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ドコモのLTEは“フルLTE”、1.5GHz帯と1.7GHz帯をフル活用へ

CAの225Mbpsは12月に最終試験、iPhone 6は東名阪で150Mbps

 NTTドコモは、LTEネットワークに関する説明会を開催した。同社がクワッドバンドとして運用するLTEネットワークのうち、1.5GHz帯、1.7GHz帯(東名阪)の帯域すべてをLTEに投入する「フルLTE」戦略が発表された。2GHz帯が15MHz幅、800MHz帯は10MHz幅をLTEに使用しており、1.5GHz帯が15MHz幅、1.7GHz帯が20MHz幅の4バンド合計で60MHz幅をLTE向けとして運用していることが説明された。

ドコモのLTEの3つのポイント
4バンド60MHz幅で運用。1.5GHz、1.7GHzは「フルLTE」とした

LTEのエリア、FOMAとほぼ同等に

 LTEのエリアは、LTE基地局として2014年度第2四半期の時点で7万7000局を展開。2014年度第4四半期の時点で9万5300局の基地局を展開する予定。前年同期の5万5300局から大幅に増加させる。この結果、2014年度末でのLTEの基地局数は、FOMAの11万局とほぼ同等にまで拡大するとし、屋内を含めてFOMAと同等のエリアである、人口カバー率99%になるという。

LTEの基地局数
LTEがFOMAとほぼ同等のエリアに

4バンド60MHz幅でLTE、キャリアアグリゲーションは30MHz幅以上で

 LTEの高速化に対する取り組みでは、同社が全国で運用する1.5GHz帯の15MHz幅と、東名阪で運用する1.7GHz帯の20MHz幅をすべてLTEで、2013年9月から運用している。

 この2つの周波数帯は保有する帯域をすべてLTEで利用する「フルLTE」とし、1.7GHz帯については20MHz幅を確保していることから、下り最大150Mbpsを実現し、その基地局数も17日時点で2000局を超え、当初計画の3.5倍にあたる7000局を2014年度末までに設置する。

 すでに発表されているように、LTE-Advancedの技術を利用し、2014年度内に下り最大225Mbpsを実現する予定。この225Mbpsという速度については、LTEのカテゴリー6に準拠した形で提供する。

 カテゴリー6の規格自体は、最大40MHz幅、下り最大300Mbpsとなっているが、ドコモはカテゴリー6で30MHz幅をキャリアアグリゲーション(CA)で確保し、下り最大225Mbpsを実現する。まずは大都市の中でも、最もトラフィックの高いエリアへの対策として、これらのキャリアアグリゲーションおよび225Mbpsの技術や速度が投入される見込み。

 ドコモは4つの周波数帯を運用することから、キャリアアグリゲーションも2種類を提供する。主に東名阪での利用を想定した、800MHz帯と1.7GHz帯を組み合わせたパターンと、全国を対象にした2GHz帯と1.5GHz帯を組み合わせたパターン。上りの速度については、速度が速いほうの周波数帯が利用される。

 ドコモはキャリアアグリゲーションについて、シングルバンドでは実現できない通信速度を実現するためのものとしており、(合計で)30MHz幅以上の、今回のような150Mbpsを超える速度域での運用を基本にする。このため、狭い帯域同士をキャリアアグリゲーションで組み合わせて、(シングルバンドでも実現している)150Mbpsを提供する、といった運用には消極的な姿勢を示している。例えば800MHz帯と2GHz帯を組み合わせるパターンは、同社のLTEの帯域幅では合計25MHz幅となり、30MHz幅に満たないことから、このパターンでのキャリアアグリゲーションは考えられていない。

 ドコモはまた、都市部で非常にトラフィックが集中するエリアへの対策として、LTE-Advancedの技術「アドオンセル」を投入する。マクロセルのエリア内に、小さな基地局を設置するもので、無線の容量とスループットを拡大できるという。結果的に、キャリアアグリゲーション技術を投入するエリアでの運用になる見込み。

iPhone 6での対応は

 9月19日に発売されるiPhone 6/6 Plusについては、LTEのカテゴリー6に対応していないため、ドコモが提供する30MHz幅でのキャリアアグリゲーションおよび225Mbpsの通信速度には対応しない。

 一方、iPhone 6/6 Plusがサポートするドコモの1.7GHz帯においては、この周波数帯単独で150Mbpsを実現しており、エリアは大都市部を含む東名阪で、LTEエリアの3分の2程度が1.7GHz帯のエリアになるとしている。

 1.7GHz帯以外でも、ドコモのLTEでは2GHz帯および1.5GHz帯で112.5Mbpsを実現しており、iPhone 6/6 Plusにおいては、2GHz帯で112.5Mbpsが実現する(iPhone 6はドコモの1.5GHz帯に対応していない)。

 VoLTEについてはiPhone 6/6 Plusで利用可能になり次第、提供される見込み。6月から提供されているドコモのVoLTEの現在の利用規模は、対応するAndroidスマートフォン5機種の合計で100万台とされた。

 ドコモは、2014年度中に700MHz帯についても運用を開始する予定。10MHz幅すべてをLTEで運用する予定で、iPhone 6/6 Plusも対応する。700MHz帯については、キャリアアグリゲーションの対象にはならない予定。

4バンド60MHz幅で潤沢なLTE、Wi-Fi不要論も

 9月17日には都内で記者向けに説明会が開催された。登壇したNTTドコモ 取締役常務執行役員 ネットワーク部長の大松澤清博氏は、ドコモのLTEが1年前と比較して無線容量が2.4倍、最大通信速度も2倍になったことを示した上で、4つの周波数を「全体のトラフィックの流れが一番スムーズになるよう運用している」と説明。いずれもFDD-LTEで統合的に運用できるとしたほか、新しいiPhoneについても「ぜひ新しいiPhoneでも(ドコモのネットワークを)ご利用いただきたい」とアピールした。

 大松澤氏はまた、「快適さは最大通信速度だけではない。どれだけ無線容量を用意したかにもよる」とし、「東名阪の大都市部では、LTEで合計60MHz幅を用意する。きちっとネットワーク設備を打っていくのは極めて大切なこと」とし、通信速度に加えて十分な無線容量を確保した同社のネットワークに自信を見せる。

 このことはWi-Fiスポットの施策にも影響がある見込みで、これまでオフロード対策を主眼に提供されてきた公衆無線LANサービスの拡充は一段落する様子。クワッドバンド、合計60MHz幅でLTEを提供するに至り、「オフロードではなく、ひとつのネットワークでコントロールし、トラフィックを快適に運べる状況になっている」と、同社のトラフィック対策が転換点を迎えていることが示唆された。

NTTドコモ 取締役常務執行役員 ネットワーク部長の大松澤清博氏

(太田 亮三)