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ケイ・オプティ、1GB月額980円~でauのLTE回線を使うMVNO

サービス名称は「mineo(マイネオ)」、音声通話にも対応

 ケイ・オプティコムは、MVNOとしてauの4G LTEに対応した回線を利用する通信サービス「mineo(マイネオ)」を6月3日より提供する。利用料金は、SIMカードのみで月間1GBまでの「シングルプラン」が月額980円。SIMカードはauのスマートフォンで利用できる。「mineo」ブランドで販売する形で、京セラ製スマートフォン「DIGNO M」も用意し、SIMカードと端末のセット販売も行う。「mineo」の販売はオンラインのみ。

ケイ・オプティコムが発表した「mineo」(マイネオ)

プランと料金

 料金は、データ通信のみを利用する「シングルタイプ」、データ通信に加えて3Gの音声通話にも対応する「デュアルタイプ」の大きく2種類が用意されている。それぞれには、Androidスマートフォン「DIGNO M」をセットにしたプランが用意される。

 データ通信のみを利用する「シングルタイプ」でSIMカードのみの場合、利用料は月額980円。通信容量は月間1GBまで。

 「シングルタイプ」で端末セットの場合、端末代金は24回払いで月額2000円、合計で2980円(24カ月間)になる。端末は一括払いとして4万8000円で購入することもできる。

 auの3Gの音声通話に対応した「デュアルタイプ」は、SIMカードのみの場合、月額1590円。端末のセットの場合は月額2000円の24回払いを合わせ、合計で月額3590円になる。

 音声通話に対応する「デュアルタイプ」はMNPに対応している。3Gの音声通話の通話料は30秒あたり20円。「シングルタイプ」「デュアルタイプ」ともに、同社が提供している050番号のIP電話サービス「LaLa Call」を、月額利用料を無料で利用できる。

料金プラン
基本の通信サービス

 いずれのプランでも月間1GBを超えた時の通信速度は200kbpsになる。100MBにつき150円でチャージすれば、追加した容量分は通信速度制限を解除できる。なお、直近3日間で500MBを超えると通信速度は制限される。

 「mineo」の最低利用期間は12カ月。最低利用期間内の解約には解約清算金として9500円がかかる。「シングルタイプ」から「デュアルタイプ」に変更する、といったような、契約内容のみを変更することはできないが、プラン変更を目的とした契約解除および新規契約の場合、最低利用期間は引き継がれ、解約清算金が発生しないようになっている。

 契約事務手数料は1回線につき3000円。契約する場合はWebサイト上で申し込み、概ね7日以内に届けられるとしている。

 このほかオプションサービスとして、グループ内でパケットをシェアする「パケットシェア」やメールアドレスの発行、紛失時などに負担を軽減する月額370円の「端末安心サポート」、転送電話、留守番電話サービスなどが用意される。

対応端末はauのLTE対応スマートフォン

 SIMカードの形状はmicroSIM、nanoSIMの2種類を用意。手数料を支払うとSIMカード形状の変更も可能。

 「mineo」のSIMカードを利用できる端末は、セット販売でラインナップされる「DIGNO M」のほか、auが販売しているLTE対応のスマートフォンが対応する。対応機種は同社のWebサイトで順次公開される。

 「mineo」のSIMカードを装着した場合、au独自のサービスであるEメールや、au IDを利用する各種のサービスは利用できない。おサイフケータイ、テザリングは、Androidスマートフォンでは利用できる。セット販売の「DIGNO M」は一部の設定をのぞいてほぼau向けと同じ仕様。auのEメールアプリなどauサービスのためのアプリがいくつかプリインストールされているが、「mineo」のSIMカードでは利用できない。

「mineo」のセット販売で提供される京セラ製「DIGNO M」
auから販売されている「DIGNO M KYL22」と基本的には同じ仕様
下部には端子類が集中する
右側面。au向けの「KYL22」というロゴも
背面には「mineo」のロゴ
ホーム画面。「mineo」向け端末として、専用アプリとショートカットなどがプリインストールされている
auユーザー向けのアプリもプリインストールされているが、「mineo」では利用できない
auユーザー向けアプリが削除されていないのは、「コストを抑えるため」と説明されている
「mineo」の状況を確認できるアプリのイメージ

 iPhoneは、SIMロックフリーとしてAppleから販売されているiPhone 5s/5cのほか、auから販売されているiPhone 5s/5cが対応する見込み。対象OSはiOS 7.1~。APN設定のため、プロファイル変更のためのデータがケイ・オプティコムから提供される予定になっている。ただし、auのiPhoneを「mineo」のSIMカードで利用する場合、主にiPhone側の仕様により、テザリングは利用できない。

対応エリア、通信速度

 「mineo」の通信速度はauの仕様に準拠し、800MHzのエリアで下り最大75Mbps、一部の2GHzのエリアでは下り最大150Mbpsとなっている。

 「mineo」におけるデータ通信はLTEのみで、CDMA(3G)エリアでのデータ通信には対応していない。SMSは音声通話に対応する「デュアルタイプ」で利用可能。データ通信のみの「シングルタイプ」はSMSに対応していないが、SMS非対応でも、ドコモ回線に見られる電波強度表示の不具合などはおこらないとしている。

キャンペーン

 提供開始を記念したキャンペーンは2種類用意されている。プランの種類に関係なく、「端末セット」を6月2日までに予約したユーザーには、先着1000名限定で、最大24カ月間、月額利用料が980円割り引かれる。シングルタイプの端末セットなら月額2000円に、デュアルタイプなら月額2610円になる。

 SIMカードのみを契約するユーザーに対しては、6月2日までに先行予約した上で、6月30日までに契約すると、最大6カ月間、月額利用料が980円割り引かれる。シングルタイプなら6カ月間は月額無料に、デュアルタイプなら6カ月間は月額610円になる。

第3勢力「ローコストモバイルキャリアを形成」

 「mineo」(マイネオ)は、MVNOの通信回線としてKDDI(au)の4G LTEに対応するのが最大の特徴。auのネットワークとはレイヤー2接続を行っている。auのLTE回線がMVNO向けに提供されるのは、「mineo」が初めて。このほかにも、音声通話の有無が選べることや、MNPに対応すること、端末をセットにしたプランも用意することが特徴として挙げられている。「mineo」ではauの4G LTEとして2GHzと800MHzをサポートしており、auから案内されているように、エリアの実人口カバー率は99%。

 15日に記者向けに開催された発表会では、ケイ・オプティコム 代表取締役社長の藤野隆雄氏が登壇し、提供の背景などを語った。藤野氏は、ケイ・オプティコムが近畿圏で光回線の通信サービスを提供してきた実績を示した上で、近年はスマートフォン向けサービスにも力を入れてきたことを説明。携帯電話サービスはさらに踏み込んだサービスになるとし、すでにあるMVNOサービスと比較して「本当に必要なものを、安心して、適切な価格で」提供するとする。

 キャリアのサービスは、価格が高く利便性も高い“高級”なラインナップであると位置づける一方、既存のMVNOは低価格であるものの、端末ラインナップなども含めて利便性も低いと指摘。今回発表の「mineo」は、これらとは異なる第3勢力として「ローコストモバイルキャリアを形成していきたい」と独自のポジションを目指す方針を明らかにした。

ケイ・オプティコム 代表取締役社長の藤野隆雄氏

「自由な選択肢が最大の特徴」今夏以降に新端末、新プランも検討

 ケイ・オプティコム モバイル事業戦略グループ グループマネージャーの津田 和佳氏からは、サービスの具体的な内容が解説された。津田氏はサービスの特徴としてLTE、MNP、端末セット販売の3種類を挙げる。

 「必要なものだけを選ぶ、あるいは全てを揃える。mineoでこれができる。自由な選択肢が最大の特徴であり魅力」とアピール。京セラ製の現代的な仕様のスマートフォンをセット販売のラインナップに加えることで、従来のMVNOサービスで不足している「おすすめの端末ですぐに使いたい」という需要にも応えられるとし、ユーザーが好みに応じて無駄なく内容を選べる点を強調した。プロモーションキーワードとして「らくSIM」という言葉も披露した。

 津田氏はまた、イオンで販売されているSIMのほか、ビッグローブ、ドコモのプランと比較して、「価格を抑えつつ、利便性を追求したサービス」と説明。ネット専売で初年度は10万件、早期に100万件を目指すとした。店頭販売は今後検討していくとし、藤野社長は100万件突破が5年以内の目標とした。

 今後については、夏以降に新端末や新プランを追加する予定。端末については、今後はバリエーションを増やすという観点で、海外製の安価な端末も検討していく方針。新プランは、月間容量を増やしたものや、1日限定、プリペイド式など、さまざまなものを検討しているという。

 質疑応答の時間には、auのMVNO回線の料金を考えると、月額980円では儲けがないのではないかと問われた。津田氏は、「レイヤー2接続で接続料は支払うが、社内のオペレーションコスト、プロモーション費用を抑えて、利益が出る構造にした」と説明。またau回線を選んだ理由については、「MVNOを利用するユーザーにとって、選択肢が広がる。ドコモの回線では先行者がいる。希少価値のあるau回線が得策ではないかと考えた」とした。このほか藤野社長は、「固定回線とのセット販売は特段考えていない」という方針を示し、既存のauスマートバリューなどの取り組みとは競合しないと説明した。

ケイ・オプティコム モバイル事業戦略グループ グループマネージャーの津田 和佳氏

※価格はすべて税抜

太田 亮三