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LINE MALL、まとめ買いで安くなるグループ購入や産地直送が可能に

人とのつながりから“衝動買い”を生む新戦略とは?

 LINEは27日、同社が運営する「LINE MALL」において、サービスを拡充する新機能・新戦略を発表した。LINEで繋がっている友だちと、まとめ買いして安く商品を購入できる「グループ購入」や、友だちに贈り物を届けられる「LINE ギフト」の新機能が追加される。グループ購入は8月28日から、「LINE ギフト」は2014年秋以降に提供される。

 また、オフラインの店舗をもつアパレルショップや雑貨店と契約しLINE MALL上で展開する「LINE セレクト」や、産地直送の農産物や魚介類を購入し、ユーザーへ届けられる「LINE マルシェ」を、BtoCのサービスとして新たに展開する。「LINE セレクト」と「LINE マルシェ」はいずれも2014年内にサービスインを予定している。

 LINE MALLは、ユーザーがスマートフォンを利用して出品・販売を行うECサービス。ウィンドウショッピングを楽しむ感覚を、スマートフォンで実現するネイティブアプリとして提供している。手数料の無料化や、離島を含む全国一律の配送料で届けられる配送システムの導入を行い、シンプルでわかりやすいインターフェイスが支持され、これまでユーザー数を増やしてきた。

LINEが目指す“プッシュコマース”とは?

LINE株式会社 上級執行役員コマース・メディア担当 島村武志氏

 そんなLINE MALLの次の展開は“プッシュコマース”。LINE株式会社 上級執行役員でコマース・メディアを担当する島村武志氏は、「スマートフォンのサービスでプッシュといえばプッシュ通知を想像するかもしれませんがそうではなく、“買いたい”という感情が、人とのつながりの中に、発見や気づきとして生まれることがある」と話す。

 目的があって能動的に購入する一方で、人からの情報で“思いがけない出会いがあって衝動的に購入する”という行動をイメージした“プッシュ”ということのようだ。

 誰かのお祝いに贈り物をするときに、LINEの友だち同士で「わたしも一緒に贈りたい」と話し合ったり、日用品などを「まとめて買ったほうがお得だから一緒に買わない?」といった提案があったりする。実際にLINEのトーク上で繰り広げられているであろう、そのようなコミュニケーションをLINE MALL内で実現しようという取り組みだ。

 アマゾンや楽天などのECサービス、フリルやメルカリといったフリマアプリなど、類似サービスが多くあるが、島村氏は「もともとフリマアプリとして提供しているわけではなく、あらゆるショッピングをイメージしてMALLと名付けた。今までに無かったものを提供したいし、それが“LINEだからこそできるもの”でありたい」と語った。

 LINEならではというのは“人とのつながり”であって、同社はこれまでゲームなどコンテンツサービスにおいてもその強みを生かしてきた。それらのコンセプトが反映されたものが、今回発表されたLINE MALL上で展開する「グループ購入」や「LINE ギフト」だ。

 グループ購入は、まとめ買いによって、最大50%引きの価格で購入できる。購入する人数が多ければ安くなり、(割り勘として)人数で割った購入金額をユーザー個人で決済できる。また、それぞれ個人宛に届けられるのもメリットとなる。

そこでしか買えない商品や、産地直送を実現する

 「LINE マルシェ」は、生産者とLINE MALLが契約を結び、収穫したての農作物や魚介類などの食材をユーザーに届けるサービス。

 「LINE セレクト」はオフラインの店舗をもつセレクトショップとLINE MALLが契約を結び、店頭でしか購入できない商品をLINE MALL上で購入できるサービス。都内の店舗を中心に参加店舗を検討し、その後は全国各地のあらゆるセレクトショップに拡充する予定だという。

 LINE セレクトで、オフラインの店舗にこだわる理由は「そこでしか購入できないものを購入できる」という付加価値を生むためだという。LINE マルシェにおいても同様で、島村氏は「産地でしか食べられない新鮮な魚が食べられることがメリット」と話す。実際に契約を検討している漁業の魚介類を、(日頃いい物を食べている)LINEの上層執行役員のメンバーが食したところ、「これは相当いいお店でないと食べられない逸品」と高評価だったのだとか。

 なお、LINE マルシェやLINE セレクトの商品は、LINE ギフトやグループ購入など、各サービスを組み合わせて利用できる。

ハンドメイドから量産へ、クリエイターと工場を繋ぐ「LINE クリエイターズモール」

 LINE MALLではこのほか、クリエイターが手がけたハンドメイド商品を量産して販売できるよう支援する「LINE クリエイターズモール」を展開する。サービス開始時期は未定。

 LINE クリエイターズモールは、LINE MALL内でユーザーからの「お気に入り登録」が多いハンドメイド商品の出品者を対象に、量産化に向けた提案を行うというもの。将来的にはLINE MALL発のブランド創出を目指しているという。

 かつて“ものづくり大国”と呼ばれた日本でも、やむなく工場を閉鎖するといった現状があるなか、島村氏は「国内で生かしきれていないものづくりの双方のノウハウを生かしたい。もっとクリエイターの思いが届くよう支援したい」と同サービスを提供する目的について述べた。

アカウント乗っ取り対策については?

 報告が相次ぎ問題になっている“LINEアカウント乗っ取り”の事象については、これまでパスワード変更やPINコード入力設定などを呼びかけ、対策を投じてきた同社だが、LINE MALLのサービス拡充に向けて新たな対策がとられるのだろうか?

 島村氏は「LINE MALLは、LINE IDのまま利用することにはならず、あくまでも認証にLINE IDを使う仕様になるため、LINE MALL利用に必要な“MALL ID”は別に存在する。また決済の際に暗証番号を入力するため、家の中に金庫があるイメージで、ひとつ壁があると考えている」と説明した。

LINE株式会社 上級執行役員 舛田氏

 また、LINE株式会社 上級執行役員の舛田氏は「(アカウントの乗っ取りに関して)大きな問題になっていることは認識している。対策のご案内も行い、問い合わせ件数も減ってきているが、ゼロにはなっていない。引き続き乗っ取り問題を限りなくゼロに近づけるために、我々が責任をもって対策していく」とコメントしている。

川崎 絵美