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ドコモは「スマートライフのパートナー」、主力モデルに資源集中

 NTTドコモは、2013年度の事業方針および2012年度の業績について発表した。

ドコモ加藤氏

 そのなかで、NTTドコモの加藤薫社長は、2013年度のスマートフォンの販売計画を、前年比20.4%増となる1600万台とする一方、Xi契約数を2.2倍となる2500万契約とする計画を明らかにした。

 「2012年度は、販売した携帯電話の3分の2がスマートフォンだったが、2013年度は4分の3がスマートフォンになる」と加藤社長は予測。だが、「フィーチャーフォンについても根強い需要があるため、これからもずっと出し続ける。音声についても改善をしていく」などとした。

TizenとiPhoneについて

 また、Tizen(タイゼン)への取り組みについても言及。「Tizenは、Androidよりも自由度が高いオープンなOSである。ドコモが目指す『スマートライフのパートナー』を実現するために提供する機能や、クラウド連携という点を考えると、それに相対するOSには自由度がなくてはいけない。そうしたことからTizenを採用する」とする。

 一方、「ただし、ユーザーにとっては、OSがなにかというよりも、使い勝手や、サービスの質や量が重要。どれだけ便利であるかということに尽きる。Tizenが、すぐにスマートフォンの半分を占めるとか、逆に1割に留まるというような見通しは、いまの時点では出せない」とした。

 さらに、注目されているiPhoneの取り扱いについては、「日本の市場において、魅力的な端末であることには変わりがない」と前置きしながら、「ドコモの事業の進め方は、自らがプロバイダーとして、スマートライフのパートナーとなること。その点を踏まえて検討をしている。従来と違った情報はない」と、取り扱いについて具体的な進展がないことを示した。

業績予想

 同社が発表した2013年度(2013年4月〜2014年3月)の連結業績予想は、営業収益が前年比3.8%増の4兆6400億円、営業利益は前年比0.3%増の8400億円、当期純利益は前年比2.9%増の5100億円。

 営業利益に関しては、モバイル通信サービスの収入増で約800億円の増加、構造改革によるコスト削減で1100億円増、端末販売関連収支で1200億円増、新規領域での収支改善により100億円増を見込むが、月々サポートの影響で2600億円減、Xi増強に伴う費用増で600億円減を見込んでいる。

 また、設備投資については、2012年度の7537億円から7000億円へと減少するが、FOMAへの設備投資が、一巡するとともに、効率的な設備投資へとシフトすることで1300億円減となるのが要因。Xiへの投資は1400億円の増加とする。

 なお、構造改革の成果については、2012年度には500億円の削減効果があったとし、「2013年度には、2011年度比で1600億円の削減効果を見込み、2015年度には2500億円規模のコスト効率化を目指す」などと語った。

今年度の事業方針は「スマートライフのパートナーへ」

 加藤社長は、2013年度の事業方針を「スマートライフのパートナーへ」とすることを明らかにした。

 「これまでは総合サービス企業を目指すとしてきたが、これは企業としての生き方を示したものであった。そうではなく、お客様から見てどういう価値を提供することができるのかということを示したのが、新たなテーマの意図である。構造改革による経営基盤の強化をベースに、お客様の声を反映した形で、デバイス、ネットワーク、サービスという観点から競争力強化を図る。モバイル領域においては、基本要素を磨き直し、スマートフォンユーザー基盤をさらに拡大する一方、新領域においては、クラウドサービスの拡充によって、新たな収益源を拡大していく」と語った。

 「スマートライフのパートナー」という観点では、「お客様に寄り添って提供する価値が重要になる。あふれる情報から適切な情報を適切なタイミングで届け、お客様の行動を支援することになる。アドバイス、マッチング、プランニング、モニタリングという4つの観点から、1人1人にあった提案を行い、生活を支援していく」と述べ、「便利」、「安心・安全」、「楽しい」を、同社が目指す価値に位置づけるという。

 さらに、「スマートライフのパートナー」に向けたNTTドコモの進化として、これまでのプラットフォーマーの立場から、「プラットフォーマー&サービスプロバイダー」として、自らサービスを提供する立場へと進化。ネットワークに関しては、Wi-Fiなども駆使したネットワークの種類を意識しないネットワークフリーへと進化。また、あらゆるデバイスから自由にアクセスできるデバイスフリーも目指すという。

キャリアフリーのサービス環境へ

 加えて、これまでのドコモの回線利用者だけをターゲットとしたサービス提案に留まらず、docomo IDを持つユーザーに対しても、クラウドなどを通じてサービスを提供する考えを示し、「より多くのお客様にサービスを使ってもらうために、キャリアフリーともいえるサービス提供環境を構築する」などと語った。

 NTTドコモでは、2013年7月1日付けで、スマートライフビジネス本部を設置する予定で、「ドコモでは初めての本部。サービス提供のスピードアップ、サービス創造および拡大のさらなる推進、新領域8分野の推進とアライアンス強化を担うことになる」という。

 新領域8分野とは、メディアコンテンツ、コマース、金融、環境・エコロジー、メディカルヘルスケア、安心・安全教育、モバイル(メールや電話帳)、共通基盤(決済など)としており、「これまでの組織では、新規8分野に対して重複する形で担当して部分もあったが、これを、ほどきながら新たな組織を設置する」という。

端末ラインナップは主力モデルに集中

 競争力の源泉とするデバイス、ネットワーク、サービスについては次のように語る。

 デバイスに関しては、「AQUOS PHONE ZETA SH-02E」が2012年11月の発売から5カ月間で約60万台を販売。今年2月に発売した「XPERIA Z SO-02E」が2カ月半で約63万台を販売した実績を示しながら、「デバイスの競争力は確実に改善しており、夏モデルにおいては、さらに商品力強化や、訴求力の徹底強化を行っていく。今後は、最先端や安心・使いやすいという観点でラインアップ強化する一方、ラインアップの絞り込みにより、主力機種にリソースを集中させる。5月中旬に予定している発表を期待してほしい」と述べた。

加藤氏「LTEの接続率はトップ」

 また、ネットワークについては、「Xi基地局を1年前倒しで倍増させる」と宣言。2013年3月に2万4400局のXi基地局を、2014年3月には5万局へと拡大。山手線LTE通信継続率も97.1%となっていることを示しながら、「この接続率はトップだと考えている。山手線でずっと使用できる環境となっており、今後は幹線道路などにも広げる」とした。

 LTEの接続率に関しては、「ネットワークは生き物であり、時間、場所、使われ方で変化する。ドコモのネットワークは、第三者機関からも高い評価を得ている。他社の広告での表示は、どういう基準で調査しているのかわからないが、ドコモは定点での調査を重視しており、他社の話は気にならない」などと語った。

 さらに、高速エリア展開にも力を注ぐ姿勢を示し、下り最大75Mbps対応基地局数を、2013年6月には1万5000局(2012年12月時点の計画では1万局)、112.5Mbps対応エリア数は2013年6月には100都市(同52都市)とし、「LTEの最大受信速度である150Mbpsでのサービスを、今年度中にいち早く開始する」と語った。

ドコモ サービスパック開始

 また、サービスでは、2013年5月中旬から、「ドコモ サービスパック」を開始。月額525円で使用できる「おすすめパック」と、月額630円で利用できる「あんしんパック」を提供することを発表した。

 「スマホを使い始めた人から、どんなサービスがあるのか、どんな使い方をしたらいいのかわからないといった声が多く、それに対応する形で用意したのが、これらのパッケージ。サービスをパッケージ化したことで、お得な料金で、安心を提供しながら、使い勝手が高まる」とした。

ウェルネス分野の成長に期待

 また、dマーケットについても、ストアやアイテム数をさらに拡大させ、「無限の楽しさが広がるマーケットにするというのが、ドコモの意気込みである。とくに、ウェルネス分野は今後の発展が期待される市場であり、各社との相互連携のなかでサービスを拡充していく」という。

 2013年4月からスタートした、からだデータを預かる「わたしムーヴ」に続き、2013年6月には女性向けの「カラダのキモチ」を開始。さらに2013年冬には、男女および全世代を対象にした「からだケア エージェント(仮称)」を開始することを明らかにした。

モバイル事業者の最大の変革期

 加藤社長は、2015年度に向けて、パケット収入が1.5倍に増加するとともに、新領域の収入拡大が、今後のドコモの売上高成長を牽引すると位置づけ、「新領域の収入は、2012年度実績で約5350億円。これが2013年度には、7000億円超となり、2015年度には1兆円を目指す」とした。

 さらに、加藤社長は、「ドコモをはじめとするモバイル事業者は、最大の変革期にある。経営リソースを重点分野に集中させ、ゼロベースで全業務を見直す必要がある。その最初の一歩がスマートライフビジネス本部の設置となる。今後は事業成長と、構造改革の両輪を走らせ、2012年度の年初計画として掲げた営業利益9000億円の達成を早期に実現したい」と、中期的な成長戦略の実行に意欲をみせた。

 一方、2012年度(2012年4月〜2013年3月)の連結業績は、営業収益が前年比5.4%増の4兆4701億円、営業利益は前年比4.3%減の8371億円、税引前利益は前年比4.0%減の8416億円、当期純利益は前年比6.8%増の4956億円となった。

 NTTドコモの加藤薫社長は、「第2四半期が終了時点で営業利益目標を8200億円に下方修正したが、それを上回る実績となった。スマートフォンの販売台数は1.5倍となり、Xiの契約数は5.2倍になった。スマホの約6割がXiの契約となっている」と成果を強調。スマートフォンの販売台数は、前年比50.7%増の1329万台、Xi契約数は1157万件となった。なお、Xiは2013年4月20日時点で1200万契約を突破したという。

 また、総販売台数は6.6%増の2355万台、解約率は0.82%。パケット収入は6.1%増の1兆8939億円に達し、「スマホとXiの組み合わせによって、パケット収入は堅調に伸びている」とした。

dビデオの売上げがdマーケット収入の8割を占める

 また、dマーケットについては、「力強い伸びを示している」とコメント。2012年度実績で前年比11.5倍の約230億円の売上高となり、そのうち、dビデオは413万契約に達し、売上高は185億円と、dマーケットの収入のうち約8割を占めているという。スマートARPUは、前年度第4四半期の360円から、460円と100円増加した。

課題は純増数

 課題となっているのは、純増数だ。新規販売は221万契約となり、すべての四半期で、前年実績を上回り、MNPによる転入が第4四半期に前年同期比倍増するといった成果が出ている。だが、それ以上にMNPによる転出が増加しており、計画通りになっていないのが実態だ。

 加藤社長は、「2012年度は140万件の純減となっており、前年よりも拡大しているのは反省点。MNPの転出抑止には十分な効果が得られていない。純増数獲得では苦戦しているのは事実だ。しかし、2013年2月に発売した春モデルにおける『いち押し機種』の投入や、各種販売施策の効果もあり、第4四半期は純増数で前年実績を上回っている。競争力回復の兆しが見えている。今後は、ラインアップをあまり増やさず、お勧めの製品を設定し、それを求めやすい価格で提供できるように、様々な施策を展開したい。トリガーとなるのはこれから発表する夏モデルになる。iPhoneは日本では底堅い人気があり、MNPで突然プラスに転じるには難しいだろうが、純増に向けて2〜3割程度の改善を見込んでいる」とした。

2013年はNOTTVの飛躍の年

 また、NOTTVについても、100万契約を目指していたが、これが68万契約に留まっていることについても説明。「エリア展開や電波状況の問題での反省があるが、この1年で知恵が蓄積されてきた。夏モデルからは主力機種でもNOTTVに対応することになる。2013年はNOTTVの飛躍の年になる」と、2年目の巻き返しに意欲をみせた。

 2012年度の総括として加藤社長は、「各種施策が功を奏して、スマートフォンユーザーの基盤確立に成果がある一方、dマーケットのラインアップを充実させ、新領域収入も確実に拡大している。第4四半期に800億円の追加的競争対策経費を見込んでいたが、効率的な施策展開や、コストコントロールを行い、これを700億円程度に留めることができた。それにより、営業利益目標の8200億円を確保することができた」などとした。

(大河原 克行)