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ソフトバンク孫氏、米DISHのスプリント買収案に「我々の方が優位」

 ソフトバンクは30日、同社決算説明会の後半に、米スプリント・ネクステル(Sprint Nextel)の買収に関する説明会を開催した。代表取締役社長の孫正義氏は、米国の衛星放送事業者、DISH Networkが示したスプリント買収案に対して、ソフトバンク側の提案がいかに優れているか、比較しながら説明を行った。

 昨年10月、ソフトバンクは米スプリントを買収すると発表。ソフトバンクのノウハウを米国での事業に活かせるなどのメリットがあるとされ、その後、正式な買収完了前であるにもかかわらず、積極的に両社の経営陣はミーティングを重ねるなど、両社のシナジー効果を生み出すべく活動を続けてきた。そんな中、米国の衛星放送事業者であるDISHは4月16日、スプリントの取締役会に対して買収を提案。ソフトバンクよりもスプリントの株主に利益をもたらすとしていた。

 今回、孫氏は、DISH側の説明が行われたことで、ソフトバンク側の提案をあらためてスプリントの株主に説明する必要がある、として、DISH案と比較してソフトバンクの提案がいかに優れているか、説明を行った。同氏は、携帯電話事業を経験していないDISH側と比べると、ソフトバンク側は同じモバイル事業者で日本での経験が米国でも活用できること、あるいは端末やネットワーク設備の調達でスケールメリットがあることなどの利点があると説明。さらにソフトバンク案は今夏までに手続きが完了する見込みである一方、DISHの提案を選ぶとさらに一年、時間がかかるとも述べ、金銭面以外でも、競争力を左右する要因があると指摘した。

 こうしたことから、1株あたりの価値についても、DISH側の主張にはスプリントが負うべき負債、1年の遅れなどから、DISHの主張よりも価値は減少し、逆にソフトバンクのもたらす価値は、DISHの算出よりも多くなると反論した。孫氏は「DISHの提案はどういう意味があるのか、混乱している。スプリントにとっても、なぜ成熟した衛星放送事業を抱えなければいけないのか。それが私の疑問」とDISHの提案には意味がないと一刀両断した。

 米国当局からは、スムーズな手順とのコメントを得ていると説明。また、国家安全保障に関わる部分として、中国メーカーの機器に対する懸念については、スプリントでは採用しない方針を米当局に説明し、懸念を払拭したとのこと。会見後の囲み取材で、孫氏は「スプリント買収完了後は、日米で設備や端末を共同調達する方針」と説明。ただし、ファーウェイやZTEといった中国メーカーの製品が日本向けの調達に影響するかどうかは「日本の場合はもうちょっと様子をみないとわからない」と述べるに留まった。

関口 聖