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NECカシオがMEDIASシリーズ春モデルの製品説明会を開催

 NECカシオモバイルコミュニケーションズは19日、都内でMEDIASシリーズについての新製品説明会を開催した。ドコモの2012年冬モデル以降の、発売中もしくは発売予定の3機種に関する解説を行い、実際に端末に触れて動作を確かめられる場も設けられた。

合言葉は「SMARTPHONE IS MEDIAS」

商品企画部 部長 辻宏和氏

 説明会の最初に登壇した同社商品企画部 部長 辻宏和氏は、冒頭で「SMARTPHONE IS MEDIAS」というメッセージを掲げた。「スマートフォンと聞いて一般ユーザーが思い浮かべるブランドは、iPhone、GALAXY、Xperiaであることは否定できない」と言い、今はまだMEDIASのブランドとしての認知度は高くないことを自覚しながらも、物作りへの思いは他社には負けていないとアピール。新たなユーザー体験を創出すること、ユーザーに買って良かったと満足してもらえるもの、「これぞスマートフォン」と呼ばれるものを作るべく、「SMARTPHONE IS MEDIAS」というメッセージを掲げ、MEDIASブランドの強化を図ると宣言した。

 同社は2012年冬モデルとして「MEDIAS U N-02E」を、2013年春モデルとして「MEDIAS X N-04E」と「MEDIAS W N-05E」の計3機種を発表している。3機種はそれぞれ、安心・安全に使ってもらえる端末、ブルーライトカットモードを搭載した全部入り端末、次世代のスマートフォンとして新たな可能性を創出する端末として、いずれも新たなユーザー体験を創出することを目指して開発を進めてきたという。

 MEDIAS U N-02Eは、すでに2012年12月1日から発売されているが、防水・防塵対応でアメリカ国防総省が制定したMIL-STD-810Gに準拠し、頑丈な筐体でアクティブなユーザーも安心して使える端末となっている。漫画「ONE PIECE」とのコラボモデルである「N-02E ONE PIECE」のベース端末としても採用されたものだ。同社の社員がN-02Eを駅ホームから線路上に落としたものの、問題なく動いたという実際のエピソードも紹介し、この安心・安全の性能を今後も推進していきたいと話した。

 MEDIAS X N-04Eは、持ち感にこだわったラウンドフォルムで、画面タッチの感触にもこだわった上に、おくだけ充電や最近話題になりつつあるブルーライトをカットする機能などを盛り込み、使いやすさにフォーカスした端末。そして、MEDIAS W N-05Eは、同社がもつ折りたたみと薄型化技術のノウハウをもとに、2つの画面を搭載した“次世代スマートフォンとしての可能性を追求した”端末となっている。これらのモデルについて、「今までのスマートフォンにないユーザー体験を実現するものに仕上がっていると自負している」(辻氏)と語り、これからのMEDIASに期待してほしいと締めくくった。

ブルーライトカットモードを備えた「MEDIAS X N-04E」

商品企画部 凌晶氏

 次に同社商品企画部 凌晶氏がMEDIAS X N-04Eについて解説した。これまでのMEDIASシリーズのうち、MEDIAS WP N-06CとMEDIAS ES N-05D、そしてMEDIAS X N-07Dが、新しいMEDIAS X N-04Eへとつながる一連のシリーズの端末であるとしており、“美しさとオールインワン”を兼ね備えた、“洗練された大人のためのスタイリッシュモデル”としている。主に「スマートフォンをご自身を表現するファッションの一部と考えている方や、身近な人とコミュニケーションをスピーディーに楽しみたいと思っている方」(凌氏)に向けた端末となっている。

 MEDIAS X N-04Eは、ディスプレイが発するブルーライトを30%カットすることで目の疲れを軽減する「ブルーライトカットモード」を備えている点が最大の特徴。その他にも、ワイヤレス給電のおくだけ充電や、スリープモードより17%の省電力が可能な「スタンバイモード」、カメラでの撮影とほぼ同時に写真をSNSなどに投稿できる「SNSシェア」機能なども特徴として挙げた。

 さらに、ハードウェア面ではディスプレイ面の特殊コーティングにより滑らかなタッチ操作を実現していること、エッジ部分のガラスをラウンド状に加工してタッチ時の感触の良さやデザインにもこだわっていること、ワンプッシュでスリープオン・オフを切り替えられる専用キーを使いやすい位置に配置していることなどもポイントであるとしている。

未体験の驚きと感動を与える「MEDIAS W N-05E」

商品企画部 石塚由香利氏

 2つのディスプレイを備えた折りたたみ型のスマートフォンとして、発表時に大きな話題になったMEDIAS W N-05Eについては、同社商品企画部 石塚由香利氏が解説した。

 フィーチャーフォン時代から“折りたたみのN”として知られていたメーカーならではのノウハウをもとに、「常に携帯性と大画面を両立することをポイントに開発を進めてきた」と言う同氏。「誰よりも先に使ってみたいと思っているユーザーに手にとってほしい」と話し、独自の2画面の端末で「未体験の驚きと感動を与えたい」と意気込みを語った。

 折りたたんだ状態は普通のスマートフォンで、開くとタブレットライクに使えるようヒンジ部を工夫した“バックフォールド形状”をポイントとしており、金属と樹脂を一体成形したハイブリッド筐体技術を採用したこと、そこにヒンジ部を加えてデザイン性を保ちつつ強度を確保していること、さらには開閉時のカチッという音や吸い込み感にもこだわって開発した点をアピールした。

 また、同社独自の「Utility Apps」により、2画面を活かしたアプリの実行が可能な仕様を実装している点にも触れた。2画面それぞれで別のアプリを実行するだけでなく、1アプリをフルスクリーン表示したり、2画面をまたいだ操作も可能。こういった2画面対応のアプリをユーザーが開発する際には、通常のAndroid SDKを使い特有の作法を覚えるだけでよく、特別なツールやAPIは必要としない手軽さを訴えるとともに、3月上旬をめどに2画面対応アプリの開発のコツをドコモのdメニューコンテンツ提供者向けに開示予定であることも明かした。その後、端末の発売にあわせて一般にもこれを公開するという。

「Note Anytime」と「マンガ★ゲット」が2画面対応へ

 同説明会では、2画面のMEDIAS W N-05Eについて、MetaMoJiの手書きメモアプリ「Note Anytime」と、スパイシーソフトのコミックビューワー「マンガ★ゲット」が対応することを表明した。

株式会社MetaMoJi 代表取締役社長 浮川和宣氏

 NECカシオの新しい端末が発表されたことについて、第一声で「おめでとうございます」と賛辞を送ったMetaMoJiの代表取締役社長 浮川和宣氏は、「Note Anytimeは最初にiPadを作り、その後Windows 8用にも作った。Android版も企画していたが、Android端末は多くの異なる画面サイズがあり、すべてに対応するのに時間がかかってしまっている」と現在の開発状況を説明。3月にベータ版、3月末か4月に製品版をAndroid向けにリリースする予定になっていると語った。

 その開発中にMEDIAS W N-05Eと出会った同氏は、「面白い、すごいなあ」と感動。同端末のハードウェアやOSなどのチューニングといったところから開発陣の熱意が伝わってきたと話し、「ソフトウェアだけでは実現できない、このようなハードウェアと出会えたこと」に率直にうれしさを表現。MEDIAS W N-05Eが「新しい時代を少しでも見てみたいと思っている人が世界にたくさんいるので、ソフトウェアも含めて我々も新しい提案をしたい」と結んだ。

スパイシーソフト株式会社 代表取締役CEO 山田元康氏

 最後に登壇したスパイシーソフトの代表取締役CEO 山田元康氏は、スマートフォン上でユーザーが投稿したマンガコンテンツを閲覧できる「マンガ★ゲット」の2画面対応について、モバイル端末におけるコミック市場の課題と絡めて解説した。

 同社はスマートフォン以前に、フィーチャーフォン時代から「マンガ★ゲット」を展開しており、最近では同サービス発のタイトル「琴浦さん」がアニメ化されるなど、実績を残している。2010年からスマートフォンにも対応し、サービスの運営にあたって直面してきたさまざまな課題の1つとして、「絵の中に字が入っている」というマンガの特殊性を指摘。高解像度の端末でなければしっかり読むことができない問題を抱えていると話した。

 フィーチャーフォンではコマ単位でマンガを読ませる形になっていたが、実際には作者はコマ単位ではなく、ページ内でのコマの配置も含めて演出を考えていることから、作者の意図を正確に反映させるには少なくともページ単位、できれば見開きでコミックを読めるようにする必要があるという。スマートフォンではページ単位で読ませることはできるようになったが、それでも見開きはタブレットでなければ不可能だった。

 しかし、スマートフォンであっても見開き表示が可能になるMEDIAS W N-05Eに、同氏は注目。当初、2画面対応をわざわざ1機種のために実装するのは大変そうだと思っていたところ、実際には特殊な作業は一切不要で、画面サイズの変更を検知したときに適切なレイアウトで画面表示するようにすれば良いことがわかった。「スマートフォンとタブレットの共通処理みたいなところをちょっとチューニングするだけで」(山田氏)対応できたという。

 同氏はこれにより、「小さな持ちやすい端末で見開きにできたことで、漫画の面白さがもっと増した」と感じるとともに、「モバイル端末におけるコミックコンテンツは、まだブレイクスルーしきれていないが、これを機にまだまだブレイクするのではないか」とMEDIAS W N-05Eに大いに期待を寄せた。

 なお、MetaMoJiとスパイシーソフトは、テスト版ながらも今回のために「Note Anytime」と「マンガ★ゲット」の2画面対応版を持ち込み、会場内に展示。実機上で触って試せるようになっていた。

「MEDIAS W N-05E」チーフプロデューサーに聞く

 説明会の終了後、MEDIAS W N-05Eの開発において商品企画部チーフプロデューサーを務める石田伸二郎氏にお話を伺うことができた。

商品企画部 チーフプロデューサー 石田伸二郎氏

――最初に導入したのがドコモだった理由を教えていただけますか。海外のキャリアとも商談はあるのですか?

石田氏
 ドコモさんはiPhoneを採用していないので、Androidのモデル数も多く比較的チャレンジできる環境にあったと思います。弊社も海外に対してチャレンジをしていきたいので、意見が一致したというのが大きいですね。海外のキャリアさんは、日本での実績を見て、導入を検討いただけると期待しています。

――開発時に苦労した部分を教えていただけますか。

石田氏
 スマートフォンは全体のバランスが非常に重要で、スペックと値段、大きさ、使い勝手、これらのバランスを相当高い次元で実現しないと、商品としての魅力が薄れるんですね。そこが難しかったところです。

――1画面の利用でバッテリーが2日間もつ、としていますが、その基準を教えていただけますか?

石田氏
 デュアルコアの端末でQHD解像度だと、1日に必要とされる容量は1800mAh以上、クアッドコアでフルHDだと2000mAh以上と言われています。MEDIAS W N-05EはデュアルコアのQHD解像度で、バッテリーには2100mAhを選んでいますが、これは、折りたたんだ1画面の状態で本来必要とされる1800mAhよりも20%くらい多いことになります。それで、2日間もつ、としているわけです。

 2画面で使っているのがどれぐらいの割合か、というところでバッテリーのもちが決まってきます。弊社では、全体の2〜3割くらいの時間、2画面で使っていることを想定しています。端末の厚みともトレードオフになる部分なので、いろいろ悩んでバッテリー容量を決めました。

――ヒンジの作りにはどれくらいこだわりましたか。

石田氏
 ヒンジ部分は(ヒンジメーカー)複数社に試作してもらって、その中の1社が作ったものを採用しました。いろいろなアプローチで、材質だとか、バネの形状とかを変えて作って、トルク感と、適度な重さと、吸い込み感、この感覚的なところがすごく難しく、昔から苦労していましたけれど、NECのヒンジ開発はいろいろノウハウを持っていますので、どう作ればどういう音がするかとか、どんな吸い込み感になるかとか、従来の半分くらいのサイズでどう実現できるかに時間をかけました。

――2画面は内部的にどのように実現しているのでしょうか。

石田氏
 プロセッサーに特別なチップを付けず、Androidでどうソフトウェア的に2画面化するのか、それも結構難しいところでした。これについては、外部モニターに映し出す機能というのがプロセッサーに入っているので、そこをうまく使って実現しています。

――ということは、MEDIAS Wでは外部モニターへのHDMI出力はできないということですか?

石田氏
 HDMIの外部出力の仕様は入っていません。

――他と比べて端末自体のコストは高めですか?

石田氏
 もちろん画面1枚分は余計にかかっていますが、ワンセグとかFeliCa、防水の機能を省いて代わりに液晶を載せている、と考えれば、結果的に同じくらいではないかと思います。

――注目してほしい2画面ならではの機能はありますか?

石田氏

 (端末を山折りにして)2画面それぞれで同じ動画を表示する「ダブルムービー」という機能があります。開発陣に頑張っていただき実現したんです。YouTubeのプレーヤーでも動画をダブルで表示できますよ。

――ありがとうございました。

(日沼諭史)