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PFU、オーバーヘッド構造で非接触型の「ScanSnap SV600」

 PFUは、オーバーヘッド・スキャン方式により、A3までの原稿を非接触・非破壊でスキャンできるドキュメントスキャナーの新製品「ScanSnap SV600」を7月12日に発売する。予約は6月13日から。価格はオープン価格で、同社直販サイトの価格は5万9800円。

「ScanSnap SV600」
利用イメージ。A3横に対応

 今回発売される「ScanSnap SV600」は、これまでのシートフィード(ADF)方式のScanSnapシリーズとは異なり、オーバーヘッド・スキャン方式で非接触・非破壊のスキャンを行えるドキュメントスキャナー。A3までの原稿に対応でき、裁断することが難しい書類や本、付箋付きの原稿など、シートフィード方式ではスキャンが難しかった原稿のスキャンに対応する。また、白色のLED光源を内蔵し、環境光に影響を受けにくいスキャンが可能になっている。

 「ScanSnap SV600」には専用センサーによる「ページめくり検出機能」が搭載され、本のページめくりを自動的に検出して次々にスキャンすることが可能。タイマー設定により、3秒毎など一定時間ごとにスキャンも行える。ページをめくる動作自体は手動で行う。

 ソフトウェア処理では、見開きの本の湾曲を自動的に補正する「ブック補正」機能を用意するほか、見開きページを左右のページで分割する機能や、見開きのために添えて写り込んだ指先を消去する画像処理機能、並べた名刺など複数原稿を同時に読み取る機能などが用意されている。傾き補正や向き補正、カラー自動判別などにも対応している。

ヘッド部を下からみたところ。中央がライン型CCDセンサーで、両脇に高指向性LED光源を備えている。右上にあるのはページめくり検出用のカメラ

 ヘッド部には「VI(Versatile Imaging)テクノロジー」と呼ぶ技術が投入され、具体的には、手前から奥まで幅広くピントを合わせられる「高被写界深度レンズ」やライン型CCDセンサー、高指向性LED光源を搭載。画質のムラを抑え、均一で読みやすい画質を実現するとしている。読み取り時にはヘッド部が動き、白色LEDで照らされたラインが原稿上を走査していく。

 読み取り速度は1枚(片面)あたり約3秒。すべての原稿サイズ・画質モードで読み取り速度は同じ。ただし、これらはパソコンへのデータ転送時間やソフトウェア処理時間を除いた本体のみの読み取り速度。

 A3までのサイズに対応した黒色の専用背景マットがパッケージに1枚同梱され、原稿に対し黒い枠を作り出すことで原稿の判定を行う。このため、全面が黒い原稿は正しく読み取れない場合がある。

 センサーが搭載されたヘッド部分の高さは固定。読み取れる原稿のサイズは最大で幅432mm、縦が300mm。最小の読み取り範囲は25.4×25.4mm。原稿の厚さが5mmを超える場合、読み取り範囲は最大400×300mmになる。読み取り可能な原稿の厚さは最大30mmで、厚さ30mm以上の原稿は、センサーとの距離の関係からスキャン品質に影響が出る場合があるとしている。また、本体の底部より低い位置にある原稿も同様に正しく読み取れない。

 スキャンモードは、ファインまたはスーパーファインを自動的に判別する自動解像度モードのほか、ノーマル(カラー150dpi/モノクロ300dpi)、ファイン(カラー200dpi/モノクロ400dpi)、スーパーファイン(カラー300dpi/モノクロ600dpi)、エクセレント(カラー600dpi/モノクロ1200dpi)を用意する。

 パッケージに同梱されるパソコン用ソフトウェアは、Windows用として「ScanSnap Manager」や「ScanSnap Organizer」のほか、名刺管理ソフト、ファイリングソフトウェア、OCRソフト、PDF編集ソフトなどが同梱される。Mac OS X用のソフトウェアは2013年秋をめどにダウンロードで提供される予定。パソコンとはUSBで接続する。既存のScanSnapシリーズを接続したパソコンの場合、本機と交互に利用することもできる。

 大きさは約210×156×383mmで、重さは約3kg。作業時に必要な広さは525×484mm。

 専用の背景マットは別売りでも用意され、3150円。このほか、サードパーティからは、見開きの本に乗せて利用する、無反射コーティングを施したアクリル板など、スキャンを補助するアイテムも登場する予定となっている。

のど部分など歪みを補正する「ブック補正」(補正前)
「ブック補正」(補正後)
指やクリップなどを指定できる「ポイント・レタッチ」(補正前)
「ポイント・レタッチ」(補正後)
複数の原稿(名刺など)を同時に認識する「マルチクロップ」(プレビュー)
「マルチクロップ」(選択画面)

太田 亮三