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ドコモ第3四半期決算はほぼ横ばい、解約率はiPhone効果で改善

 NTTドコモは、2013年度第3四半期(2013年4月〜12月)の連結業績を発表した。

 9カ月累計の営業収益は、前年同期比0.2%減の3兆3636億円、営業利益は前年同期比1.9%減の6887億円、当期純利益は前年同期比3.3%増の4302億円となり、対前年比では収益は横ばい、営業減益、最終増益となった。

 総販売数は前年同期比で減少したものの、スマートフォンの利用数、LTEの契約数は数が着実に増加となった。設備投資について681億円削減の4723億円、LTEエリア展開やトラフィック対策によるネットワーク設備投資は強化しつつも効率化をはかった。フリーキャッシュフローは、569億円の大幅増の864億円となった。

 NTTドコモの加藤薫社長は、営業収益の変動要素について「音声収入の減少を、パケット収入の増加で補うかたちとなったが、月々サポートによる減収益量が大きく、モバイル通信サービス収入は減少した」と説明した。

MNPは順調に改善

 純増数について、1Q(第1四半期)と2Q(第2四半期)で大幅な減少が見られたが、3Q(第3四半期)で前年同期比で2倍になるなど、大幅に改善したことをアピールした。iPhone発売後の10月以降は月を追うごとに上昇し、特に12月にはAndroidの冬春モデルも出揃ったことで約28万増、純増シェアが1位となった。

 MNPでの転出は、9月にマイナス13万契約となったが、上記同等に月を追うごとに改善が見られ、マイナス5万ほどになった。前年同期比でみてもその改善状況は顕著になった。また、解約率も9月以降はマイナス0.7%まで改善している。

 総販売数は、前年同期比(累計)で18万台減となったが、ドコモが強化していきたいスマートフォン販売数は前年同期比を6%増と上回り、スマートフォン比率は61%まで上昇した。スマートフォン利用者の中でもLTE利用率が30%増加し、1902万契約となった。ドコモでは、より高機能のスマートフォンが普及してきたとみている。

iPhoneを迎えての初めての春商戦

 年間で最大の商戦期とされる春商戦を、ドコモは初めてiPhoneを含めたラインナップで戦う。学生は基本使用料が3年間無料、購入の際の割引も実施、さらにその家族にも基本使用料金が1年〜3年無料になるなどの特典を提供する。iPhone効果を存分に発揮するため、若年層とその家族間の囲い込みに力を入れる。

クアッドバンドLTEに期待してほしい

 ドコモならではのクアッドバンドLTEを提供し、世界最速を謳っている。加藤氏は、これまでも注力してきたLTEエリアを着実に拡大する「LTE基地局倍増計画」について説明した。全国の新幹線、全大学主要キャンパス、大型集客施設、などほぼ100%でエリア化を進めてきた。さらに、今後エリアを広げるとしているクアッドバンドLTEについては、都市部の主要駅・繁華街を中心に進めている。大阪環状線・山手線では一部の駅をのぞき150Mbpsを導入済みなのだという。また海外LTEローミングサービスを、iPhoneとAndroidスマートフォン12機種を対応予定端末とし、3月下旬から順次提供する。

主要サービスの契約数増加は順調

 ドコモが取り組むコンテンツ事業において、dメニューなどのプラットフォームモデルと、dマーケットなどのサービス提供モデルでの取扱高は、増加の一途をたどっている。dマーケットの「dビデオ」は434万契約、「dヒッツ」173万契約、「dアニメストア」98万契約、「dキッズ」2万契約となり、合計で700万契約を超えている。dキッズはサービス開始1カ月で2万契約を突破し、そのうちの4割がタブレットとのセット販売となっている。加藤氏は、「dキッズはタブレットの売り上げにも貢献しているサービス」であると述べた。dマーケットの各種サービスは、1人あたり平均約800円(昨年からプラス120円)となった。dファッションなど、サービスを拡充したことが寄与していると見ている。昨年から開始したドコモサービスパックも含めると、その合計は2000万契約数に近づいている。

 「今後も、スマートフォンの普及に伴い、さまざまなコンテンツへのニーズは飛躍的に高まってくると見込んでおり、適切なビジネスモデルで収益の機会を拡大していきたい」としている。

 また加藤氏は、同社の事業構造の変革と再構築についても触れた。「営業力の強化、新領域における取り組みの強化を大きな柱として、変革に取り組んでいる。ドコモグループ、NTTグループ会社まで含め、“永遠の課題かもしれないが”迅速な意志決定と業務運営の効率化を目指す」と説明した。

 なお、ドコモ広報によれば、12月末時点でのdocomo IDの利用数は1750万件(キャリアフリー後の利用数含む)とのこと。

iPhone効果、もっと早く出したかった

 「iPhone導入は、MNPと解約率の改善、パケット収入の増収など効果があったが、もう少し早めに出したかったというのが正直なところ」と話す加藤氏は、要因として、9月時点での在庫状況と、販売チャネルの立ち上げが遅かったことを反省点として挙げた。

ソフトバンクの新プラン「工夫されているな」

 一定利用分と従量課金を組み合わせたソフトバンクモバイルの新プランについての印象は、「他社さんのことを評価する立場にはないが、工夫されているなという印象」とし「長期的に見て、販売方法やラインナップ、ネットワーク、サービスこれらすべてを強化しつつ、料金についても検討が必要。すぐにではないが、適切なタイミングで、お客様目線で長く使っていただけるプランを常々考えている」と述べた。

Tizenの今後、明言せず

 先日発表されたTizen見送りに関しては、「マーケットが鈍化している状況での判断。ドコモにとって重要なOSであることは確かだが、世界の動向を見ながら検討したい」とし、導入に関する具体的な明言は避けた。

VoLTEでの音声サービス提供、年内開始かもしれない

 囲み取材に応じた加藤氏は、LTEネットワーク上でのIP電話「VoLTE(ボルテ)」について「今年中にというところかもしれない。だが何をアピールするのか。音声通話は、コミュニケーションツールとして重要。大切にしていきたい」とコメント。冬モデルで対応かどうかについて「もうちょっと早いかもしれない」と述べた。

KDDIの“適切なキャッシュバック”、あるべき姿ではない

 「KDDIは1月が好調だったみたいですが……」という記者からの問いに「1月は12月に比べて沈んだ。かなり(KDDI田中社長の言う)“適切なキャッシュバック”の影響を受けている」と応えた。「ただし、そのやり方が、本当に市場にとって、お客様にとって、いいことなのか?という自問がある。あるべき姿ではない」と言葉を選びながらも力強く述べた。

 「キャッシュバックを実施しているから、2年ごとにキャリアを変える方や、それに対して割り切った事業者もあるようだが……。そうすると長く使って頂いている方とのバランスはどうなるんだろう?と思ったりもする」と小声で語った。

(川崎 絵美)