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au、今夏に下り150Mbpsのキャリアアグリゲーション導入

対応エリアは2015年3月末に全国へ拡大

 KDDI、沖縄セルラーは、2014年夏をめどに、LTEネットワーク上で高速化や安定化を図る技術「キャリアアグリゲーション」を導入する。新たにキャリアアグリゲーションに対応するauのスマートフォンで利用でき、今後発表される2014年夏モデルでは数機種が対応する見込み。

auが今夏より提供するキャリアアグリゲーション

 キャリアアグリゲーション(CA)は、連続していない周波数帯を束ねて利用し、通信速度の高速化や安定化を図る技術で、次世代の通信規格であるLTE-Advancedの技術のひとつとして開発されているもの。KDDIでは、既存のLTEネットワークにおいて、2.1GHz帯の10MHz幅、800MHz帯の10MHz幅を利用し、合計で20MHz幅として下り最大150Mbpsの速度を実現する。これにより、150Mbpsのエリアが一気に全国に拡大するとしている。上りの通信速度は従来と同じ。

 150Mbpsに対応する基地局は、CAの提供開始時点で約2500局、2015年3月末には全国の約2万局に拡大される予定。150Mbpsに対応するエリアは、auのWebサイトで案内される。

 auはこれまで下り最大150Mbpsのサービスについて、2.1GHz帯で20MHz幅を確保できる郊外を中心に提供してきた。CAが導入されることにより、都市部でも150Mbpsのサービスが提供されるようになる。

2014年夏モデルのスマートフォン向け数機種で対応を開始
キャリアアグリゲーションの特徴

仮想的に20MHz幅を実現、高速通信の安定化も大きなメリットに

 21日に都内で記者向けに開催された説明会では、KDDI 技術統括本部長の内田義昭氏が登壇した。内田氏は、世界でLTEの採用が拡大していることや、auが日本でLTEエリアを急速に拡大してきた様子をまず紹介した。

 auはこれまで、800MHz帯を中心にエリア拡大を図り、2014年3月末に実人口カバー率が99%となっているが、2.1GHz帯についても展開を加速させており、2014年3月末に実人口カバー率が85%のところを、2015年3月末に90%超に拡大する予定としている。

 LTE-Advancedの主要な技術については、マクロセルとスモールセルの間の干渉を抑制する「eICIC」、複数の周波数帯を束ねて利用する「キャリアアグリゲーション(CA)」、複数基地局が協調して同一周波数帯の通信速度や品質を向上させる「CoMP」、アンテナ数を増やしてデータ通信量を増加させる「MIMO高度化」が挙げられた。このうち今回はCAを、既存のLTEネットワーク上に展開されることが明らかにされた。

 内田氏がCAの特徴として挙げるのは、通信速度の向上、安定した高速通信の実現、ネットワーク全体の効率化の3つ。

 通信速度については、800MHz帯と2.1GHz帯を同時に受信することで、ほぼ倍というスループットを実現。理論値で150Mbpsだが、商用環境での実行速度についても「かなり、思ったより(速度が)出ている」(KDDI 技術企画本部 モバイル技術企画部長の吉田智将氏)と、自信を見せている。

 CAで高速通信が安定化する点については、「周波数ダイバーシティ効果」として紹介された。内田氏によれば、「通信速度に注目が集まるが、現実には安定した高速通信が大きな特徴になるだろう」としており、CAによる効果が最も大きい点であるとした。具体的には、2つの周波数で電波環境に差がある場合、相互にスループットを補完するというもので、これまでのように電波環境に依存してスループットが大きく変動する状況を大幅に改善できるという。

 また、ネットワーク全体の効率化では「統計多重効果」として、CA対応端末に対し動的にリソース割当を行うことで、ネットワーク全体で周波数利用効率が向上するとした。

「150Mbpsを、全国にいち早く展開していきたい」

 CAの具体的な導入計画については、同じ場所に設置された800MHz帯と2.1GHz帯の基地局を有線で接続し連携させる。都心などの高トラフィックエリアに設置されているピコセルも順次CA化が検討されている。

 現行のLTEの規格として、同一周波数で20MHz幅を確保できれば、下り150Mbpsは実現できる。auは20MHz幅を持つ2.1GHz帯のうち、3Gトラフィックエリアの少ない郊外エリアを中心に、すでに150Mbpsのサービスを提供している。対応する基地局は2014年3月末で約700局となっている。

 一方、CAは仮想的に“20MHz幅のLTE”を実現する技術で、800MHz帯と2.1GHz帯をそれぞれ10MHz幅で済むため、都心部でもすぐに展開が可能。前述の郊外にて2.1GHz帯・20MHz幅で運用する約700局の基地局を含めて、150Mbpsを実現する基地局は、今夏のサービス開始時点で東名阪を中心に約2500局になる見込み。2015年3月末には全国で約2万局が150Mbpsに対応する予定となっている。

 内田氏は、今後は20MHz幅+10MHz幅のCAについても検討を進めていくとしたほか、基地局側の対応のみで済むという「eICIC」も「2014年度末には実装して提供したい」との方針を明らかにしている。

 内田氏はこのほか、LTEの展開速度の早さなどについて「エンジニア力の強さがauの強さだと思っている」とし、CAなどの無線部分以外にも、基地局のバックホールをギガビットクラスの回線で早期に構築できる点が同社の強みになっているとした。

(太田 亮三)