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ソフトバンク開発の電波伝搬に関する技術、LTE-A対応で国際標準に

 ソフトバンクモバイルとソフトバンクテレコムは、両社開発の「時間・空間電波伝搬推定法」が高速・広帯域なモバイル用通信システムの技術として、国連の専門機関の無線通信部門であるITU-Rにおいて国際標準になったと発表した。

 一般的に、携帯電話は、街中に設置された基地局と無線通信でやり取りする。基地局をどう配置してエリアを作るか、まったく障害物がない環境であればシミュレーションしやすいところだが、実際には多くの家屋、ビルが立ち並び、山や谷といった地形的要素を踏まえてエリア設計のシミュレーションを行う必要がある。ビルなどの障害物があれば、基地局から発射された電波は、そうした建物に遮られて携帯電話が見えない(見通し外)になることもあり、さらにビルに反射した電波が遅れて届く、といった現象も起き得る。

 ソフトバンクモバイルとソフトバンクテレコムでは、2007年に「時間・空間電波電波推定法」を開発。この技術は、電波の伝搬遅延時間特性(反射した電波が遅れて届くという性質)や空間特性(建物などに反射して、携帯電話へさまざまな角度から届くという性質)を推定しようというもの。LTEや次世代のLTE-Advanced(LTE-A)に対応した技術であり、まずは、見通し外(携帯電話から直接、見えない場所)にある基地局を対象にした技術として、翌2008年にITU-Rで標準化。その後、見通し内(携帯電話から基地局が見える場所にある)の基地局における推定法などが追加で標準化され、2013年12月までに「ITU-R P.1816-2」として公開された。

 ソフトバンクでは、通信事業者がこうした技術を用いることで、エリア設計などをより効率的に行えるようになる、と説明している。

関口 聖