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ドコモ、スマホのチェックインでポイントが貯まるサービス

 NTTドコモは、スマートフォンを持つユーザーがリアルな店舗に来店するだけでポイントが貯まり、クーポンなどと交換できるサービス「ショッぷらっと」のトライアル提供を開始した。8月31日まで、渋谷など東京都内を中心に約170店舗でトライアル提供が行われる。利用するためのアプリは無料で、Android、iOS向けがそれぞれ用意され、一般ユーザーが参加できる。

 今回提供が開始される「ショッぷらっと」は、「O2O」(Online to Offline)と呼ばれる分野のサービスで、オンラインの情報などをきっかけとしてリアルな店舗へ誘導する施策。ドコモはプラットフォーム提供者として同サービスを構築し、幅広い企業や利用者向けに提供する。

 トライアルで提供されるアプリは、店舗の入り口に訪れたり、店舗内のコーナーや棚の前を訪れると、ポイント「star」が貯まるというもの。実際の店舗での購買までは連携しておらず、店舗を訪れてアプリを立ち上げるだけでポイントが貯まるようになっている。貯まったポイントは、トライアルに参加している店舗で利用できる共通の商品券やギフトカードなどと交換できる。

 アプリではこのほか、近隣でポイントを取得できる店舗を探したり、クーポンを配信している店舗を探せる。また、店舗の情報やセール情報の確認も可能。時間帯やユーザーの属性に基づいてタイムセールの情報がプッシュ通知される場合もある。

 「ショッぷらっと」では非可聴域の音波を利用して、アプリを立ち上げているユーザーの位置を特定する。ひとつの装置の効果範囲は半径約10mで、大きな店舗ならフロア内の複数箇所にエリアを設定できる。音波を発生する装置は、折りたたみ型の携帯電話を一回り大きくした程度のサイズで、設置場所を選ばないようになっている。

 店舗側では、チェックインしたユーザーを把握したり、エリアを設定することで回遊を促したりできる。ドコモからは、ユーザーの性別や年代、おおまかな居住地域といった情報が提供され、マーケティングに反映させたり、ターゲットを絞って情報を配信したりできる。

渋谷ヒカリエのショッピングエリア「ShinQs」でもトライアルが開始されている。写真はアプリを起動し、「ショッぷらっと」のエリアを訪れたところ。自動的にポイントが貯まった。
トライアル実施場所には冊子も置かれている
「ショッぷらっと」アプリ
訪れるだけでポイントが貯まり、商品券などに交換できる
ミニゲームでも少量のポイントが貯まる
タイムセールなどはプッシュ通知で届くことも

 トライアルに参加する企業は、トライアル開始時点で、カフェ・カンパニー(WIRED CAFEなど)、シダックス、タワーレコード、東急百貨店、ドリームコーポレーション(BAGEL&BAGELなど)、ナムコ(namco、プレイシティキャロットなど)、プーマジャパン、べレックス(NAIL STATIONなど)、三菱地所・サイモン(PREMIUM OUTLETS)、ラ・エスト(MITSUMARU Secret Magicなど)、ランシステム(スペースクリエイト 自遊空間)、リンガーハット、ワタミフードサービス(和民など)、出光興産(出光、3月中旬から)など、15社以上、約170店舗となっている。参加店舗は順次拡大される予定で、2012年3月末までに300店舗、2013年度には1000店舗以上に拡大される見通し。

トライアル参加企業、渋谷の例

音波を使った仕組み「新たな社会インフラに」

NTTドコモ スマートコミュニケーションサービス部 オープンサービス企画担当部長の斎藤剛氏

 20日には記者向けの発表会が開催された。登壇したNTTドコモ スマートコミュニケーションサービス部 オープンサービス企画担当部長の斎藤剛氏は、EコマースやO2Oといった分野に重点的に取り組んでいく方針を、同社の中期ビジョンを示しながら解説。ドコモが直接サービスを提供するのではなく、加盟店が参画しサービスを提供するためのプラットフォームを構築する立場であることも明確にした。

 同氏はスマートフォンの普及により、端末に触れる時間が伸び、スマホで調べてから買うといった行動も進む一方で、市場規模としてEコマースは10〜20兆円、実店舗の市場は200兆円規模と、両者にはまだ大きな隔たりが有ることを指摘する。「認知発見、接点の場としてのネットがあり、そこからリアル店舗に行く。これが注目されるスタイル」としたほか、こうした来店促進の仕組みは「まだ完成したモデルが出来上がっているはいえない。勝者がいないのなら、やってみようとなった」と経緯を明かした。

 店舗側は新規顧客の獲得に苦労したりコストがかかったりすることが多いといった実態も紹介。来店するだけでポイントが貯まる「ショッぷらっと」については、「“へそくり”のようなもの。こつこつと貯めて、好きな時に使える」と特徴を紹介したほか、「渋谷を訪れるには第1の目的があるが、第2の目的は決まっていないことも多いのではないか。用事が済むと、せっかく渋谷に来たのだから、とぶらりとする。そんなところをフォローできる」と、トライアルで中心的な場所となる渋谷を例に手軽に使える様子を紹介した。

 同氏からは今後の展望についても語られた。「ドコモの強みはインフラを展開できること。おサイフケータイは1cmの世界だったが、今回は10mで、これを新たな社会インフラと捉え、広げていきたい」と、実店舗における顧客獲得のプラットフォームと位置付ける。

 また、今後はアプリやサービスについて、docomo IDで連携を進めるとし、「これまでは回線(電話番号)に付いていた(紐付いていた)サービスを、IDに変えていく」という方針を明らかにしている。「これまでは回線をいかに増やすか、という考え方だったが、今後はいかにデータを使いながら(まとめながら)、ビジネスのチャンスを作っていくか、考えなければいけない」ともしており、新たな展開に向けて発想の転換もポイントになっていることを示した。

 同氏はまた、「店舗側にとって、ドコモユーザーという顧客の単位は無い」としており、プラットフォームとして提供することからも、ほかのキャリアやiOSを含めて対応する仕組みになっていることを解説した。

東急百貨店 常務執行役員 営業本部 副本部長の上根弘之氏

 発表会ではこのほか、トライアルに参加する企業を代表して、東急百貨店 常務執行役員 営業本部 副本部長の上根弘之氏が登壇した。上根氏は渋谷の街が地下鉄の相互乗り入れなどを機に大きく変化すること、東急百貨店(東館)が入る駅ビル自体も一度解体して生まれ変わり、駅周辺で大規模な再開発が計画されていることを示し、「これはチャンスと捉えている」と語る。

 これまで東急百貨店では、基本的に紙媒体での広告やダイレクトメールが基本で、「今、渋谷に来ている人、店内にいる人へのアプローチの方法は持ち合わせていなかった」という。これらが「ショッぷらっと」を利用することで詳細なアプローチが可能になるとし、「渋谷に久しぶりに来た、あるいは店舗に初めて来た人にも、楽しい、正確な情報を伝える、新しいショッピングスタイルを確立していきたい」と意気込みを語った。

(太田 亮三)