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KDDI、電波干渉を抑えてダウンロード速度1.6倍、消費電力50%削減

LTE-Advancedにおける「指向性制御技術」の実証実験

 KDDIおよびKDDI研究所は、LTE-Advanced向けの無線機内蔵小型アンテナ「アクティブアンテナシステム(Active Antenna System、以下AAS)」において、電波を強める方向と弱める方向を制御し、カバーエリア形状を自在に制御できる機能「指向性制御技術」を実装した屋外実験を実施した。

 今回の実験は、指向性制御技術により他の基地局との干渉を抑え、快適な通信の実現を狙ったもの。AASに指向性制御技術を実装しての実験は国内初とのこと。

 AASは、同一筐体に複数のアンテナと小型無線機を搭載した基地局装置で、従来の非一体型装置と比べて、カバーエリアが拡大するほか、基地局設置の省スペース化、消費電力や基地局設置コストの削減等が可能になる。3.5GHz帯など高い周波数帯に用いることで効果も高く、4G以降のモバイルネットワークでの活用が期待されるとしている。

AASの仕組み

 KDDI研究所は、2012年3月に従来型アンテナと同等サイズにまで小型化したAASを試作開発し、2013年3月には世界標準のインターフェースであるAISG(Antenna Interface Standard Group)に対応した指向性制御技術を考案、AASに関する特許4件を出願中とのこと。

 KDDIとKDDI研究所は、2014年3月より、栃木県栃木市において、AASの指向性制御技術の有効性を検証するため、AASをマクロセルに用いた屋外実験を実施した。実験の結果、従来の基地局装置と比較して、マクロセル内のスモールセルエリアでのダウンロード速度が約1.6倍、消費電力を約50%低減となることを確認したという。

指向性制御技術による通信品質改善のイメージ

川崎 絵美