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東京メトロ全線で「WiMAX」開通、その仕組みは?

 5月28日正午、東京メトロ全線で「UQ WiMAX」が利用できるようになった。駅構内に加えて、駅間トンネルでも利用できるようになる。

 UQコミュニケーションズでは同日、報道関係者向けにその設備を公開した。

ホーム上のアンテナでトンネルもカバー

 今回、公開されたのは、丸ノ内線の東京駅プラットホームに設置された指向性アンテナと、改札に設置された無指向性アンテナの2カ所。プラットホームに設置されたアンテナは、筒型の指向性アンテナが2つ。それぞれ500mほどの距離をカバーでき、1つはホーム上に向けて、もう1つはトンネルに向けて設置された。

 急ピッチで通信サービスのエリア化が進められる地下鉄だが、WiMAXの手法は携帯電話の手法とは異なる。携帯電話の場合、ところどころに隙間を設けて電波が漏れ出るようにした“漏洩同軸ケーブル”をトンネル内に引き込んでいる。一方、WiMAXでは先述した通りトンネルに向いた指向性アンテナを駅ホームの天井に設置する、という形だ。

 ケーブルではなく、アンテナからの電波の発射でトンネル内をカバーする、という仕組みを用いているのは、WiMAXで用いる電波が2.5GHz帯という高い周波数(携帯電話は800MHz帯や1.5GHz帯、1.7GHz帯、2GHz帯)で、直進性が高い。トンネルに向けて発射された電波は、トンネル内の壁で反射を繰り返して先まで届くのだという。直進性が高い2.5GHz帯の電波は、屋外に設置した基地局から屋内へ電波を届かせるのが難しいとされる。外ではデメリットになりかねない性質を、地下鉄ではメリットに変えてエリアを構築している、というわけだ。

ホーム上に設置される筒状の指向性アンテナ
改札上には無指向性アンテナ
トンネルに向かって電波を発射

 工事できる時間は、終電〜始発までの5時間程度。そのうち、実作業は3時間程度で、1つの駅のエリア化には1カ月ほどかかった。今回、公開されたのはアンテナ部分だけだが、実際はそのアンテナに繋がるケーブルを天井裏に引き込む作業が必要だ。UQが地下鉄用に用いているケーブルは、被覆がすべりやすい材質で、スピーディに線を延ばせるよう配慮したもの。さらに、そのケーブルは金属の配管で覆われているのだという。これは地下鉄内での火災発生、あるいは延焼を防ぐ、つまり防火対策の1つとして実施されたもの。ケーブルの被覆も難燃性の素材を用いているとのことだが、さらに金属配管で万全を期しているという。

 UQでは、新たな通信方式として「WiMAX 2+」を導入する方針を掲げている。ただし新たな周波数を獲得することがその前提になる。今回、メトロで導入されたWiMAXの設備は、そうした新方式のサービスが導入される際には、一定の変更を必要とする見込みとのこと。

 総務省では5月24日、WiMAXのようなワイヤレスブロードバンドサービスを対象にした、新たな周波数帯(2625MHz〜2650MHz)でのサービス提供に向けて、事業者からの申請受付を開始している。この帯域での通信サービスは、150Mbpsを越えるワイヤレスブロードバンドサービスが想定されている。

他のエリアでも整備

 なお、UQでは2011年12月、都営地下鉄でのエリア整備開始にあわせて、その設備を公開していたが、メトロでも同様の手法を採用している。

 他の地域では、仙台市地下鉄、横浜市営地下鉄、みなとみらい線、福岡市営地下鉄でのエリア化が完了。札幌市営地下鉄と大阪市営地下鉄は2013年度内に全線で利用できるようになる予定。また、名古屋市営地下鉄でも一部で利用でき、順次、エリア化が進められる。

(関口 聖)