ニュース

au WALLETとauスマートパスが連携開始

ポイントアップとクーポンを同時に提供へ

 KDDIと沖縄セルラーは、電子マネーサービス「au WALLET」と、アプリやクーポンを配信する「auスマートパス」の連携を開始する。まずはau WALLETのポイントが多く貯まる店でのクーポンの拡充、「auスマートパス」内での宿泊施設予約コーナーが用意される。

 29日には発表会が開催され、KDDI代表取締役執行役員専務の高橋誠氏から説明が行われた。サービス拡充が紹介されたほか、サービス面でKDDIが今後iBeaconに注力すること、アプリのリニューアルにさらなる発展があることなどが紹介され、サービス分野におけるKDDIの戦略の一端が紹介される場となった。

KDDIの高橋氏

ポイントアップ店のクーポン拡充

 本格連携の第1弾として、通常よりもau WALLETのポイントが多く貯まる、ポイントアップ店のクーポンが拡充される。対象店舗はマツモトキヨシ、牛角、ビッグエコー、TOHOシネマズ。たとえばマツモトキヨシでは店内商品が10%オフ、TOHOシネマズでは映画料金の割引といったクーポンが「auスマートパス」で配信される。これらのクーポンの提供時期は限定されている。

店舗 ポイント倍率 クーポン クーポン提供期間
マツモトキヨシ 通常3倍
キャンペーン期間中(8月9月の25日〜月末)は10倍
10%オフ 第1弾:8月28日〜31日
第2弾:9月1日〜7日
第3弾:9月16日〜22日
第4弾:9月25日〜30日
牛角 3倍 会計から500円オフ 9月16日〜10月31日
ビッグエコー 3倍 ルーム代30%オフ 9月1日〜12月31日
TOHOシネマズ 3倍 大人300円オフ
学生以下200円オフ
9月1日〜30日

宿泊施設の割引

 「auスマートパス」では新たに一休.com、reluxと提携して、「旅・宿泊」コーナーを9月5日にオープンする。このコーナーでは、提携サイトの宿泊施設情報を横断的に検索できる。また利用時にはau WALLETポイントが多く貯まったり、宿泊施設の割引といった特典も用意される。

 一休.comからの予約では、通常の10倍(9月5日〜30日)のポイントが付与され、常に宿泊代が1000円割引される。一方、reluxからの予約はポイント付与は今冬導入予定で、宿泊代は常時1000円割引となる。なお、どちらのサイトも、9月5日〜18日まで先着1000名を対象に、宿泊をが5000円割り引きするキャンペーンが実施される。

auスマートパスのサポートサービス拡充

 auスマートパスでは、修理代金サポートなどに加えて9月5日より「データお預かりサービス」、8月29日より「au WALLETカード盗難紛失補償」が提供される。

 「データお預かりサービス」では、端末内の写真や動画などを最大50GBまでバックアップできる。利用時にはau Cloud、Friends Noteのアプリのダウンロードが必要。なお「auスマートパス」非会員でも1GBまで無料でデータをアップロードできる。

 一方、「au WALLETカード盗難紛失補償」は、2015年3月31日まで、au ID1つに対して1回まで適用できるもので、最大10万円まで補償する。警察とKDDIへの盗難・紛失の届け出が必要となる。

au WALLETが500万件突破、ラッキーセールは定例に

 今回、au WALLETの申込件数が500万件を突破。リピート率(一度利用したユーザーが再び利用した割合)は80%以上となった。またau IDは2000万件に達し、auスマートパスの会員数1100万人とあわせて、リアルとネットを連携させるというKDDIの取り組みが順調に進んでいるとする。

ユーザー規模が拡大

 8月27日付けで500万件を突破したとのことで、5月のサービス開始から約3カ月で大台に到達し、高橋氏は「最初の想定よりぜんぜん早い」と述べた。またauショッピングモールで実施するセール「auラッキーセール」を年に数回程度の形で、今後、定期的に実施する方針も明らかにされた。

500万人突破
リピート率は80%以上

「送客に繋がる」auスマートパスとau WALLETのコンビネーション

 プレゼンテーション、そしてその後の囲み取材を通じて、au WALLETの現状、そしてauスマートパスとの相乗効果がより詳しく紹介された。

 まずau WALLETの動向として、ユーザー1人あたりの利用平均額は今回明らかにされなかったが、これは「ユーザーの利用額も高くなっているが、これからITリテラシーが低い方が利用し始めると平均額は下がっていく。現在の金額を発表した後で、下がるとちょっと格好悪いから(笑)、もう少し落ち着いてから発表しようと思っている」と述べた。

 高橋氏
「オートチャージを一度使い始めると便利。だがもう少し簡単にチャージできるようにしたい、と思っている。リアルにわかりやすいチャージの仕方みたいなことを想像して検討を進めている。たとえば店頭で簡単にチャージできる仕組みがあってもいいのかなと。(今は他の用事で訪れたユーザーと同じ列で順番待ちするが、という指摘に)そう、そこが考えどころ。一方で、auショップの店頭に設置したガチャで来客は増えている。ああいう店頭送客は重要。一過性ではない形で、サービスと連携して、ユーザーさんが来てくれることが大切。他社との同質性が進む中で工夫をしていかなければならない。サービス面でも何かできないか、日々考えている」

 現状、auスマートパスは、「クーポンがすごくいい、イベントとの連携がすごくいい」と高橋氏は説明。パートナー企業には、「auスマートパスとau WALLETのダブルエンジン」と説明しているとのことで、auスマートパスでクーポンを配信することと、au WALLETのポイント付与およびポイントアップが送客に効果があり、今回のau WALLETとの連携は、大きな課題だった点を解決したもの、とする。

au WALLETポイントは利用料への充当も可能に
家族間で贈ることも可能に

auスマートパス、アプリをリニューアル、「今後に乞うご期待」

 アプリが9月上旬にリニューアルされ、タイムライン型からタブ型に変更、さらにサイドメニューが追加される。このサイドメニューの1つに、au WALLET関連の項目が追加され、ワンタップでau WALLETのアプリに切り替えることもできるようになる。これについて高橋氏は、特にサイドメニューが今後大きな要素になる、との見方を示す。

サイドメニュー

 プレゼンテーションで高橋氏は「auスマートパスとau WALLETという、ネットとリアルをセンターにおいて、他のコンテンツに回遊していく、こういう構造を作ったらどうかなと思う。今日はここまでにしておくが、この“サイドメニュー回遊構想”みたいなものはまだ先がある。今年、このあたりのコンセプトについてはまた」と述べる。

 サイドメニューから手軽に他のサービスへ誘導できるようになり、特に今回はネットサービスのauスマートパスと実店舗で利用するau WALLETにワンタップで切り替えられるようになった。こうした点を挙げて、高橋氏はO2Oならぬ“WOW to WOW”だとアピール。最近は、他社との差別化を図り、ユーザーに驚き(WOW)を届けようしているauらしい取り組みだと言える。

サイドメニューの導入で“WOW to WOW”体験を提供する

 そして、タイムライン型からタブ型に切り替えることについて、「(これまでの)タイムラインでラッキーを届けるということは成功した」としつつ、毎日のアクセスを呼び込む、そしてMAU(月間のアクティブユーザー数)を向上させることには課題があった、と吐露し、今回のリニューアルに繋がったとした。

サインレスへの取り組み

 au WALLETで支払う際、一部店舗ではクレジットカードと同じようにサインを求められることについては、即座に改善することは難しい、としつつ、現在はコンビニのようなサインレスの店舗での利用が多いと語る。またサインを求めている店舗には、カード会社(アクワイアラ)とともに、サインレスに切り替えてもらうようKDDI側からもアプローチしているとのこと。実際にau WALLET開始時、マツモトキヨシではサインが必要だったが、その後の働きかけでサインレスに切り替わっていったという。

店舗への効果

 au WALLETの効果として具体的な数値は明らかにされなかったが、高橋氏は「コンビニ全般という意味では、au WALLETの登場である店舗の売り上げに貢献している、という例はある」と述べるに留まった。また、初期段階では店員への教育が必要だったため店舗側への負担もあったが、現在はその効果が出てきたとして、たとえばセブン&アイホールディングスではセブン-イレブンに続いて、イトーヨーカドーが今回ポイントアップ店に参加するなど、パートナー企業が前向きに捉えている例を挙げ、売上増など店舗側に好影響を与えていると紹介。何らかのキャンペーンを実施すると、au WALLETでの支払いが急上昇した、という実績もあったという。

ビデオパス、邦画作品は1000タイトルへ

 8月29日からは、月額562円(税抜)の動画配信サービス「ビデオパス」の拡充が実施される。10月末までに邦画タイトルが現状の280本から、1000本以上に拡充される。これは、邦画を好むユーザーが多いことから実施されるもので、今回の拡充の目玉のようだ。

 また、テレビ東京と提携して、ビジネスニュース番組「ワールドビジネスサテライト」内のニュースを放送翌朝、5本〜10本程度、配信する。前日夜に見逃したユーザーに向けた取り組みとなる。

 高橋氏は「これからのスマートフォンのトレンドの1つは大画面」として、ビデオパスでHD画質の動画を用意していることをアピール。ネット上では、次期iPhoneで大画面モデルが登場するのではないか、という噂もあるが、それについては触れなかったものの、仮にそうしたモデルが登場してもコンテンツ面は準備万端と言える状況を整えた。

ソフトバンクの「App Pass」は「あんまりたいしたことなかったな」

 ソフトバンクが8月29日に開始する、アプリ取り放題サービス「App Pass」について、同様のサービスを先駆けてきたことから感想を求められた高橋氏は「ちょっとビビって(発表の内容を)見ていたけれど、あんまり大したことがなかった」と影響は限定的とする。

 auスマートパスでは、アプリやWebコンテンツに加えて、クーポンや保証関連サービスを用意していることから、差別化できている、ということから、ソフトバンクよりもアドバンテージがある、と考えているようだ。

iBeaconへの期待

 ここ最近、リアルとの連携を一貫して深めるKDDI。そこで高橋氏は、次にブレイクする技術として「iBeacon」への期待を挙げる。

高橋氏
「個人的に結構いいとずっと思っていて、去年くらいからずっと見ていたんですよ。他社でも、たとえばNTTドコモさんが『ショッぷらっと』のようにB2Bのソリューションを手がけている。ああいう仕組みは、ちょっとした遊びから流行っていくのではないか。iPhoneも今後、注力していくと聞いている。O2Oの先にある、リアルの世界でのユーザーとの接点を作るにはすごくいい仕組み。詳しくは見ていないが、iOS8では、iBeaconがより使いやすくなり、たとえば(iBeaconを活用する)アプリのダウンロードも誘導していくと聞いている。楽しい技術かなと思っている。iPhoneだけではなくAndroidでも利用できる」

高橋氏
ただ、技術に偏ると面白くない。ちょっとした遊びに使えるということで、注目しており、いち早くiBeaconに取り組んでいきたい。(iBeaconという機能を知らないユーザーもまだ多い、という指摘に)そうなんですよ。近くに行って何かある、というところから流行るのではないか。僕らは通信会社なのでiBeaconが、という表現になるが、一般ユーザーからすると技術は関係ない。でも流行し始めると、特にiPhone関連であれば格好良いと評価される。注目していい技術だと思っている」

 たとえばライブイベントで、auスマートパス会員向けにチケット先行受付を実施しつつ、会場ではiBeaconを使ってポスター前で特典の写真を配信したり、売店でドリンク無料クーポンを抽選で配付したりする、という。またKDDIが提携、出資するOrigamiとの取り組みでは、大型商業施設や人気セミナー、パーティへの招待を実施しつつ、来店時にiBeaconを使ってau WALLETポイントを付与する、といったことも行う。

ナタリーの買収、KDDI色は出さない――オープンインターネットへの戦略

 エンターテインメント関連のニュースを配信するWeb媒体「ナタリー」の運営会社、ナターシャを買収したKDDI。高橋氏は「ナターシャの色を壊すことだけは絶対にしない」と語る。

高橋氏
「KDDI色を出さないようにしている。買収後、Twitterなどで『KDDIのせいで(ナタリーが)悪くなるんじゃないか』という懸念の声があった。僕らにはいろんな戦略があって、これはおいおい説明していきたいが、ナターシャの良さは絶対なくさない。auのためにナターシャを使うんじゃないか、ということになって、『ナタリー』のエンタメ大好きなユーザーが離れていってしまうことが嫌なので、我々としてはナターシャをちゃんと支援していこうという思いと、音楽ユーザーの方々にお届けできることがあれば伝えていきたい、ということ」

 古くはグリー、最近ではニュースアプリのGunosyなどとも出資して提携しているKDDIだが、今回のナターシャもKDDIの存在感を出さない形に徹しているという。他にもいくつかKDDIの存在感を隠したままで出資している案件はあると説明する。

 auスマートパスをはじめとする、auユーザー向けの各種サービスを揃える一方で、Gunosyなどへの投資や戦略は、オープンインターネットへの取り組みであり、近日、あらためて何らかの発表を行う方針を示す。

高橋氏
「auユーザーに向けた垂直統合型のサービスはきっちり貫いて、ネットもリアルも提供していく。それらを全てオープンに、というドコモさんのようなことはしない。ただオープンに対する考え方は、たとえばナタリーやGunosyへの投資のような形でいくつか始まっている。このあたりの構想はちゃんと説明したい」

妖怪ウォッチの映画とタイアップ

 現在、子供から絶大な人気を得ている「妖怪ウォッチ」の映画版とのコラボレーションが今秋実施されることも発表された。

 詳細はまた別途案内されるとのことだが、「ビデオパス」とのコラボ、全国のauショップと連動してウォッチ、メダルなどレアな限定アイテムに関するキャンペーンが実施されるようだ。

特命宣伝部長に「でんぱ組.inc」

 発表会の後半には、アイドルグループの「でんぱ組.inc(でんぱぐみいんく)」が登場。メンバー6人がauスマートパス、au WALLET、ビデオパスそれぞれの“特命宣伝部長”に任命された。

 メンバーそれぞれに名刺が渡され、「でんぱ組.incならではの宣伝活動」「auスマートパス/ビデオパスのスペシャルコンテンツをプロデュースする」というミッションが課せられ、今後、宣伝活動として取り組むことが紹介された。

au WALLET担当の最上もが(左)と古川未鈴(右)
auスマートパス担当の相沢梨紗(左)と成瀬瑛美(右)
ビデオパス担当の藤咲彩音(左)と夢眠ねむ(右)
突然、特命部長としてのミッションを言い渡される
最後には、古川がジェスチャーでメッセージを伝える、という流れに。これは「でんぱ」
そして「a」
「u」と締めて、「サービスもでんぱもau!」

(関口 聖)