ニュース

ソフトバンクグループが災害対策訓練を実施、気球基地局も登場

 ソフトバンクモバイル、イー・アクセス、ウィルコムの3社は、「ソフトバンクグループ 2013年度下期合同災害対策訓練」を合同で実施し、その模様を報道陣にも公開した。

 災害対策訓練はソフトバンクグループの各社で独自に実施されてきたが、グループとして、大規模な災害対策訓練を報道陣に公開するのは初めて。ソフトバンクグループのイー・アクセス、ウィルコムを加えた合同訓練として実施された。

 訓練会場は東京ビッグサイトにほど近い、国営東京臨海広域防災公園。グループが保有している移動基地局車や衛星電話などの設備が展示されたほか、係留気球にアンテナなどの一部の基地局設備を搭載した気球基地局も登場。気球基地局は免許の関係で電波の受発信は行わなかったが、設営の手順などが確認された。

 今回の訓練は、首都直下地震の発生を想定したもので、大規模災害時に通信エリアを応急復旧させる一連の動作を確認するというもの。現場に到着した移動基地局車を稼働させ、通信が行えるようになるまでの作業が実際に行われた。基地局車の設営訓練は、北海道、中四国、東海、救援隊(ソフトバンク社員など)、イー・アクセスのグループに分かれて行い、それぞれ担当の設備の設営を行った。基地局車の設営が終わると、机を用意して、一般ユーザー向けの携帯電話の充電設備なども設置された。専用の設備を備えた基地局車は30分ほどで設営を終えたほか、可搬型基地局など設営に時間がかかる設備も約1時間で設営が終了した。

 ソフトバンクグループでは、大規模な災害の発生をニュースなどで確認した後は、各自が自発的に動き始められるようにしている。被災地が遠方の場合でも、まずは動き始めて、移動中に災害対策本部と連絡を取り合いながら詳細を詰めていくという方針で、近隣や全国から早急に支援に駆けつけられる体制になっている。訓練後の閉会式では、ソフトバンクモバイル 保全運用本部 保全計画統括部 災害対策室長の鈴木利昭氏が挨拶し、東北、東京、九州、気球班などを含め、全国から参加したグループに対し「成果をそれぞれの地域に持ち帰って欲しい。災害発生時には、自分にできることは何か、創造的に考えて行動することが重要。イー・アクセス、ウィルコムとも、一体となって取り組んでいく」と語った。

報道陣向けに説明を行う鈴木氏(左)
訓練開始の合図とともに移動、設営を開始
トラックタイプの移動基地局車の設営の様子
ミニバンタイプの移動基地局車
ワンボックスタイプの移動基地局車
レンタカーで現場に到着した可搬型基地局
可搬型基地局と、可搬型基地局を設置できるルーフを搭載したワンボックスカー
イー・モバイルの移動基地局車
設営が完了
閉会式

気球基地局の高度を下げ、再び上昇させる様子

気球基地局を係留するウィンチ
係留ロープは2本体制。発電機で動作させる
気球基地局の高度を下げているところ
地上では係留用の水おもりを用意
気球基地局。スカートのような布が向きを安定させる
ある程度高度が下がると横に移動させていく
地上に降ろしたところ
特殊な布で、カラスがつついても穴が開かない仕様
半透過の布はウェディングドレスなどに使われる布地だとか
アンテナは受信、送信の2本で、気球の姿勢にかかわらず垂直になる仕組み
上空は気流が違うため風速計も搭載。気球基地局は風速25m程度まで耐えられるという
最大100mの高度になるため、60m以上の建物に必要な航空障害灯も装備している
内部の装置
おもりを外し、再び上空へ

気球基地局や移動基地局車を公開、可搬型はレンタカーやヘリで運搬も可能

 ソフトバンクはこれまでも移動基地局車などの情報を公開しているが、複数の種類を一度に展示し公開するのは初めてとしている。東日本大震災を機に大幅に拡充したという基地局車の台数は、トラックタイプ、ワンボックスタイプ、ミニバンタイプを合わせて全国に100台を配備している。同社の基地局車の多くは、衛星通信を基本としているのが特徴で、自動追尾型のパラボラアンテナを装備している。また、ウィルコムがグループ会社となったことで、基地局設備にはPHS用のアンテナを追加。衛星携帯電話も配備している。

 トラックタイプは最も充実した内容となり、3Gは900MHz帯もサポート。2GHz帯のLTEにも対応する。衛星通信のほか、光回線を接続することもできる。

 ワンボックスタイプは市販車を改修したもので、伸縮式のアンテナと可倒式のパラボラアンテナがルーフに備え付けられている。こちらも衛星通信に加えて光回線を接続できる。ミニバンタイプは市販車を改修したもので、通信網との接続は衛星通信のみとなっている。

トラックタイプの移動基地局車
右からミニバンタイプ、ワンボックスタイプ

 ソフトバンクでは、車両のルーフなどへの備え付けではなく、積載して持ち運べる可搬型基地局も配備している。全国に100台が配備されており、ワンボックスタイプであればレンタカーなどでも移動が可能。自衛隊のヘリコプターに積載して運べることも確認されているという。同社ではまた、可搬型基地局をルーフに設置しやすいようにしたワンボックスタイプの車両とのセットについても、別途全国に100台を配備している。

 イー・モバイルは2台の移動基地局車を配備しており、こちらは通信網への接続が衛星通信ではなく、マイクロ波を使うアンテナを搭載している。イー・モバイルでは、可搬型基地局を含めて10台を配備しているとのこと。

 ソフトバンクはこのほか、東日本大震災での教訓から、ガソリンや軽油などに対応する2000リットル積載可能なタンクローリーも配備し、現場での長時間の稼働にも対応する。

可搬型基地局と、レンタカーに搭載した可搬型基地局
イー・モバイルの移動基地局車
移動電源車
燃料を運べるタンクローリーも配備する

 気球基地局は、2012年から実験が開始され配備されたもので、被害の甚大な地域をカバーできる基地局として用意されている。気球基地局も可搬型で、ワンボックスタイプの車両やヘリコプターで移動が可能。4時間程度の時間で設営ができる。

 係留気球として、設置後に移動はできないが、上空100mに静止し、最大で半径5kmを3Gの通信エリアとしてカバーできる。装置にはWi-Fiスポット機能も用意される。実際の運用にあたっては、近くに移動無線車を用意し、中継用のアンテナとして気球の無線アンテナを使う形になる。

 気球基地局の実態は係留された飛行船に近く、ヘリウムガスが充填され高度を確保する。内部には空気が入った袋(全体の10%程度)もあり、気温によって形状が変化しないようになっている。また、飛行機の尾翼にあたる布が付けられており、風が吹いても回転せず、向きを一定に保つことが可能。牽引ロープは予備を加えた2本の体制。さらに緊急時には、リモコン操作で気球の布を破ってヘリウムガスを抜く装置が搭載されており、ゆっくりと落下させることができるという。

気球基地局。この日は会場の都合で高度は30mになっている
気球基地局の設備部分

展示された災害対策の端末など

iPhoneに装着しアプリ経由で利用する衛星携帯電話システム「202TH」
202THの側面
小型・軽量な衛星携帯電話「201TH」
日本語にも対応
屋内電話に接続するための通信衛星用アンテナ
「201TH」と通信衛星用アンテナを接続することで固定電話のように利用できる日本サテライト・コミュニケーションズの「FDU XT」
20台に対応する充電設備。各種のコネクターに対応する
乾電池駆動が可能なウィルコムのイエデンワ

(太田 亮三)