3M戦略が好調に推移。なかでも通信ビジネスの顧客基盤拡大策と位置づけるauスマートバリューによって、モバイル、固定ともに、高い水準で契約数が推移。auスマートバリューによるau契約数は285万と進捗率は90%に達し、固定電話の契約世帯数は166万件と、進捗率は110%。期末の計画を前倒しで達成した。世帯1軒あたりのスマートフォンの契約数も1.72台に達している」とした。

auスマートバリュー好調に「連鎖」と「提携」

 auスマートバリューにおいては、「連鎖」、「提携」の2つのキーワードで契約数が増加していると説明する。

 「娘が、スマートフォンを購入する際に、auスマートバリューであれば、固定ブロードバンドを含めて料金が安くなるとお父さんに提案し、そこから固定ブロードバンドの契約を見直したり、家族のスマートフォンをauに変更するといった例が出ている。世帯内にスマートフォンが連鎖して契約数が増加している」とする。

 そして、提携という観点では、「固定系事業者との提携により、クロスセルエリアが拡大。auスマートバリュー提供会社は、FTTHで5社、CATVで99社180局に達し、全国世帯カバー率は約80%に達している」という。

 こうした結果、スマートフォンの新規契約のうち33%が、auひかりの新規契約のうち48%が、それぞれauスマートバリューによるものだという。

 田中氏は「auスマートバリュー導入前に比べて、FTTHユーザー獲得単価が33%低減している。2012年度通期の携帯端末販売目標を上乗せしたが、販売促進費を増やして、無理に契約数を獲得するといったことはしない。自然体で増加させていく」などとした。

 加えて同氏は、「auスマートバリューによる固定ブロードバンドの契約数はまだ166万件。現在、1200万件の固定ブロードバンドユーザーがおり、それだけでもまだまだ連鎖が拡大する余地がある。auスマートバリューはユーザーに刺さっている施策。個別の料金引き上げは考えていない」と、今後のauスマートバリューによる事業拡大に意欲をみせた。

auスマートパス400万達成、“パス”サービスへのアップセルも

 さらに、付加価値拡大策とするauスマートパスの販売も好調だという。

 2012年12月末時点でのauスマートパスの会員数は398万件となり、「1月初旬には400万件を突破。12月のスマートフォンの販売実績に対する契約率は83%に達しており、スマートフォンの定番サービスになっている」と位置づけた。

 また、16万件の会員数に達したうたパスや、ビデオパス、ブックパスといったサービスへのアップセルも順調に増加しており、「auスマートパスが、付加価値ARPUの底上げに寄与しており、携帯電話全体では240円だった第3四半期の付加価値ARPUは、スマートフォンに関しては、25%増の300円になっている」という。

データオフロード

 さらに、スマートネットワークとして、データオフロードへの取り組みについても説明。「Wi-Fi HOME SPOTは165万台を出荷し、au Wi-Fi SPOTも22万スポットとなった。2012年12月時点でのデータオフロード率は43%となっており、今年度末の50%の達成に向けて順調に進捗している。快適なネットワーク環境を提供すること、効率的なネットワーク設備投資をするという意味で重要な取り組みである」と位置づけた。

セグメント別業績

 2012年度第3四半期累計のセグメント別業績は、「パーソナル」セグメントでは、営業収益が1.3%増の2兆1076億円、営業利益が2.7%増の2918億円。「バリュー」セグメントでは、営業収益が5.9%増の1049億円、営業利益が8.3%減の310億円。「ビジネス」セグメントでは、営業収益が0.2%増の4702億円、営業利益が3.7%増の601億円。「グローバル」セグメントは、営業収益が17.5%増の1485億円、営業利益が64.3%増の53億円となった。

解約率、MNP、3年ぶりの顧客満足度首位

 auの解約率は、業界最低水準となる0.58%となり、MNP純増数は2011年10月から15カ月連続でMNP純増数首位を達成しているという。

 「第3四半期までのMNPによる純増数は、前年同期比9倍となっている。ここでもauスマートバリューの効果が貢献している。au純増数の進捗率も期初予想に対して81%の進捗率。前年同期比で32%増になっている」などとした。

 また、3年ぶりに携帯電話サービス顧客満足度ナンバーワンを獲得し、「社員に対して、お客様目線で考えることを徹底しており、その点でもこの成果は率直にうれしい。だが、慢心することなく、KDDIグループ一丸となって、顧客満足度向上に取り組んでいく」とした。

ARPU

 auの通信ARPUは、前年同期に比べて270円減の4220円、付加価値ARPUは40円減の240円。合計で310円減の4460円となった。また、au通信ARPUのうち、割引前データARPUは350円増の2880円、割引前音声ARPUは200円減の2020円。第3四半期の割引適用額はマイナス680円となった。

 田中社長は、「データARPUは業界最高の伸張となっており、13.8%と2桁台を達成している」などと述べた。

iPhone 5、iPad mini、WiMAX対応スマホ

 一方、iPhone 5の在庫が潤沢になってきたことに対しては、「iPhone 5は、発売直後から多くの方々に予約をしていただき、それが解消されたのが11月頃。ようやく潤沢に提供できるようになってきた。当初はスマートフォン全体の6割近い販売比率となっており、それは多すぎた。現時点では5割を切っている。だが、これは、iPhoneが止まっているわけではなく、当初が順調すぎただけ」などとした。

 さらに、「iPad miniの在庫状況については、だいぶクリアされ、それほど問題にはなっていないと認識している。今年はタブレット市場を大きくしていきたい。タブレットは、マルチデバイス戦略のコアになるため、今後、様々な施策を考えていく。料金面での訴求に加えて、多くのユーザーがタブレットというのはこういう使い方をするんだと、理解してもらえるようなシーンを提案していきたい。ビデオパスもそのひとつの提案になるだろう。また法人はタブレットの引き合いが強い。外で仕事をする人が、PCではなく、タブレットを持つと提案をしてきたい」とした。

 WiMAX対応スマートフォンの新製品が出ていないことについては、「現時点では、今後の計画には言及できないが、オフロードでのメリットは大きいと考えている」などとした。

地下鉄対策、LTE

 また、地下鉄対策については「順調に進んでおり、年度末にはほとんどの地下鉄エリアをカバーできるだろう」としたほか、「Wi-Fiオフロードにおいては、一部で混んでいるスポットも確かに出てきている。固定化を進めることで解決を図りたい」などとした。

 LTEのエリア拡大については、「設備投資のアクセルをベタ踏みしているが、建設能力にかかっている。また、ユーザーが集中するスポットが動いていくのでそれにあわせて強化していく必要がある。来年には99%のカバー率になる」とした。

LINEとの提携

 LINEとの提携についても言及。「現時点ではスタンプの提供と年齢認証のところでの提携となっている。音声を使うユーザーが少ないので、KDDIのビジネスにはインパクトはないが、データの部分での貢献がある。新年メールの集中を、LINEに分散させることができたという効果はあった。現時点では具体的に発表できるものはないが、いろんな意味でもう少し前に進めることができると、世界が開けると考えている。脅威になるとは思っていない」とした。

 なお、KDDIでは、2013年4月1日を効力発生日として、1対2での株式分割を行うことを発表した。「個人株主拡大を目的に、投資単価を引き下げるのが目的」(田中社長)としている。

(大河原 克行)