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「期待を超える価値を提供する」、田中社長が目指す差別化ポイント

 ドコモからiPhoneが発売され、各社でLTEが導入。みな同じではないのか――そんな指摘でスタートした、KDDI田中孝司社長のプレゼンテーションは、いかにauならではの価値を提供するのか、という点をアピールするものだった。

差別化ポイントは6つ、料金関連は発表せず

 冒頭の言葉に続いて触れられ、さらにはプレゼンテーションのまとめでもあらためて紹介されたワードは「auは期待を超える価値を提供し、磨き挙げていく」というもの。他社との違いを打ち出せる部分をきちんと用意して、ブラッシュアップし続けるという取り組みで、具体的には「ネットワーク」「端末」「サービス」「サポート」「料金」、そして「ウォレット」になる。

 このうち、料金については「発表しない」(田中社長)とのことで、日を改めて案内するとのこと。また2番目に挙げられた端末については、大画面と電池が特徴とされる。各機種の詳細については、本誌掲載の各記事をご確認いただきたい。

 バッテリーについて田中氏は「ドコモとうち(KDDI)で、少しずつ違うようだが(※編集部注:測定基準のことか)、これだけバッテリーがあればそれなりに持つということ。ネット上でCAとWiMAX 2+に対応するとバッテリーへ影響するのではないか、という声も挙がっていたが、確かに去年の韓国バージョンはそうだった。しかしチップセットがワングレード向上し、これまでと全く変わらない。TD-LTEと互換性のあるWiMAX 2+もコアが一緒。ある意味、エリアの厚みが出せることでイチ抜けできたかなと思う」と述べ、バッテリー面での性能向上がエリアの強みにも繋がる、とした。

エリアに自信、「CAはLTE-Advancedの本命」

 一番目の「ネットワーク」は、4月21日に発表されたキャリアアグリゲーション、そして実人口カバー率で99%に達したLTEのエリア(※参考記事)、さらには今夏モデルがサポートするWiMAX 2+を指す。今回のプレゼンテーションで、都内におけるWiMAX 2+のエリアを示す地図が紹介され、屋外では都心部ほぼ全てのエリアがカバーされていることが示された。

 キャリアアグリゲーション関連では、実人口カバー率で99%に達した800MHz帯のエリアに比べて、2.1GHz帯のエリアがどうなっているか、という点も紹介された。2014年3月時点では85%に達したという2.1GHz帯のLTEエリアは、今年度末(2015年3月末)には90%を超える程度まで拡大する予定。田中社長は「エリアはダントツ」と自信を示す。

 囲み取材で今後の展開を問われると、アンテナ技術(MIMO)の進捗などもあって、UQコミュニケーションズがWiMAX 2+で1Gbpsを目指す方向と紹介。LTE関連では、「将来のロードマップをチェックすると、LTEはキャリアアグリゲーションがどんどん進む。今は2波だが、3波、4波になっていく。(ロゴマークの矢印が増えていく? という問いに、ロゴマークの銀色部分に触れながら)これはソフトバンクの色じゃないかと言う噂もあるけど、そうじゃないと。単なるただのロゴだと(笑)。CoMPなどの技術もあるが、CAはLTE-Advancedの本命」と回答した。

au WALLET、カードにはNFCチップ

 今回のプレゼンテーションで、田中社長が今日一番のポイントであり「もう少し気合を入れたい」と述べて、夏モデル以上に力を込めて紹介されたのが新サービスの「au WALLET」だ(※サービス詳細記事)。今回はカードのデザイン、そしてサービスの詳細が明らかにされた。

 仕組みとしては、au IDに紐付くプラスチックカードが発行され、Web Moneyの仕組みを使ってチャージを行い、MasterCardのプリペイドカードとしてリアル店舗で利用できる、という流れ。そのためカードにはクレジットカードのような番号と、MasterCardのロゴマークが記され、背面にWebMoneyのロゴもある。

 さらにカードにはNFCチップが埋め込まれており、当初はauショップに設置されるリーダーにかざして、ポイントが抽選で当たるというキャンペーン「au WALLETウェルカムガチャ」(6月2日〜12月31日)で用いられる。それ以外の用途でNFCを活用していくのか、田中社長は「いろんな使い方をこれから提案していきたい。何をしていくかお楽しみに」と語るに留めた。またカード型にしたのは、2月の発表会のときと同じく、シンプルかつわかりやすいため、と説明。スマートフォンへの搭載など将来のことは「先のことはわからない」とコメントを避けた。

「グッバイ、おサイフ」、バリューチェーン構築へ

 現在、1日4万枚の発行が最大の能力とのことで、「たくさん来たら困るなと思っている」(田中氏)とする自信は、巨額のポイントが付与されるキャンペーンが実施されることにある。

 たとえば6月30日までに申し込んだユーザー全員にもれなく1000円分チャージされるほか、抽選で1万名(5月、6月で各5000名)に4万円分、総額4億円のチャージがプレゼントされる。さらに6月末までの初回チャージは、もれなく10%増額され、じぶん銀行から5000円以上のチャージ(12月31日まで、月間10回まで)は5%増額される。

 手軽なチャージ、利用できる場所の幅広さ、そしてポイントの貯めやすさを実現したい、という田中氏は、クレジットカードは一定の収入が必要など所有者が限定され、電子マネーは利用できる場所がさほど広くないというデメリットがあることを指摘。これに対して、両者の仕組みを組み合わせた「au WALLET」は、クレジットカードや電子マネーの利用をさらに広げられる存在になり得る、とする。ユーザーにとっては、「使うとポイントが貯まる」「貯まったポイントでさらに別のサービスに使う」と、好循環が生まれる。

 その狙いとして、質疑で田中氏は「auとしてはユーザーの満足度を高めたい。そしてリアルを含めたバリューチェーンとして、お金とポイントが(ぐるぐると)まわる仕組みを実現したい」と回答。お得感を訴求して、他社との違いを打ち出して、満足度の向上、そしてプラットフォームとしての魅力を訴求する方針を示した。

 発表会の途中には、au WALLETのCMキャラクターに起用された所ジョージも登場。トークセッションを通じて、所が普段から財布を持ち歩かないことが明らかになると、田中社長は「ナイスチョイス、わたし」とコメント。「グッバイ、おサイフ」というコピーを用いるCMにピッタリな所を起用したことを自画自賛した。

セブン-イレブンも差別化要素として

 プレゼンテーションには、セブン-イレブン・ジャパン商品本部サービス部総括マネジャーの矢島弘樹氏も登壇。実店舗・オンラインとあらゆる販路・流通経路(チャネル)を統合する「オムニチャネル」を推進する上で、セブン-イレブンでは、実店舗の役割を販売拠点だけにとどめず、ネット通販で購入した商品を受け取れるようにするなど、さらに利便性の向上をはかる方針と説明する。

セブン-イレブンの矢島氏(右)も登場。会見にはMasterCardのExecutive Vice President,Global Prepaid SolutionsのRon Hynes氏(左)も

 新サービスの導入・対応はそうした方針にのっとったものであり、1店舗を訪れる1日あたりの来店客数が、たとえば2007年度には971人だったところ、2013年度には1080人になるなど、成長に繋がった。また「au WALLET」のような現金ではない手段(非現金)の決済率は3月時点で約20%に達したという。

 au WALLETという新たな手段が登場することで、「全国1万6000店舗をより、便利に使っていただきたいという思いが強い。ポイントアップによって差別化していき、来店していただきたい」(矢島氏)と、パートナー企業になった背景を紹介した。

新製品発表会は続ける

 前日の7日、ソフトバンクの決算が発表され、孫正義氏が「新機種発表会を当面実施しない」ことを明らかにした。

 これを受けた質問が寄せられると、田中社長は「皆さん(報道陣)が来ていただける限り続けていきたい(笑)。今回は料金を出していないが、発表したいことはたくさんある。我々が考えていることを提案していきたいが、やり過ぎたら怒られるのではないか」とコメントした。

ユーザーの期待に応える「HTC製新機種」、Windows Phoneは予定なし

 プレゼンテーションで一瞬だけ紹介された、HTC製新機種の投入。この点について、商品統括本部長の山本泰英氏は、「HTCユーザーがかなりいらっしゃる。ずっとお待ちで、その期待に応える。期待以上の物を出す」とだけコメントした。

 また、今回は5インチクラスのラインアップにしたことについて、田中社長は「今回は大画面だが、トレンドから提案していかなければならないと思っている。4インチクラスがiPhoneだけでいい、とは当然思っていない。今年度は提案していきたいという想いが少し強い」とコメントした。

 このほかWindows Phoneの投入予定はないとのこと。

(関口 聖)