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「世界を変える」覚悟を語った孫社長――ソフトバンク株主総会

ロボット、エネルギーなど新規事業にも意欲

 ソフトバンクは、6月20日午前10時から、東京・丸の内の東京国際フォーラムで第34回定時株主総会を開催。株主3847名、一般招待客から1267名が訪れ、来場者数は過去最高を記録した。株主総会の模様は、別室のモニター中継で記者向けにも公開された。

 孫正義 代表取締役社長は、すでに公表している電気エネルギー事業やロボット事業について、改めて報告したほか、昨年のスプリント買収後の状況とアメリカの通信発展に向けた思いを語った。また、売上高、営業利益、純利益のほか、通話接続率が“No.1”であることを再三強調した。

 第1号・剰余金処分、第2号・取締役3名選任の決議事項はすべて可決された。配当金は総額237億6911万6780円、1株あたり20円。6月23日に分配される。新たに選任となった取締役は、同社の常務執行役員を務めていた後藤芳光氏と藤原和彦氏に加え、社外取締役として日本電産の永守重信氏の3名。孫社長は自身と、もうひとりの社外取締役、ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正氏と、新任の永守氏を“ほら吹き3兄弟”と名付け「最も尊敬する経営者の2人」と紹介した。

大風呂敷を広げた「1兆円」を達成

 「1年前の今日、この場所で、営業利益1兆円と大風呂敷を広げ、大ボラを吹いた」と切り出した孫社長は、2014年3月期の決算で営業利益が1兆円を突破したことを発表、目標を達成したことを改めて株主に報告した。

 「33」という数字をモニターに映し出し「この数字は坂本龍馬が生きた年数、ソフトバンクグループも同じ33年になった」(同氏)と述べた。1兆円を達成した企業は、日本では3社だけ。創業118年でNTTが達成、トヨタ自動車が65年で達成、ソフトバンクはわずか33年という国内史上最速で成し遂げたことを語った。

 「国内での携帯電話が行き届いてきて(今後は)成長が見込めないのではないか、という指摘をいただくがスマートデバイスの利用はますます広がる、成長余力がある」とした。そのひとつとして、法人向けに提供するタブレットを例に挙げた。ユニクロ全店にiPadを導入したことで、業務効率と顧客満足度が上がったことを、ビデオで紹介した。

携帯電話と電力のセット販売もしたい

 ソフトバンクグループで取り組む新規事業のひとつに、Bloom Energy Japanによる電気エネルギー事業がある。メインの事業ではないと説明しながら、太陽光・風力など有害物質のでないクリーンエネルギーを開発、7月1日から法人向けに販売を開始すると説明した。「200MWを目標に掲げていたが、目標をこえて300MWが見込める状況」とした。

 「2016年から電力の小売りができるようになる。そこに向けて挑戦していきたい。将来的には携帯電話と電力のセット販売をしたい」と、展望を語った。

2040年には“時価総額200兆円”の大風呂敷

 「テクノロジーと熱意で世界を変えてみせる」という孫氏は、スプリント買収により、まずはアメリカの通信を変えたいとした。アメリカの平均請求額が日本と比較して「モバイル通信はおよそ2倍、固定通信はおよそ10倍も高い」ことで顧客満足度が低い状況であると説明。「日本の携帯電話は世界一だと思う。通信の接続率や料金は三つどもえの激しい競争がある中で実現できたもの。そういった意味でアメリカは、挑戦のしがいがある。そのような覚悟を持ってやっている」と語った。

 「かつてアメリカに留学したときに、わたしにアメリカンドリームを与えてくれたアメリカに恩返しをしたい」とし、スプリント買収後にこれまで培ってきた技術・ノウハウ・情熱をスプリントに移植している最中であると説明した。

 ソフトバンク新30年ビジョンとして“2040年には世界トップ10企業に、時価総額200兆円規模にまで成長する”という新たな目標が発表された。「株主の皆さん、30年後には20倍になるよ。約束はできないけれど言うだけはタダだから言っておく。(株券を)タンスのどっかにしまっておいて」とコメント。「言うだけはタダだけど、言ったからには相当な覚悟を持っている」と付け加え、自信を見せた。

テクノロジーを使って戦争をなくしたい

 ロボット事業として先般発表した、人型ロボット「Peppr」が総会の後半に登場した。「ほかのロボットと違うところは愛があるところ」と紹介。4年前から社員とともに「ロボットで革命を起こしたい」と言って取り組んできたという。

 「人と人の意見が違う、思想が違う。そのときに戦争で解決するのは最も愚かで悲しいこと。我々はテクノロジーで解決したい。人と人が心を通わせることができれば戦争は不要だ。心からそう思う」と語り、場内からは拍手が沸いた。

(川崎 絵美)