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販売奨励金、SIMロック、クーリング・オフ――総務省中間とりまとめ案を見る

 携帯電話の販売にまつわる、「販売奨励金」「SIMロック解除」「クーリング・オフ」などをどうするか、総務省で進められてきた議論について、6月30日、中間とりまとめ案が示された。

 中間とりまとめ案では現状に対する厳しい言葉が並び、各社に改善を迫るための仕組み作りが提唱されている。その内容を見てみよう。

「通信サービスはわかりづらい」

 中間とりまとめ案は、総務省の有識者会合「ICTサービス安心・安全研究会」のもとで開催されている作業部会「消費者保護ルールの見直し・充実に関するWG」の第7回で示された。

 そもそも携帯電話や固定通信サービスは、どういった状態にあるのか、中間とりまとめ案では、ベースとなる技術が複雑かつ進化が早く、契約内容が分かりづらい、使ってみなければ品質がわからないと指摘する。

携帯電話にクーリング・オフ導入を提言

 これまで通信サービスでは利用できなかったクーリング・オフだが、携帯電話は店頭で購入することが大半(総務省調査では8割)となっているものの、契約内容が複雑で品質がベストエフォート型であることなどから「導入することは適当」と提言されている。ただし、光ファイバーなどのように工事が必要なサービスは、工事後のクーリング・オフで原状復帰などが必要になることから「異なる取り扱いを検討することが適当」とされている。

 携帯電話の場合、端末の購入と通信サービスの契約、といった形になり、それぞれ別の契約になる、と中間案は指摘。クーリング・オフの対象は通信サービス、としつつ、SIMロックが施された端末は、特定のサービスしか利用できないことから切り分けられず、クーリング・オフ対象として検討することが適当、となっている。また動画配信などのオプションサービスは、そのオプションが特定のサービスと関連が高い、という場合は連動してクーリング・オフできることが適当、との考え方が示されている。

 このほか期間拘束型の契約で、なおかつ自動更新となっているものについて、ユーザーの認識が不足しており、十分理解できるような環境整備が必要とされた。たとえば解除料が発生しない自動更新のタイミングで、ユーザーへ通知するといった改善が必要とされている。

SIMロックなどとの関連を指摘された販売奨励金

 今春まで多額のキャッシュバックで問題視された販売奨励金についても中間案では触れている。これまでの議論で、事業者からは「適正化を図る方向」と発言があったものの、会議のメンバーからは「引き続き行われているケースがある」と指摘があったという。

 中間案では、「モバイル市場の適正な競争を阻害する」「長期利用者との不公平性を拡大させる」という2点が問題とする。ただ商慣行として、販売奨励金そのものは否定されるものではなく、法令で適性な水準を定めることは難しい、事業者の自主的な取り組みがある、といったことから、直接キャッシュバックなどを規制することは「必ずしも適当ではない」とする。

 多額のキャッシュバックが行われる理由としては、「SIMロックと期間拘束・自動更新契約がユーザーを過度に囲い込んでいることがあり、他社からの乗換のためにキャッシュバックが支払われている」として、まず端末と通信サービスの分離などを行って、各社の自主的な適正化を促すことが適当、とされた。また、販売奨励金の総額などは一部を除いて公表されておらず、行政側も実態を把握できていないとして、定期的な報告などが今後必要、とした。

SIMロック解除

 これまでの同会議では、有識者から、SIMロックが過剰なキャッシュバックの一因、マーケットに任せず規制により対応すべきといった声が挙がっていた。また、アップルは既にSIMロックフリーのiPhoneを発売しており海外でもロック解除できることから「料金面での競争を促すためにはiPhoneこそSIMロックを解除すべき」との声もあった。

 そこで中間案では、SIMロックがユーザーの自由な選択を妨げて、利便性を損なっているとする。携帯各社が「端末が必ずしも他社サービスに対応していないことでユーザーに混乱を生じさせるおそれがある」「販売促進費を抑制せざるを得なくなり端末代が現状よりも高くなるおそれがある」といった意見もあったが、ユーザーに適切な説明をしてその選択に委ねる、あるいはSIMロック解除で多額のキャッシュバックを抑制できることがむしろ望ましい、として各社が「SIMロック解除に応じないことの適正性、合理性の根拠とは認められない」とにべもない。

 そこで「最初からSIMロックをかけないか、仮にかけるとしても一定期間経過後はユーザーの求めに応じて、ユーザーの負担なく、スピーディに解除に応じることが適当」としている。そしてSIMロック解除に関するガイドラインを今後改正する際には、その実効性を確保できる仕組みを検討すべきであり、これまでとは大きく変化することから各社の体制整備のためにも一定の準備期間を設けるなど、スケジュールなどを明らかにすることが適当、と時間をかけていくことを提言している。

 SIMロック解除がこれまでよりも手軽に行えるようになることへの影響として中古端末市場が盛り上がり、MVNOの振興にも繋がる、といった意見はこれまでの会議の中でも出てきたという。一方で、人気のiPhoneが中古市場で取引されやすくなることで、他のメーカーにどういった影響があるか、といった論点での提起はなかったとのこと。

横並びの料金にも指摘

 最近になって各社から通話定額が発表されてきたが、今回の中間案では「データ通信の料金プランは7GBを上限とするものを中心に画一化」として多様性がないことを指摘している。

 またデータ通信量について、ユーザーの利用にマッチした多様なプランを用意することが適当として、「多段階のプランが設定されていること」「データ通信量の平均値や分布を勘案すること」という2点を満たすよう求めている。そして多様な料金プランが提供されたとしても、それがユーザーの利用動向に合っているか検証するためには、ユーザー1人あたりのデータ通信量の分布などを定期的に報告することを求めている。

今後のスケジュールは?

 総務省の消費者行政課によれば、今回の中間案を経て、会議自体は年末に最終的なとりまとめを行う予定だという。その後、現行法で対応できるものはすぐ、ガイドラインの改定が必要な場合は行政側が作業を進める、あるいは法改正が必要なものは来年の通常国会での審議を経る、といった流れになる見通し。

 たとえばSIMロックの解除については、すでにガイドラインがあるため、その改正を行って、各社の対応を促す形になるが、先述したように大きな影響が見込まれるため、2015年以降に工程表(スケジュール)を示して対象となる端末、運用方針などを取りまとめていくことになる見込み。

 またクーリング・オフは電気通信事業法の改正で導入することになるため、通常国会に改正案を提出し、その整備を待って実際に導入されることになるようだ。

(関口 聖)