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auのLTEが実人口カバー率99%に、1年で3%向上させた舞台裏

 KDDIと沖縄セルラーは、800MHz帯によるLTEサービスのエリアが、実人口カバー率で99%に達したと発表した。

 auでは2012年11月より800MHz帯でのLTEサービスをスタート。1年前の2013年3月の段階で既に実人口カバー率は96%に達していたが、今回、さらにエリアを広げて、99%を達成した。

 かつて携帯電話のエリアカバー率は、自治体の役場をカバーすれば、その地域をサービスエリアとしてカウントする、といった形で、これは「人口カバー率」と呼ばれる。

 一方、auが唱える「実人口カバー率」は、国勢調査と同じく、日本の国土(海を含まず)を500mメッシュで分けて、そのなかに含まれる人口に対するカバー率、という考え方。たとえば100人が住むエリア500m四方のうち、40%がカバーできていれば、40人をカバーしたことと見なし、日本の総人口のうちカバーできた人数分、カバー率をアップさせる。つまり1000万人がいるエリアをカバーできれば、実人口カバー率は10%ということになる。

 ちなみにエリアカバー率の示し方については、総務省でも議論が進められており、近くガイドラインが示される見込み。今のところ、500mメッシュに区切り、そのうちサービスエリアが50%を超えていれば、そのメッシュはエリア圏内と見なす、という形になりそうだという。この考え方は、昨年、UQコミュニケーションズに電波の追加割当を行う際にも用いられた。

大雪でも工事

 実人口カバー率が99%になったことで、800MHz帯のLTEサービスのエリアは、1年前の1.5倍の面積になった。地域別では北海道が1.9倍、東北が1.7倍、関東が1.4倍、中部が1.3倍、北陸が1.2倍、関西が2.3倍、中国が1.4倍、四国が1.7倍、九州が1.5倍、沖縄が1.7倍となる。KDDIの建設部門でのエリア設計担当者である野口孝幸氏によれば、日本の国土を500m四方で区切ると、150万ものメッシュになる。そのうち人が住んでいるのは48万カ所。1年前の実人口カバー率96%は国土の14%に過ぎなかったが、今回達成した実人口カバー率99%では国土面積の21%までがサービスエリアになったことになる。なお、この数値は人が住んでいる場所に限ったもの。KDDIでは、人が住んでいない場所もエリア化しており、その非居住地域も含めれば、国土面積の約50%がサービスエリアだ。

 そして新たにエリアとなった場所は、ユーザーが住む場所だけではなく、地方の道路、道の駅、空港など“生活導線”となっている場所だ。こうした場所をカバーすることで、ユーザーがどこでも繋がるという感覚を実現できることを目指したと、エリア品質強化室長の木下雅臣氏は説明する。そうした場所は、各地域のスタッフから情報を収集し、エリア整備すべき重要な場所かどうか判定していった。一方、実人口カバー率とは直接関わりはないが、都市部においても、この1年、地下街や鉄道のトンネルなど繋がりにくい場所に対するエリア改善も進められた。たとえば鉄道のトンネル内部には外から電波を発射するといった手法を駆使されたという。その結果、たとえば東急田園都市線は昨年秋の段階、朝の通勤ラッシュの時間帯、渋谷まで向かう最中、7回、3Gへ切り替わっていたが、今はLTEエリアを広げたことで、3Gへの切り替えは1回程度にまで落ち着いてきた。

大雪での作業

 実人口カバー率を99%にすることは必達目標として工事を進めてきたKDDI。そこに、この冬の大雪が立ちふさがった。通常であれば、北日本などは多くの積雪があると雪解けを待って工事を進めるところだが、3月までの99%達成には工事のペースを落とすことはできず、KDDI側のスタッフや協力会社のスタッフが雪かきをしながら新たに基地局を設置した場所もあった。

 エリアの繋がりやすさを広告で強くアピールする中で、ユーザーが「どこでも使える」と期待しながら契約し、実際に使えなければ不満に思われ、解約に繋がる。実際にユーザーからの問い合わせがあって、「すぐに対応しなければ3カ月で10%のユーザーが解約する」(KDDIコンシューマ営業本部 コンシューマ営業企画部の杉木英一氏)。ユーザーからの問い合わせで「他社は使えるのに」と言われると、KDDI側も奮起して改善に励んだ。

 他社が接続率、あるいは通信速度をアピールする中、LTEエリアの充実度を打ち出すのは「ユーザーにとってわかりやすい基準だから。繋がらない、途切れるということがあれば、すぐわかる」(木下氏)と考えているため。そしてLTEエリアの拡充に注力するのは、より多くのユーザーにエリア品質の高さを実感してもらえるようにするため、としている。一方、KDDIでは3Gの通信技術で、他社と異なるCDMA2000方式を用いてきた。今回、3Gとほぼ同等のエリアの広さになったというLTEエリアは、新たなサービスの下地にもなりそうだ。

(関口 聖)