ニュース

ソフトバンクの米スプリント買収は1.8兆円で合意、株主総会へ

 米スプリント・ネクステル(Sprint Nextel)と買収交渉中のソフトバンクは、買収総額を約216億ドル(約1.8兆円)に増額し、子会社化することを明らかにした。6月10日(現地時間)、スプリントの特別委員会と取締役会は、満場一致でソフトバンクの提案に合意したと発表している。

 ソフトバンクは当初、約201億ドルでのスプリントの買収を提案していたが、その後、米衛星放送事業者のDISH Networkの対抗買収案によって、ソフトバンクと米DISHの双方が優位性を主張。ソフトバンクは、スプリントとの協議の中で、今回、買収額を15億ドル増額することで合意した。スプリントの特別委員会は、10日、DISHの買収案について、「よりよい提案になるという合理性に乏しい」と結論付けている。

 ソフトバンクとスプリントの合意によって、6月25日に予定されるスプリントの臨時株主総会に持ち込まれる。スプリントの特別委員会と取締役会は、株主に対して賛成票を投じるよう勧めている。7月上旬にも取引が完了する予定という。

 なお、今回の合意内容は、買収総額の増額だけでなく、当初の買収提案よりも株主に対して魅力的な形に変更されている。株主への支払い額は、提案当初は約121億ドルを株主へ、残りの80億ドルをスプリントの財務基盤強化に充てるとされていた。今回の発表では、株主に約166億ドルが支払われ、財務基盤の強化には50億ドルが投じられるとされた。

 また、スプリントの既存株主は、1株あたり7.65ドル(当初は7.3ドル)の現金か新スプリント株を得られる。買収完了後のソフトバンクの株式保有率は約78%(当初は約70%)となる見込み。

 このほか、合意内容には新たな条件も付記された。スプリントは、6月25日までソフトバンクと再交渉権があり、取引中止もできることになった。ただし、他社の提案により、買収が成立しなかった場合、スプリントは8億ドルの違約金を支払う。

津田 啓夢