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ドコモ第3四半期決算、今後の機種数やXiの150Mbps化が明らかに

ドコモの加藤社長

 NTTドコモは、2012年度第3四半期(2012年4月〜12月)の連結業績を発表した。

 12月までの9カ月累計の営業収益は、前年同期比6.2%増の3兆3707億円、営業利益は前年同期比5.6%減の7021億円、税引前利益は前年同期比6.0%減の6992億円、当期純利益は前年同期比5.5%増の4164億円の増収営業減益となった。

 NTTドコモの加藤薫社長は、「通期の営業利益見通しである8200億円の達成に向けて、スマートフォンユーザー基盤が順調に拡大し、コスト削減も進展。一定の成果が表れた決算であった。だが、総販売数、スマートフォンおよびXiは好調であるものの、MNPのポートアウトが想定以上に進み、解約率も悪化。厳しい状況にあると認識している。引き続き、危機感をもって経営に当たっていくつもりである。だが、新領域ではdマーケットをはじめとした立ち上がりが順調で、これがスマートARPU(ドコモが提唱する新たな収益指標)に反映されている」と総括した。

第三四半期のトピック
営業収益の推移
主要な財務数値
営業利益の状況

スマートフォン販売は全体の75%

端末販売数

 第3四半期累計でのパケット収入は。前年同期比7.7%増の1兆4769億円。「スマートフォンの利用拡大およびXiの販売増加が要因」とした。第3四半期単独のパケット収入は、前年同期比7.8%増の5013億円となり、四半期単位では初めて5000億円を突破したという。

 総販売台数は14.0%増の1757万台、そのうち、スマートフォンの販売台数は75.3%増の969万台。Xi契約数は2012年3月末と比較して約4倍となる290%増の868万台となった。

スマートフォン販売数
Xi契約数の動向

 「総販売台数は、年間2380万台の目標に向けて順調な進捗となっている。また、スマートフォンのユーザー基盤が順調に拡大している。10月、11月は想定以上にMNPの転出超が悪化。12月も回復したといっても望むレベルには至っていない。だが、冬モデルの発売以降は、ラインアップ強化と販売施策の訴求により、スマートフォンの販売を伸ばした。主力製品を中心に順調な売れ行きとなり、競争力は回復の兆しがある。第4四半期も、春モデルにおいてタブレットを含むスマートフォンの販売を強化し、年間目標の達成に努力したい」と語った。

 11月のMNPのポートアウトの増加は、競合他社のiPhone 5の発売が影響しているが、「収益面については、Xi契約が増加していること、コスト削減があり、それほど影響がない」とした。

 だが、第3四半期の解約率は0.80%にまで上昇しており、「これは、できるだけ低減したい。従来の0.5%の水準に近づけたいが、私の個人的な目標としてはまずは0.6%を達成したい」と語った。

 純増数目標は、年間201万件としているが、第3四半期累計では85万9000件に留まる。「純増数の進捗は楽観できない状況である。だが、第4四半期は最大の商戦期を迎えることから、できるだけがんばりたい。春商戦の追加施策についてはコメントを控えるが、学生、新生活、スタートというキーワードで、学生、家族向けに展開しており、これを十分浸透させたい」とした。

純増数・MNPの状況
春商戦に向けた学生向け施策など

スマホ販売数は計画通り

 NTTドコモでは、今後のパケット収入の向上、中期的な利益成長に向けて、2012年度はスマートフォンユーザー基盤の拡大を最重要課題と位置づけ、スマートフォンの販売を強化しているが、2013年1月6日にはスマートフォンの年間販売が1000万台を突破。年間1400万台の計画に向けて順調な進捗になっているという。

 また、「Xi契約数は想定を上回るペースで進捗している」と語り、「1月9日には900万契約を突破。第2四半期決算発表時には目標数を1100万契約に上方修正したが、その目標を上回るのは確実。冬モデルのXi対応スマートフォンが好調であったことや、Xiスマホ割などの各種施策が需要を喚起した」とした。なお、Xiの1100万台の目標値は据え置く。

 機種別では、IGZO液晶を搭載し、省電力を強調した「AQUOS PHONE ZETA SH-02E」が発売から2カ月で約44万台の販売となった。スタイリッシュなデザインが好評な「Xperia AX SO-01E」は発売2カ月半で約47万台を販売したという。「結果として、この2機種が売れている。量販店におけるスマートフォンのドコモの販売シェアは、12月には50%を超えた」と胸を張った。

今後は「競争力を磨き直す」
冬モデルの販売状況

 Xiのパケット定額サービスについては、2012年9月末で「Xiスタートキャンペーン2」を終了後、新プランとして「Xi パケ・ホーダイライト」を新たに追加。「12月までの累計では依然としてXi パケ・ホーダイフラットがもっとも多いが、最近の契約数では6割がXiパケ・ホーダイライトとなっている。これはほぼ予定通りの比率。8月に比べて、11月のパケット利用額は700円増になっている」と語ったほか、「フィーチャーフォンからスマートフォンに移行した利用者は、パケット利用量は11倍となり、パケット利用額は2100円増加。スマートARPUの増加に寄与している」という。

Xiのパケット定額サービスの状況
パケット収入は拡大
スマホへの移行でパケットARPUは上昇
同社が唱える「スマートARPU」の状況

 第3四半期のスマートARPUは、前年同期比60円増の420円となった。「dマーケットをはじめとする新領域サービスで成果が表れている」と自己分析した。

 なお、Xiパケ・ホーダイライトの3GBの制限については、「契約を変えるという人は少なく、ちょうどいいプランだと考えている。顧客の用途にあわせて、多くのプランを用意するという選択肢も考えられるが、プランを沢山導入した場合に、FOMAの時のように選びにくいという声があることも懸念される。値下げ競争に入っていくつもりもない」として、当面、現行プランを踏襲する考えを示した。

LTEサービス「Xi」、150Mbpsへ

 一方、Xiについては、ドコモがLTEの仕様策定に大きく寄与し、LTE必須特許数では世界のキャリアでトップとなる204件の特許を保有していることなどに関しても説明した。

LTE関連の技術について
LTEサービス「Xi」のロードマップ

 Xiへのノウハウを語る中で、今回初めて、下り最大150Mbpsのサービス提供時期に言及した。

 「標準化の初期段階からLTEに関する技術提案を行ってきた。技術仕様への専門知見の蓄積があり、運用方法やパラメーターの最適化に関するノウハウも蓄積しており、きめ細かなネットワーク構築や、効率的で安定的なネットワーク運用が可能になっている。PS(Packet Switched)ハンドオーバーやLTE対応フェムトセルのほか、6セクタ基地局により容量の拡大などネットワークのチューニングを可能としているのが特徴」とし、「LTE先駆者として、より速く、より広く展開していく。春モデルの一部では、112.5Mbpsサービスに対応しており、3月までに22都市、6月には50都市での利用を可能にする。2013年度中には、最大受信速度150Mbpsに高速化するとともに、ベースとなる最大受信速度75Mbpsの基地局は2013年3月には4000局とし、さらに6月には1万局にまで拡大する。国内トップ50の空港、新幹線全97駅など利用率の高いエリアでのカバーを進めている」と語った。

しゃべってコンシェルの利用回数が2億8000万回に

しゃべってコンシェル、利用回数が2億8000万回に

 一方、しゃべってコンシェルについては、1月27日時点での利用数が2億8000万回、第3四半期までに700万インストールを達成。しゃべってキャラも9万ダウンロードに達した。

 「しゃべってコンシェルや、有料コンテンツであるしゃべってキャラを導線として、dマーケットのサービスを簡単、便利に使ってもらいたい」とする。

dマーケットの状況

dビデオについて

 dマーケットは、ドコモが運営するコンテンツ配信サービス。そのdマーケットのなかでも順調なサービスと位置づけられる「dビデオ」は、1月14日時点で370万契約を突破。タイトル数は7000、コンテンツ数は6万に達しており、「2012年度目標の400万の契約数に向けて、コンテンツを強化したい」(加藤氏)とした。

 さらに、ソーシャルゲームを提供する「dゲーム」では、ゲーム登録数(延べ人数)が30万を超え、15タイトルをラインアップ。今後、ゲームタイトルの充実を図るとしたほか、dショッピングでは、訪問者数が1月27日時点で約150万人、購入単価は平均約3500円、現在10万アイテムを提供。さらに同社は、今日付けで、総合ファッションECサイト運営のマガシーク社に対して、株式公開買い付けを行うことを発表した。

 加藤氏は「dマーケットの収入は、第3四半期までの累計で約140億円に到達。新たな収入源として確実に成長している。今年度は200億円を超える規模を目指す」と述べた。

dゲームとdショッピング
dマーケット全体の売上

ドコモのスマホ、機種数絞り込みへ

 今後の取り組みとして、加藤社長は、「デバイス」、「ネットワーク」、「サービス」の3つの観点から説明した。

 デバイスでは、スマートフォンの機種数の絞り込みや、機能の見直しに取り組む姿勢をみせた。

今後のデバイス展開について

 「今後のデバイス展開は、選択と集中による競争力の強化を考えている。春モデルでの『Xperia Z』のような主力機種にフォーカスした積極訴求によって、プロモーション効果の最大化を図る。また、ラインアップの絞り込みでは濃淡をつけて、顧客のニーズや販売・調達コストの観点からも絞り込みを行う。さらに、魅力ある最新機種を他社に先行してタイムリーに投入することや、フィーチャーフォンについても年一度を新たな製品を継続投入し、らくらくスマホといった特徴ある製品によってセグメントニーズにマッチした特徴あるデバイスも投入していく」という。

機種数についてコメントする加藤氏

 注目される機種の具体的な絞り込み水準については明言しなかったが、「開発リードタイムからいえば、夏モデルにはすでに取りかかっている。ここで少し機種数を減らすことになる。本格的にこの思想(機種数の絞り込み)が反映されるのは、その次の冬モデル。だが、半分にするというような具体的な計画は、現時点ではない。ただし、従来のように20機種も揃えるというようなことにはならない。企画する段階で、きちっと売れるものはどれだ、ということを決める。そうしないと、これもあり、あれもありとなり、あとは売れた結果ということになりかねない。スマートフォンの立ち上がり期や、性能、技術面で開発途上にある状況では、機能を全部揃えているものがないために、そのなかから選んでもらうということが大切であったが、いまは状況が違う。我々が売れると思うものを、できるだけ沢山買って、それをきちっと売っていきたい。我々の目利きも大切になる。機種が減るという点ではリスクもあると考えている。端末メーカーには集中してもらうことで、さらにいいものが出てくると期待している」と語った。

iPhone、Windows Phone 8への言及

 また、「Android一本では、一定のリスクがある。Tizen(タイゼン)のようなものもあるが、Android以外(のソフトウェアプラットフォーム)も視野に入れて検討したい。Windows Phone 8については、その後、進展がないままである」とした。

 なお、iPhoneに関しては、「ラインアップのひとつとしては魅力的であり、条件が整えば扱いたいと考えている」と、従来からのコメントを繰り返した。

「Xperia Z、100万台目指す」

 春モデルにおいては、高精細、高速通信モデル、高速処理モデルを中心にスマートフォン9機種、合計12機種をラインアップ。「世界初のジュニア向けスマートフォンのジュニスマも投入し、幅広いユーザーに対応できる。また、新製品発表会見で私のいち押しとしたXperia Zや、それに連動するXperia Tablet Z、2画面利用できるMEDIAS Wを投入。さらに、docomo Smart Homeでは、キャンペーン価格で9975円で提供することから、契約増加に期待をしている」と語った。

春モデルについて
春モデルのイチオシである「Xperia Z」
2画面のMEDIAS Wを投入
docomo Smart Homeについて

 「Xperia Z」の予約状況については、「具体的な数字はいえない」としたものの、「GALAXY S IIIは100万台程度売れた。Xperia Zでも、そのあたりを目指したい。予約については非常に好感触であり、このまま大好評の状況が続くと品薄が心配になるが、いまのところは大丈夫だ」としている。

新領域などでの取り組み

 一方で、ネットワークでは、LTEにおける競争優位性の徹底構築、サービスでは、メールや電話帳といった基本サービスの強化に加えて、新領域での着実な事業拡大を目指すとした。

新領域への取り組み
クラウドサービスの拡大

 同社では、メディア・コンテンツ、コマース、金融・決済などを「新領域」と位置づけており、「新領域は第3四半期累計で約3700億円の売上高となった。今後もオーガニックな成長に加えて、M&Aを含む戦略的アライアンスを含めて、2015年度に1兆円に挑んでいく」という。

 また、今後の重点分野として、健康を掲げ、「各種サービスを連携させることで、お客様のウェルネスをトータルでサポートしていく」などとした。

健康サポート分野
構造改革で2000億円の効果を生み出す

 そのほか、経営体質の強化として、2011年度比で2000億円の効率化を目指す構造改革に取り組んでいることにも言及。「社内で構造改革プロジェクトを発足させ、すべての事業領域において徹底的な見直しを実施している」と語り、このなかで、「端末企画、調達方法の見直しによる調達価格の低減」にも取り組む姿勢をみせた。

 加藤社長は、「NTTドコモが本格的に競争力を回復するためには、スマートフォン、Xiへのシフトを加速させ、スマートフォン基盤を拡大すること、デバイス、サービス、ネットワークの総合力を磨きなおすこと、経営体質強化に向けたコスト効率化や構造改革を着実に実行することである。これらに全力に取り組むことで、今年度の当初の営業利益目標であった9000億円の利益レベルに再挑戦していきたい」と語った。

株主配当
今後の施策まとめ
オペレーションの状況
ARPU、MOUについて

(大河原 克行)