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isai FLのWQHD液晶を生産する韓国・亀尾のLGディスプレイ工場

 LGエレクトロニクスの子会社であるLGディスプレイは、LGや他メーカーの製品向けにディスプレイを生産している。韓国・亀尾(Gumi)には敷地面積25万坪のディスプレイ工場があり、今回はその一部が、日本のメディア向けに公開された。

 LGディスプレイは韓国に2つの生産工場を設けている。ひとつは主に大型ディスプレイを生産している坡州(Paju)工場。今回訪れたのはスマートフォンやタブレット向けなど、小型のディスプレイを生産している亀尾(Gumi)工場だ。

亀尾工場の展望室より
空撮写真のパネル。左が亀尾工場、右が坡州工場

 亀尾工場では約25万坪の敷地に、(曖昧だが)1万5000人~1万7000人ほどの従業員が勤務しているという。建物内に病院などの施設もあり、ひとつの都市を思わせるほどにとても広い。ここではスマートフォンなどの製品の組み立ては行わず、製品の“素材としての”ディスプレイパネルを生産している。ちなみにプラズマディスプレイも、生産量はかなり減らしたそうだが一部で生産しており、減らした分は太陽光パネルの生産に充てているとのこと。

 フィルターを生産するセル工程から、それぞれのフィルターを組み合わせるモジュール工程に進み、各サイズにカットされる。なるべくムダにならないように、効率のよいカットを行っている。スマートフォン用にはP4(1000×1200mm)サイズのものをカットして使われているほか、P4よりも大きいサイズからテレビ向け(40インチクラスなど)にカットした余りの分を利用することで効率化を図っているのだという。

カット前のサイズをパネルで展示してある
赤い色のサイズがP4(1000×1200mm)で、このサイズからスマートフォン向けにカットされる

 ディスプレイの製造において、フィルター内に小さな埃などが落ちてしまうと不良品となってしまうため、各製造工程の環境管理が徹底されている。従業員は入り口で滅菌、消毒などを行い、専用の防塵服とヘルメット、マスクに身を包んで働いているようだ。製造工程はすべて機械で行われるため、工場内に勤務するスタッフの多くは、主に検品・品質チェックを行うことがメインの業務になっているのだという。

 ディスプレイは、ガラスやカラーフィルター、バックライトなどの薄い板を重ねて作られている。運搬時のちょっとした振動で割れてしまったりと、非常に壊れやすいため、製造されたもののうち出荷できる割合は約9割。1割は不良品になってしまうそうだ。成功率を上げていくことが常々課題であるという。

 残念ながら、製造工程の写真撮影は禁止。ほんの一部をガラス越しに見学するだけとなった。そのかわりに見学・撮影可能なショールームを案内されたので、そちらをご紹介しよう。

ショールームの様子

近未来感たっぷりのショールーム入り口

 ショールームで注目を集めたのが、6インチサイズのWQHDディスプレイ。WQHDとはWide Quad High Definitionの略称で、2560×1440ピクセルの解像度を表す。1280×720のいわゆるHD解像度の4倍であることからこのように呼ばれている。それだけに、見たところかなり高精細だが、7月発売予定であるLGエレクトロニクス製のスマートフォン「isai FL LGL24」では5.5インチのWQHDを採用している。そのため、ここで展示されている6インチのものよりさらに高精細ということになる。

 ここ亀尾工場で製造されたWQHD搭載で、“au夏モデル最大のディスプレイサイズと高精細”を謳う「isai FL LGL24」には、報道陣向けに工場の一部を公開したことからもLGの本気が窺える。「isai FL LGL24」は7月中旬以降にauから発売予定だ。

川崎 絵美