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au未来研究所の新たなケータイとは――神山健治監督の短編アニメ

 KDDIとスティーブンスティーブン(STEVE N' STEVEN)が公開しているWebコンテンツ「au未来研究所」で新たに、Production I.G製作、神山健治氏が監督・脚本を担当した短編アニメ「もうひとつの未来を。」が公開された。

 「競合他社への圧倒的なアドバンテージになる」
 「それどころか人類のコミュニケーションを根本から変える危険性がある」

 「あとでどんなことになるか、わかっていないんだから」
 「直接、タイムマシンで行くわけじゃないんだし」

 上記のセリフは、劇中のキャラクターが“au未来研究所”で開発された、ある新技術を巡って口にしたものだ。

 このアニメは、約7分間のショートムービーで、第1話として配信される。協力会社のスティーブンスティーブンは「東のエデン」「攻殻機動隊S.A.C」などを手がけた神山健治氏が共同CEOを務めており、今回のアニメはProduction I.Gが製作し、5.1chサラウンドでの劇場作品に匹敵するクオリティに仕上げられたという。

作品概要
劇中には、KDDI研究所(本物は埼玉県も登場。、KDDI本社のビルがほぼ同じ

ユーザーとともに空想技術を

 バーチャルでありながら、実在のKDDI研究所に付帯する組織として、11月6日より提供されてきたWebコンテンツ「au未来研究所」。こうしたコンテンツ、そして今回のアニメが提供される背景とはいったい何か。KDDI宣伝部 担当部長の塚本陽一氏は、マーケティング戦略の狙いとして、ユーザーと双方向で繋がる場と位置付けて「auというブランドを愛されるようにしたい」と語る。

KDDIの塚本氏
STEVEN’STEVEN 共同CEO(クリエイティブディレクター)古田彰一

 「他の業界であれば、企業ごとに独自ブランドの商品がある。しかし通信業界は特殊で、iPhoneのように各社で取り扱われる商品がある。そうなると、最後はブランドイメージを含め、好きなブランドはどこか、という問いに行き着く。ユーザーから理屈抜きで『KDDIが好きなんです』と言ってもらえる関係になるにはどうすればいいのか。さまざまな広告活動をしているが愛されるブランドになるには、まだ足りない。そこでau未来研究所を立ち上げた」

 こう語る塚本氏は、auのマーケティング戦略の一環としつつ、実在する組織であるKDDI研究所で、さらに実在するKDDI研究所スタッフも「au未来研究所」に参加することは、auの本気を示していると説明。こうした仕組みがリアリティをより高め、大々的な広告は展開せずとも、これまでに約7600人のユーザーが参加していることを明らかにした。

 「au未来研究所」の中にはユーザーから寄せられた、テキストベースのアイデアをもとにProduction I.G側でイラスト化するというコーナーもある。これまでに200のアイデアが寄せられ、イラスト化は14に達した。実際の商品になるかどうかは未定だが、12月下旬には「未来の携帯電話研究案件」が決定し、2014年2月中旬ごろに何らかの形で「研究成果発表」になるという。

 アニメの第2話、第3話も研究成果発表の時期にあわせて、続けて配信される予定。この第2話、第3話に、KDDIの田中孝司社長など、実在の人物は登場しないようだが、第1話を視聴したユーザーは、「au未来研究所」内で、その後の様子をうかがえる“極秘資料”にアクセスできるとのこと。

関口 聖