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「みちびき」対応、スマホ連携――「Wristable GPS」新モデル

 エプソンは、ランニング時の走行距離やペースなどを正確に測定し、記録をできるGPS機能付きウォッチとして、「Wristable GPS」の新商品「SF-710S」、「SF-510T」、「SF-310G」、「SF-310W」の3モデル4機種を11月15日から順次発売する。新たに国産の準天頂衛星システム「みちびき」に対応する。また近日中にスマートフォンとの連携機能が用意される。

 価格はオープン価格で、市場想定価格は「SF-710S」が3万4800円、「SF-510T」が2万9800円、「SF-310G」と「SF-310W」は2万4800円。

「SF-710S」
「SF-510T」
「SF-310G」
「SF-310W」

 同社は、ランナー向けのGPS機能付きウォッチ「SS-700T/S」、「SS-500R」、「SS-300B/P/G/R」を2012年8月に発売し、高い国内シェアを獲得してきた。今回発売するモデルはその後継機で、ユーザーからのニーズに応えるべく機能の向上を実現している。ジョギングやマラソンなど舗装路を走る一般的なランニングだけではなく、42.195kmを超えるウルトラマラソンや山野を走るトレイルランニングなど、ランニングスタイルの多様化にも対応した。

ランナーのニーズに応える、高精度なGPS機能

 GPS機能付きウォッチの購入者はマラソン大会に参加するなど、本格派のランナーが多いことが同社のユーザー調査により明らかになったという。そういったユーザーの声に応えるべく、GPSをはじめとする各種機能を向上させた。

 電波の乱れや、誤差が生じやすいビル街、電波が届きにくい山間部においても、距離や標高を正確に計測できるよう、エプソン独自のGPSチップを新規開発した。また、準天頂衛星「みちびき」に対応して精度の向上を図っている。低消費電力でGPSの毎秒測位も30時間の稼働が可能になった。

 さらに、すばやくGPSをサーチできる「高速サーチ」や、GPSサーチが完了していなくても、走りながらサーチできる「スキップ機能」を備えている。寒い季節に、GPSサーチが完了するまで数分待つのを不快に感じる、というランナーの声に応えて、同機能を搭載した。

 このほか、実速度と体振動周波数から、歩幅を絶えず学習するストライドアルゴリズムを採用したストライドセンサーを本体に内蔵している(SF-310は非対応)。これにより、トンネル内や室内のスポーツジムなど、GPS衛星からの信号が受信できない場所でも、走行距離を計測できる。国内でも積雪の多い地域では、季節によって野外でのランニングが難しく、体育館など屋内でトレーニングをするランナーが増えているという。そのような地域のユーザーからの要望に応え、屋内でも利用できるセンサーを内蔵した。

 また、上位モデルの「SF-710S」は、勾配や累積上昇高度、累積下降高度なども測位が可能。

かゆいところに手が届く機能こそ、“国内メーカーの強み”

 ランニング中の信号待ちなど、立ち止まった時に自動的に計測を停止し、動き出した時に自動で再開する「オートポーズ機能」を搭載している。これにより、信号待ちのたびに手元でボタンを操作する手間が省けるようになった。

 1km、5km毎など、設定に合わせて自動計測を行う「オートラップ機能」を搭載。距離だけでなく時間単位での設定も可能になっている。

「SF-710S」と「SF-510T」の2機種は本体を軽くたたくだけで操作できる「タップ機能」を搭載している。ラップや画面の切り替えなどをタップ機能に割り当てておけば、走行中の操作が簡単にできる。

 このほか、上位モデルの「SF-710S」は、音と振動で通過ラップ等のデータ通知機能がある。通知機能は音だけでなく振動(バイブレーション)にも設定できるため、トレーニングに集中していても確実にデータを知ることができる。

 計測データを、パソコンで管理するWebアプリ「NeoRun」にアップロードして、速度・距離のグラフ化、消費カロリーの集計など、さまざまな分析が可能。スマートフォン用の「NeoRun」も提供予定で、外出中でも手軽に閲覧できるほか、Bluetooth接続によりアップロードも可能になった。

 都内で開かれた発表会では、先日アディダスから発表された、腕だけで心拍測定できる「miCoach SMART RUN」との比較について記者から聞かれたが、「腕だけで心拍を測る技術自体はすでに持っているが、きちんと精度を上げて、来年度以降に製品化していきたい」とした。エプソン販売推進本部の西岡茂樹氏は、「ユーザーの声をうけとめ、国内メーカーだからこそできるきめ細かい対応をしてきた」と同製品への自信を見せた。

川崎 絵美