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リアル店舗でも「au ID」で支払い、「au WALLET構想」

 KDDIと沖縄セルラーは、2014年5月を目処に新サービス「au WALLET」を提供する。「3M戦略」第3弾の構想に基づくサービスで、au IDに紐付けた電子マネーカードでショッピングできるようにする。

 KDDIと沖縄セルラーは、2014年5月を目処に新サービス「au WALLET」を提供する。「3M戦略」第3弾の構想に基づくサービスで、au IDに紐付けた電子マネーカードでショッピングできるようにする。

 KDDIでは13日、記者会見を開催。同社代表取締役社長の田中孝司氏が説明を行った。「au WALLET構想」では、約3400万のauユーザーを基盤に、O2O事業を立ち上げる。まずは2016年度、1兆円規模のマーケット創出を目指す。

 プレゼンテーションで田中氏は、「ユーザーは多くのポイントカードを持っているが、au WALLETポイント1枚にまとめられる」「ポイントがどこでも貯まる・使える」「おトクな店が見つかる」という3つのメリットをアピールした。

笑顔でロゴを持つ田中孝司社長
3つのメリット

プリペイド型の電子マネー

 「au WALLET」は、au IDと連携し、ポイントも貯められる電子マネーカード。デジタルコンテンツ、ネットショッピングとオンラインでの支払いのほか、世界約3600万のリアル店舗でのショッピングでも利用できる。リアル店舗での支払いは、KDDI傘下のWebMoneyとクレディセゾンの協業により、MasterCardのプリペイド決済システムを利用する。ポイントは、日々のショッピング、携帯電話の利用料などに応じて貯まり、オンラインとオフラインの両方でポイントを現金代わりに支払える。

 田中社長は、「au WALLET」について「イメージとしては『クレジットカードじゃないMasterCard』みたいな感じ。クレジット(信用枠)はないが、バリューをチャージできるようにしている。上限額はこれから決めるが、15歳なら○円と設定することになるのだろう。詳細は開始前に案内したい」とした。

 なお、店舗側にとって気になる手数料は、店舗によって異なるようだ。これはMasterCardの決済システムを使う関係上、クレディセゾンが店舗を開拓した際の手数料に準じるため、と見られる。また、量販店などでは、クレジットカードと電子マネーで、ポイント付与率が異なることがあるものの、今回の「au WALLET」がどういった扱いになるかは店舗側の判断になり、現時点では明らかにされていない。

 また、競合他社であるドコモでも「iD」というクレジットブランドを用意して、ドコモ自身のクレジットサービス「DCMX」を展開しているが、田中氏は、ドコモ側がクレジットカード、一方のauがプリペイド型電子マネーであり「大きく違う」とした。

MasterCard加盟店で利用可能に

 利用できる具体的な店舗は明らかにされていないが、KDDIでは国内の主要コンビニエンスストアなど、普段ユーザーが訪れる店舗をカバーする考え。MasterCardの決済ネットワークを利用することから、MasterCardが使える店舗では「au WALLET」が利用できるとみられる。

カード紛失時にはアプリで

 このほか、スマートフォンアプリでは、ポイントや電子マネー残高の確認、チャージ機能を利用できる。チャージは、auかんたん決済でも行えるようになる見込み。オートチャージ機能もサポートする。プリペイドのため、未成年でも利用でき、クレジットカードの信用情報にも影響しない。

 カードのデザインは今回、公開されていないが、MasterCard加盟店で利用する場合、磁気ストライプを読み取って決済する。

 また電子マネーカードを紛失した際には、スマホアプリでの手続きをする。詳細な今後だが、たとえばユーザーのau IDに紐付く電子マネーカードをロックする、といった形になるようだ。

複数のau IDを統合、個々人へカードを発行

 複数のau回線を持ち、au IDも複数ある人に向けて、au IDを統合する仕組みが今後提供される予定。一方、チャージした電子マネー(バリュー)をユーザー間でやり取りする機能やギフト機能は今のところ、予定されていない。

 ただ、1つのau IDにつき、1つの「au WALLET」カードが発行されるという形になり、ポイント付与もそのカード/au IDに対して行われることになる。現在のauポイントは、家族で請求をまとめている場合は、その1請求単位ごとに割り当てられているが、こうした現状を踏まえて、家族間の「au WALLET」のバリューの扱いをどうするか、今後検討される。

 他キャリアユーザーには発行せず、auユーザー向けのサービスとなる。また一律で配布されるものではなく、申し込みを受けてカードを提供する。auを解約した場合、電子マネーカードにチャージされているバリューはそのままだが、ポイントの付き方などで違いがある、という形になるという。

auの利用料に充当できるポイント

 「au WALLET」は、MasterCard加盟店で利用できるプリペイド型の電子マネーであり、さらにポイントが付与されることが特徴だ。このポイントシステムは、現状のauポイントをベースにした「au WALLETポイントプログラム」として提供される

 他社が提供するものでは、クレジットカードでポイントが得られるもの、あるいは楽天Edyのように電子マネーを使ってマイルやポイントを得るという形のものはある。一方、「au WALLET」はクレジットカードが使える場所ではおおよそ利用できるものと見られ、さらにオンラインに限らず、リアルでもポイントで支払える。またauの携帯電話利用料にも、「au WALLETポイント」は使えるとのことで、こうした幅広く利用できるポイント、という点は「世界で初めてではないか。ここまでやるのはイノベーションじゃないかと思っている」(田中氏)とされ、特徴の1つとして打ち出されている。特に携帯電話の利用料に充当できることは、同社が行った調査結果でユーザーからのニーズが高い要素とされており、利用を促進する大きな力になる、とされた。

 ポイントが強みというau WALLETについて、田中氏は「おサイフケータイにはそれなりのメリットがある。しかしポイントは意外と活用されていない。今回一番大きいのは、電子マネーとポイントがセットになっているところで、バリューチェーン(利用することでポイントが貯まり、そのポイントを使って、購入し、またポイントが貯まり……という流れ)ができる。またau WALLETは電話料金に使えるが、そうしたものも意外にない。しかもどこで使っても貯まる、というのは、お客さんの心を打つのではないかと思っている。海外で使ってもポイントが貯まる」と述べた。

 またTポイントやPontaといった、さまざまな店舗で利用できる共通ポイントとの併用については、au WALLETで支払うと、au WALLETポイントだけではなく共通ポイントも貯まるという形になるという。ポイントの原資について田中氏は「ポイントの原資は自分らが拠出する場合は自分らが出しますし、加盟店は加盟店が出す。使えるところが出す」と囲み取材でコメントした。

3M戦略、初期からのアイデア

 KDDIでは、「マルチ・ユース」と「マルチ・ネットワーク」、「マルチ・デバイス」を推進する「3M戦略」を掲げ、第1弾の「スマートパスポート構想」では、固定回線とのセット割引である「auスマートバリュー」、コンテンツ使い放題やクーポンなどを提供する「auスマートパス」、そして認証基盤である「au ID」を提供した。

 続く「スマートリレーションズ構想」は、WiMAX 2+とのセット割で1人暮らしユーザーに向けた「auスマートバリュー mine」、auスマートパスでリアル店舗のクーポン配信、有料のサポートサービス「auスマートサポート」を展開。徐々にオンラインからリアルとの関係性を強めてきたが、今回、決済サービスという形で、さらにその動きを加速する。田中氏は、今回発表した、3M戦略第3弾の「au WALLET構想」について、3M構想の初期から温めてきたアイデアであり、「ネットだけではなくリアルにも踏み出したい。今回のキーファクターはau ID。リアルとの融合を本格化させ、新たなO2O事業を立ち上げる。ネットとリアルの融合で次の成長ステージに入る。ネット+リアルの経済圏を創出する」と意気込む。

 そうした“次のステージ”へauを突き動かす原動力には、2013年度末に携帯680万件/固定358万件になるauスマートバリュー、1000万件になるauスマートパス、1700万件になるau IDという3つの顧客基盤が挙げられている。

カードの価値を重視、おサイフケータイ版は……

 「au WALLET」はWebMoneyの基盤を利用する。WebMoneyはFeliCaのような非接触型ICチップを使わず、いわゆるサーバー型電子マネーと呼ばれるもの。ちなみに代表的な電子マネーの1つである「楽天Edy」は、2012年、FeliCaだけではなくサーバー型電子マネーとしての機能も追加されている。

 「au WALLET」のスマートフォン向けアプリでは、サーバー型電子マネーとして、残高確認、チャージなどが行えるようになるが、プラスチックカードでの提供となり、おサイフケータイ版については触れられていない。この点について、田中氏は「将来のことはわからないが」と前置きした上で、「ユーザーはスマホとカードを分けたいのではないか、物理的にカードで支払いたいと思っているのではないか。(おサイフケータイだけのような)1つのソリューションだけでは厳しい。カードの発行のほうがわかりやすいし、物理的なカードのようないろんな仕組みのほうがうまくいく」とコメント。ただ、auとしておサイフケータイ機能と距離を置くというわけではないと説明。、iPhoneユーザーや、おサイフケータイ機能での電子マネーを使っていないユーザーにも使いやすい、新たな決済手段の1つとする。

 囲み取材で田中氏は「物理的なカードの価値がよくわかった、というのが本音。au IDでやりたいサービスとして当初から考えていたが、スマホを使ってリアルに繋げるという手法と、今回のような物理的なカードを使う手法で比べると、やっぱりカードのほうが便利。本当に細かく分析していくと、若い人、女性はそうだが、スマートフォンと別に持ちたがる。カードを発行しないという選択によって、対象市場を狭める必要はない。我々はau IDユーザー全員に使ってもらいたいのに、なぜ自分でターゲットを狭くのか。狙うは財布の(カード入れの)一番上」と語った。

マーケティングツールとして

 「au WALLET」のユーザーには、位置情報や時間、購買履歴などを分析した上で、スマートフォン向けに「ユーザーにとって不要な情報を排し、本当におトクな店」の情報が配信される。

 こうした情報分析・配信はユーザーの許諾を得た上で実施するとのことで、田中氏は「渋谷にいればその近辺の店舗の情報だけが配信される。ユーザーのTPOにあわせて、最適なリコメント候補が得られるのであればメリットになるんじゃないか」とした。

 「僕らは経済圏を作りたいと思っている。au WALLETはツールだと思っている。実際、そこでショップするリアル店舗があって、そういうところがパートナー。我々はパートナーさんと一緒にビジネスを作っていくことが基本。その中で必要なツールは、カードでありポイントであり、それらはプラットフォーマーであるキャリアがやるべきだと思っている。あとはそれがうまく回るようにしなければならない」

 囲み取材でこのように語った田中氏は、リアルとの関係性を深めることで、au自身の魅力を高めることも狙いの1つとした。

(関口 聖)