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ソフトバンクと印バーティ、通信衛星利用のエリア構築実験に成功

 ソフトバンクモバイルと、インドの通信事業者であるバーティ・エアテル(Bharti Airtel)は、通信衛星を活用してエリアを構築し、携帯電話サービスを提供するフィールド実験をケニアで実施し、成功したと発表した。

 今回の実験は、低コストで広いエリアをカバーするための取り組みとして、通信衛星を伝送路(基地局~コアネットワークを結ぶ経路)として用いた。ソフトバンクでは2011年3月の東日本大震災発生後、被災地において300以上の衛星基地局を展開したが、今回、その技術をもとにカバーするエリアの面積を広げる技術を組み合わせた。東日本大震災ではフェムトセル用装置をベースに避難所周辺をエリア化するなど数百m程度のエリアだったが、今回はバーティ・エアテルの巨大な鉄塔に搭載し、ノキアシーメンスと協力して最大で半径50km程度までカバーできたという。また衛星の通信帯域をトラフィック(通信量)に応じて動的に割り当てるようになっており、コストを抑えつつ、複数の基地局で通信衛星を利用できるようにした。

 日本では国内隅々まで有線の通信ネットワークが整備され、それを伝送路にしてエリアを展開できる。一方、開発途上国ではそうしたネットワークが整備されていないことも少なくなく、バーティ・エアテルではアフリカの中でもルーラル地域の整備に極めて重要な技術と評価している。ソフトバンクでは今後、商用化を検討していく考えだが、主に技術供与での展開が目的としている。

関口 聖