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国民生活センター、スマホの発熱や充電時の焼損に注意喚起

 国民生活センターは、スマートフォンの充電端子の焼損や、本体の発熱に関する相談が急増しているとして、消費者に対し注意喚起を行うとともに、寄せられた相談内容をもとにした調査結果を公表した。国民生活センターでは、充電端子の取り扱いに毎回注意し、発熱した本体は肌に長時間接触させないよう案内している。

 今回対象となった「スマートフォンの充電端子の焼損や本体の発熱等」に関しては、2009年度~2013年度12月31日までの4年弱の間に、合計1032件の相談が寄せられた。このうちやけどや、やけどしそうになった「危害・危険情報」に区分される相談は268件。いずれも、2012年度から相談件数は急増しており、2013年度は前年の同時期と比較しても増加傾向にある。

「スマートフォンの充電端子の焼損や本体の発熱等」相談件数の推移

 1032件の相談のうち、約6割の642件は、本体が熱くなりすぎるなど過熱に関する相談だった。また、スマートフォンの使用期間が判明している相談は354件で、このうち6カ月未満の相談は半数以上になり、購入初期にトラブルが多い傾向が明らかになった。

 焼損を伴うなどの危害・危険情報に区分された268件の相談のうち、充電中に充電端子が発熱し焼損したという事例は65件。充電中や使用中に本体が発熱したという事例は165件だった。焼損を伴う65件の事例では、テーブルや布団など、周辺に焼損が及んだ事例が23件(35.4%)、やけどの申告は11件(16.9%)だった。

 充電中、あるいは使用中に本体が発熱した165件の事例では、通話・使用中の発熱は65件(39.4%)、充電中が33件(20%)、充電しながら通話・使用では7件(4.2%)。本体の発熱により、顔や手指にやけどをしたという申告は64件(38.8%)になった。

 調査では具体的な事例も紹介されており、充電端子部分が溶けて焼損したり、就寝中に本体に長時間触れて低温やけどを負った事例、通話中の発熱により頬に低温やけどを負った事例などが明らかにされている。

充電端子が焼損の事例、テストでは原因特定に至らず

 調査では、焼損の事例を受ける中で、個々の事例の原因調査や、事例を再現するテストも実施している。ただし、焼損の事例では明確な原因の特定には至っていない。

 充電端子が焼損した1つの事例では、microUSB端子内部の5本の端子のうち、5V電源用の1番ピン周辺の損傷が最も激しかった。別のテストでは、この1番ピンを意図的に破損させて充電すると、接点部が異常に過熱することも再現されている。

 一方で、300回のmicroUSB端子の挿抜テストでは、同型の製品において端子の損傷はみられなかったほか、調査を依頼された事例では、焼損した端子部分に異物の痕跡は確認できなかったという。

本体の発熱、低温やけどに注意

 本体が発熱するという事例では、依頼を受けて当該の端末を調査すると、ゲームやテレビ電話を使用すると10分程度で本体上部が最大54度、背面側で最大58度にまで上昇した。このとき、温度の上昇を防ぐため、画面には警告が表示されてアプリが終了する仕組みになっていた。また、バッテリー部分は発熱していなかったことから、発熱の主な原因はCPUへの負荷が増大したためとしている。

 なお、一部のキャリアは充電端子の発熱、焼損、本体の発熱について注意喚起を行っているほか、取扱説明書に記載したり、本体にシールを貼り付けたりしている場合もあった。

充電端子の取り扱い、長時間の肌への密着は注意

 国民生活センターでは、消費者に対し、スマートフォンを充電する際は充電端子の取り扱いに毎回注意するよう案内。低温やけどを防止するため、充電や使用中に肌に長時間密着させないようにも案内している。

 国民生活センターではこれらの調査結果を受けて、事業者に対し、発熱や焼損しにくい端子、および本体の発熱を抑えた製品の開発を要望している。

太田 亮三