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タブレットで“真の個別指導”、「スマイルゼミ 中学生コース」

 ジャストシステムは、紙の教材を用いず、タブレットだけで学習する通信教育「スマイルゼミ」で、新たに生徒の習熟度にあわせた学習を可能にする「スマイルゼミ 中学生コース」を12月20日より開講する。

 現在の中学1年生と2年生向けは12月20日~、中学3年生向けは2014年4月1日から提供される。また小学6年生向けに、小学校の内容を復習して中学の学習内容を先取りする「中学準備講座」も12月20日より提供される。

専用タブレット

 利用料(月会費)は、毎月払い、6カ月一括払い、12カ月一括払いの3コースから選べる。ただし中学準備講座は月額5229円のみ。また専用タブレットは通常4万1790円だが、12カ月間の継続受講を前提に、一括払いで1万479円(12回払いでは1回1029円)となる。中途解約時には差額を支払う。

学年12カ月一括払い(1カ月あたり)6カ月一括払い(同)毎月払い
1年生7万5348円(6279円)4万1454円(6909円)7329円
2年生7万5348円(6279円)4万1454円(6909円)7329円
3年生8万7948円(7329円)4万7754円(7959円)8379円

苦手な部分を解析、学力向上に

 「スマイルゼミ 中学生コース」は、自宅で専用タブレットとタッチペンを用いて、英語や国語など5教科を学習できる通信教育サービス。中学1年~3年生向けに、教科書をもとにした日頃の学習用の問題が用意され、苦手な分野を解析し、重点的に学習できるようにした「オーダーメイド型」となっている。英単語など暗記するようなものは、誤って回答した結果から、繰り返し問題を出して定着するように仕向ける。その一方で、英語における英文法、数学における合同や相似など、ただ覚えるだけではない部分も習得できているかどうか判定する。

 スマートフォンを使っている場合は、外出先でも学習できるようAndroidアプリ「暗記カード mini by スマイルゼミ」(iOS版は今後知恵今日予定)が提供される。専用タブレットの暗記カード機能で間違えた問題をスマートフォンでも学べるアプリ。

 勉強するほどポイントが貯まり、そのポイントを使うと、専用タブレットが一時的に一般的なAndroidタブレットとして利用できる、「Androidモード」に切り替えられる。Androidモードでは、ゲームアプリも利用でき、Webブラウジングなどもできる。トレンドマイクロの「ウイルスバスター モバイル(スマイルゼミ版)」がプリセットされており、有害サイトのフィルタリング、ウイルスなどにも対策されている。初期設定では15分勉強すると、15分、Androidモードを利用できる。この部分は保護者が設定を変えることもでき、15分の勉強で5分、あるいは30分利用できるなど、厳しくしたり甘くしたりできるという。こうした仕組みがあることで、子供もゲーム感覚で積極的に学習に挑める。

忙しい中学生が“勉強したくなる”仕組み

 同社では、これまでの通信教育では、画一的な教材をもとに、生徒自身が課題を見出して学習する必要があったと指摘。特に小学生向けでは、自律的に継続させる仕組みが課題だったが、タブレットやクラウド型サービスという形態を活用して、昨年提供を開始した同社の小学生向けコースでは、現ユーザーの81.3%が「今までの通信教育の教材よりも、子供が自律的に学習するようになった」と回答するなど、成果を上げている。

 今回、タブレットも刷新してタッチペンでの手書き入力が可能になった「オーダーメイド型」の通信教育として「中学生コース」を提供する。小学生と中学生の大きな違いは「定期テストが行われるようになること」(ジャストシステム スマイルゼミプロジェクト企画担当の寺尾房代氏)で、その結果の積み重ねは高校受験における内申点に繋がる。内申点は、東京都の場合、推薦入試で50%、学力入試で40%と一定の割合を占めており、定期テストの成績を向上させることは、内申点の向上に繋がる。その一方で、クラブ活動にも取り組む子供が多く、効率的な学習が求められており、同社ではタブレットでの学習が効果的とアピールする。

定期テスト対策

 出題される問題は、ジャストシステムが制作したオリジナルのもの。これまで同社では、教育支援ソフトなどを手がけており、そうしたノウハウや、教員とのコミュニケーションで得られた指摘などを反映させているとのこと。

 また苦手分野の判定、問題の生成といった部分も、ジャストシステムのビッグデータ解析のノウハウなどを駆使して実装したものだという。「中学生コース」では日頃の学習能勢から理解度を判定する。

 その結果、定期テスト対策では、日頃の学習成果から判明している苦手部分のうち、優先する部分を見極めて問題を生成。14日前から学習を行う形となる。出題される問題は、先述した通り、理解度にあわせた専用問題となっており、テスト前日には直前対策もある。また配点の高い実技科目(音楽、美術、技術・家庭、保健体育)もサポートする。

専用タブレット

 専用タブレットは10.1インチ、1280×800ドットのIPS液晶ディスプレイを搭載する。Wi-Fi対応(IEEE802.11 b/g/n)対応で、大きさは272×186.6×10.2mm、重さは約580g。専用ケースが用意されており、「ネイビー/グレー」か「ブラウン/ピンク」のどちらかから選べる。

 ディスプレイは静電容量式のタッチパネルで、指でも操作できる。その一方で、学習時には付属の電磁誘導式デジタイザーペンでの入力もできる。このとき、通常、鉛筆などを手にして紙に書くように、画面に手をつけてデジタイザーペンで記入できる。

 このデジタイザーペンはワコム製だが、書き味が鉛筆に近いものになるよう、ジャストシステム側で「ペン先の素材の選定も行った」(スマイルゼミプロジェクト開発責任者の廣庭雅一氏)そうで、そのペン先は、市販のワコム製ペンとは異なる素材だという。タブレット自体も、製造こそ他社に委託する形となるが、学習部分のソフトウェアはもちろん、仕様はジャストシステム側が策定したもので、ジャストシステム製タブレットになる。

関口 聖