ニュース

1万円以下サイン不要、クレカ決済サービス「Coiney」の特徴とは

導入店舗で売上15%増の事例も

 コイニーは、スマートフォンやタブレットでクレジットカードの決済機能を提供するサービス「Coiney」の正式サービスの提供開始から1周年を迎え、新しいオフィスにて、現在の状況やサービスの特徴、今後の戦略を解説した。同社はあわせて、リーダー端末の販売をAmazon.co.jpで開始した。

 「Coiney」として提供されているサービスは、「Square」や「PayPal Here」「楽天スマートペイ」などと同様に、スマートフォンなどがクレジットカードの決済端末になるというもの。スマートフォンやタブレットのイヤホンジャックに専用リーダーを装着し、専用アプリを利用して決済機能を実現する。

 これらのサービスでは、初期費用や月額利用料は不要で、カードの決済手数料も抑えられているのが共通した特徴。売上の入金も数日以内が主流。カード番号など重要な情報はアプリに保存されないという仕様も、各サービスに共通する特徴だ。「Coiney」では初期費用やアプリの利用料は無料で、クレジットカード決済の手数料も3.24%と最安クラスになっている。決済手数料は各社ともに低く設定しており、「Square」は3.25%、「PayPal Here」「楽天スマートペイ」が3.24%だ。

 「Coiney」を含め、一部は個人事業主でも利用できる。小額決済が中心で、経費や事業形態などの面でクレジットカード決済の導入が難しかった店舗や事業主に向けて展開されている。「Square」など同種のサービスは、ライブイベントの物販コーナーや同人作品の展示即売会などで見かけるようになっているが、「Coiney」でもこうしたアマチュアを含めた販売現場へのアプローチも検討されているようだ。

「Coiney」のリーダーを付けたiPad mini
「Coiney リーダー」は追加分をAmazonでも購入可能になった

1万円以下はサイン不要

 「Coiney」が他社にはない最大の特徴としているのが、1万円以下の決済ではサインが不要という仕様だ。クレジットカードの小額決済をサイン不要で利用できるのは、従来はコンビニやスーパー、デパートなど一部に限られていたが、「Coiney」ではアプリの設定で「サイン不要」という項目を選択でき、「Coiney」を導入した事業者ならだれでも利用できる。

1万円以下はサイン不要

 「Coiney」では、利用を申し込んで審査を通過した事業者に対し、「Coiney リーダー」1台を無料で提供しているが、リーダーを追加で購入する際は、同社のWebサイトからアクセスできるオンラインショップで購入する必要があった。4月10日からはAmazon.co.jpにて1台2580円(税込)で販売が開始され、複数台での利用や、急な需要にもより手軽に応えられるとする。

クレジットカード対応で売上は増加

 10日には、都内の同社・新オフィスが披露された。コイニー 代表取締役社長の佐俣奈緒子氏は、サービスの概要を解説する中で、国内でクレジットカードの普及が遅れている原因には、利用できる店舗が限られているという面が影響していると指摘する。

 例えば、個人事業主も多いバーやアパレル関係、雑貨屋、美容院などはクレジットカードへの対応が遅れており、実際に「Coiney」を導入するケースでは、「Coiney」によって初めてクレジットカード決済に対応したという場合が多いという。

 一方で、クレジットカードでの決済は、心理的な面も含めて、現金で支払うよりも少し高い金額になる傾向があるとのことで、あるケーキ屋では「Coiney」導入後に売上が15%も伸びたというケースもあったとのこと。飲食店などでは、忘年会シーズンなどに急激に利用が増加するケースもあるという。

 当初はiPhone向けに提供されてきた「Coiney」だが、現在は一部のAndroid端末もサポートを開始し、ユーザーも拡大しているとのこと。NTT東日本の「ラクレジ」との連携や、家計簿サービスの「マネーフォワード」とデータ連携を開始するなど、より販売の現場に適応できる拡充も行われている。

サービスを解説するコイニー 代表取締役社長の佐俣奈緒子氏(右)

2014年度はリーダー10万台配布が目標

 正式サービスの開始から1年が経過し、「Coiney」の導入数は、3000%の成長を遂げているとのこと(数は非公開)。サポート体制の強化など利便性の向上にも注力しており、「2014年度は『Coiney リーダー』の10万台の配布がターゲット」という目標も明らかにされた。

 新オフィスは、エントランス付近に冷蔵庫を設置し、社員向けに飲料を販売している。これらは「Coiney」による決済で販売されており、社員が日常的に自社サービスを利用する環境が構築されている。

 佐俣氏は、「自分たちの製品を使う場所が無いという点や、お店の人の気持ちになって触れられないという点に危機感を持っていた」と語り、オフィスに店舗を再現した環境を作ることで、「サービスの改善が、圧倒的に早くなっている」という。「広いオフィスにすることより、店舗になりきることをやりたかった。それがこのオフィスにしてよかったこと」と、新しいオフィスの効果を語った。

 なお、これまでは約30坪で15人程度を想定したマンションの一室がオフィスだったとのこと。最終的に30人ぐらいにまで人員が膨らみ、「結果的にどうなったかというと、風邪が蔓延した。この冬は風邪の流行が2回まわってきた」と、狭いオフィスや仕切りのないオフィスで顕著になる問題についても触れていた。

オフィスの受付(兼DJブース)
エントランスには小型のビリヤード台も
会議室の1つは料亭の座敷をイメージ。壁はクレジットカードの磁気ストライプがモチーフだ
執務スペースにはハードウェアを開発するデスクも
70人弱を収容できるスペース。現在はまだ余裕がある
奥行きを意識させるデザインとして、机の側面に色が塗られている

(太田 亮三)